↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる  作者: 八ッ坂千鶴
第4章 相棒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/165

第141話 獣人魔王アランの計画②

 大結晶の中に入っていくメウス。アランはそれを見ているだけ。


 彼は言っていた。あの殺戮者ダインの妹がミカエラであることを。


 そして、そのダインは本来の力を取り戻さんとしていることを。


 これは厄介だ。アランの思考は、最悪な方向へ向かっていた。


「アラン様……」


「大丈夫だ。リフナ。次の手を考えよう」


 まずはダインを無力化しなければならない。


 しかし、彼がもしも……。可能性としてはなくはない。


「もしも、彼が龍の血を……」


 完全に無力化することは難しくなる。


 それは、アランが一番警戒していることだった。


 一度血を覚えれば、あらゆることが無力化される。


 天命尽きるまで死ぬことは無い。それが、ダインという男だ。


 歴史の書。そこには禁忌の毒を唯一作ることができた人物。


 誰もが恐れ、誰もが怒り、誰もが苦しむ。


 ダインは歴史を作り破滅を産む存在。


「どうにかせねば……」


 来た道を戻る。王宮の中へ移動すると、リフナ夫人が本を持ってきた。


 アランは読書が苦手だった。少しでも字を見ると、寒気を感じるほどに。


 しかし、国をまとめるには文学にも精通していなければならない。


「リフナ。重要なところだけ読み上げてくれ」


「かしこまりました。まずは、ミカエラのことに関してです」


 リフナ夫人は少しずつ読み上げていく。


 まずミカエラが、人族の国の出身であること。


 そこのシャーロット公爵家次女であること。


「母親がブライアント公爵家の生まれです」


「となると、代々暗殺業をしている家系か……」


「さようでございます」


 それなら、ミカエラの射撃能力と比例する。


 アランは水晶を取り出す。そこで、戦場での彼女の様子を確認した。


 迷いがない。それは間違いだと気づく。


 手が震えている。顔が引きつっている。


 その映像を、何度も再生した。


『最悪……』


 彼女はその言葉を鍵に銃弾を放つ。


 その間に違和感を覚えた。何度も、何度も……。


『最悪……』


 微かなノイズ。彼女の口がほんの少しだけ動いている。


 音を上げる。ノイズを除去する魔法をかける。


『最悪……お兄ちゃん身体雑にしすぎ……』


「お兄ちゃん……」


「アラン様。どうされましたか?」


「ミカエラの兄はダインだったな。しかし、ダインの姓はルーディスだ」


「ええ、そうですね」


 では、ダインとミカエラにはどのような繋がりがあるのか。


 それを探さねばならない。アランは別の映像を流した。


 そこには、槍で左胸を刺された男性。


 彼の口は『ミカエラ』とつぶやいている。


「この男が、兄か……。しかし、なぜ絶命しない……」


「彼はラディルの城下町にて、壊毒を作り連行されております」


「壊毒!? 禁忌の劇毒とされるあれをか!?」


「はい」


 ダインしか作り出すことができない毒薬。


 それを、この者が作ったとなれば間違いない。


 彼こそが、ダイン・ルーディスの生まれ変わり。


 絶命しないとなれば最悪だ。彼はもう、龍の血を飲んでいる。


 本来の力は、本格的に戻りつつあると言っていい。


 先手を打つことすら許されない。アランは自身の行動の遅さを呪った。


「ダインはこの者で合っているのか?」


「先ほどの映像から推測するに、間違いないと思われます」


「そうか……」


 この世界には『英雄伝説』と呼ばれる絵本がある。


 そこには、英雄ゼノンと共にした二人の存在がいた。


 その中に殺し屋のダインが書かれている。


 ダインは数多の薬を作り、剣を作る善良な存在とされていた。


「しかし、それ以外の書物では危険人物とされている」


「はい。そうでございます。彼は聖戦にて、多くの命を奪いました。それも、敵味方問わず」


「そうか……。それが、復活してしまった。この国に対しても、世界に対しても由々しき事態と言って過言ではない」


「はい。全くのその通りであります」


 しかし、なぜだろうか。アランが派遣した警備員が帰ってこない。


 どう捉えればいいかわからない状況。


 放った鶏は帰ってくる。しかし、放ったカラスは帰ってこない。


 物事は交互に返ってくる。それでも、一方的ではらちが明かない。


「ここは、こちらから干渉すべきことだ。リフナ。彼女らはどこにいる」


「はい。どうやら、リンダ・パッシュの家に居候しているとのことです」


「わかった。リフナはパッシュ家の方へ向かってもらいたい。ダインには満足するまで拷問を受けさせる方向で進めるとする」


「殺さないとは、どのようなお考えで?」


 それは決まっている。ダインが出てくるのを遅らせる。


 そして、ミカエラを拘束する。


 それだけでも効力はあると、アランは考えた。


「わかりました。すぐに手配します。しかし、ダイン様を処するのに値するものがございません」


「なんでもいい。とにかく燃やせ、毒に侵せ。手段は択ばない。できることを全てやり、絶対に自由を失くせ」


「いやはや。やはりさすがでございますな」


「そうであろう。執行は明日明朝。わかったか」


「承知いたしました。では、失礼いたします」


 リフナ夫人が部屋から出る。


 アランが一人、椅子に座って残るだけ。


 時間はとうに夜を告げていた。今日の月は儚く白い。


 雲に隠れ、存在をも消し去らんとする姿。


 それは、アラン自身を揶揄するように、わずかに嗤っていた。


「ダイン……。いや、ダイキ……か……」


 言葉を繰り返す。こうなるとは知る由もない。


 時の流れも、全ては止めることができない。


 この世界の時間を止められるのは、世界にただ一人。


 人族の国北の魔王。リザーク・ヴェルム。


「メウスの幼馴染であったか……」


 もう、全てが遅すぎる。どうしてこんなにも無知で盲目なのか。


 この世界には、本物(・・)の自由は存在するのかが、一向にわからない。


 たった二文字に隠された意味。それを知った時、彼は何を思うだろう。


 アランは一人、寝室へと向かった。これまで知ったこと全てに目を伏せながら。

読んでくださりありがとうございます


いいねは大事にしまっておきます

リアクションも入れておきます


星は1から5どれでも大丈夫です


下の評価ボタンからぽちっとしちゃってください!


最高の励みになります!


ついでにぜひブクマもお願いします!


次回ミカエラ目線に戻ります!!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。