↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる  作者: 八ッ坂千鶴
第5章 獣人の世界とこれからの未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/165

第145話 深まる謎と救出作戦

 シリルを先頭に、私たちは結晶が多くある坑道を目指した。


 それなりの大所帯。外には人だかりができている。


 その視線は、大輝とレヴェルさんの方へ向けられている。

 

 今朝の公開処刑。そもそも、彼にとっては処刑の『しょ』の字もなかった。


 というか、ものすごく楽しんでいた気がする。気のせいかもしれないけど……。

 

 私の隣を歩く大輝は、レヴェルさんと反省会中。何を反省しているのかはわからない。


 しかも、話している言葉が私が知らない言葉だった。


「大輝?」


 私が声をかける。すると、大輝は手で制した。少しだけ黙り込むと、口を開く。


「すまん。ちょっとな。あーもう! 一々脳内で言語切り替えするの面倒い……」


「ダインはまだ意識しないと難しいようだ」


「まあな……。まだバルダ語に関しては、語彙が戻ってないんだ」


「我の力を使えばいいのではないか?」


「なるほど……」


 大輝とレヴェルさんは、お互いのことを振り返っているようで……。


 大輝はダイン時代の記憶を、レヴェルさんと一緒に話していたとの事。


「大輝。結局前世の性別はどっちなの?」


「ん? あ、ああ……。男だ」


「ダインはそれは孤独な少年であった」


「それ今言うのかよ」


 つまりは、ライガン……いやアランを騙すために嘘をついた。まあ私にはバレバレなんだけど……。


 本人は楽しかったらしい。ほんと変わった人だと思う。


 ダインは男性。それがわかったところで、坑道の入口に着いた。


 坑道はものすごくひんやりしている。この前の時よりも五度ほど低いと思う。


 すると、大輝が自分の指をナイフで切った。


 メンバー全員の首筋と両腕、両足に血で線を引く。


「これでよしっと。もう少しすれば暖かくなるはずだ」


「大輝。もしかして……」


「おう。俺の血をホッカイロと同じ扱いに変えたんだ。便利だろ?」


 震えていたエレンも、顔色が良くなる。たしかに、ものすごく暖かい。

 

「じゃあ、メウスのところへ行こう!」


「ですね! ミカエラさん!」


「案内はボクにお任せください!」


「ちょ。俺は!?」


 私たちは大輝とレヴェルさんを置いて、走り出す。


 ここから先は私たちの出番。お兄ちゃんに美味しいところを持っていかれる訳にはいかない。


 私は零を呼ぶ。すると、すぐに来てくれた。シリルの隣に配置して、けん引状態にする。


 どんどん加速する。シリルが道を説明し、迷うことなく目的地に着いた。


 今頃大輝はゆっくり来ているはず。だと思って、振り返ると……。


「ちょ。ハァ……ハァ……。久しぶりに走ったから……。息が……」


「壊毒を使った時は、息切れなんてしないのにね」


「そ、それ。は……。た、たしかに……そうだが……」


 もしかしたらこれも演技かもしれない。なので、私は大輝の背中を突っついた。


 脚は震えている。バランスも悪い。では、膝裏もけ飛ばそう。


 するとどうだろうか。大輝は倒れることなく足をついていた。


「ほら嘘じゃん」


「ち、違うんだ……!」


「何が?」


「ミカエラ殿。彼は本当に疲れておる。血の提供量も減っているからな」


 そうだ。大輝は外部的疲労と内部疲労。精神疲労の三段構えなんだ。


 完全に忘れていた。大輝は必死に呼吸を整えようとしていて、行動不能。すると……。


「ミカエラさん! 生命の大結晶の中にメウスが!」


「!?」


 エレンの声で、私は大結晶を見る。たしかに、その中にはメウスがいた。


 一方その頃、ようやく呼吸が落ち着いたらしい大輝が何かに気づいたようで……。


「血の匂いがする。それも嗅いだことの無いやつだ……」


「ミカエラさん。メウスさんが入っている結晶に管が刺さっています」


「もしかして……」


 大結晶に管が刺さっている。血の匂いがする。ということは、今メウスは血を抜いている。


 もしこのまま、血が無くなったら命が危ない。


 その時、誰かのヨダレを啜る音が二つ。この状況でこうなるとしたらやはり。


 大輝とレヴェルさんしかいない。


 血といえば彼らしかいないから、すぐに分かる。


「ちょっと俺たちは、血のある場所を探してくるわ!」


「我もついて行くから安心したまえ」


「わかった。私たちはメウスを救う方法を考えよう」


「『了解!』」


 大輝とレヴェルさんは先に行ってもらうことにして、私たちはメウスの救出作戦を考える。


 そんな中、シリルが考え込む仕草をしていた。何かを思い出そうとするかのように。


「ボク聞いたことがあります。この国は生命の大結晶で動いていると」


「つまり、今メウスは……」


「この国の中核を担っている可能性があります。ハーフデーモンであるボクでも、こんなことできません」


「じゃあ、メウスの代わりになるとしたら……」


 知っている限りでは誰もいない。だけど、心当たりはある。お兄ちゃん。


 大輝ならきっと、数年分の魔力を保持しているはず。しかも、彼は魔力を外に出すことがない。


 魔力探知にも反応しない。でも、今彼はいない。


 どちらにしても、行き詰まり。どうにかしないと……。いけない気が……。


 私は管の方を見た。流れていく金色の血。そこから考えて見てもわかるはずが……。


「メウス……」


「ミカエラお姉ちゃん。バーンとやっちゃえば? ここめちゃくちゃ魔力濃いもん!」


「でも……」


「大丈夫大丈夫! レイーできるよね? 簡単だよね!」


 なんで零頼み……。どうやらティアはやる気がないらしい。


 零はクリスタルに近づいた。表面に手を添える。


「可能だ。これくらいなら、魔力を外部に出さない形でできる」


「さっすがー!」


「では始めるとしよう」


 零が準備を開始する。そして、魔法でクリスタルを破壊した。


 中からメウスが出てくる。それをシリルがキャッチすると、魔力の収縮していく。


 最終的に残ったのは、小さくなったクリスタルだった。


「シリルさん。メウスは……」


「問題なさそうです。脈もしっかりあります」


「良かった……」


 きっとこれも、アランの仕業。だけど、なぜ男のメウスをクリスタル漬けにしたのか。


 メウスのことはシリルに任せて、私とエレンは大輝たちを追いかけることにした。

第2部もあと残り5話で完結です。


ぜひブクマと☆☆☆☆☆をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。