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暗殺者なのに動物すら殺せない公爵令嬢ですが、神様のイタズラで勇者の護衛を任されました。魔王討伐をお願いされましたが、正直難しいです  作者: 八ッ坂千鶴
第2章 森で出会った少年

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第14話 嫌いな上司

 ◇◇◇メウス目線◇◇◇


 ミカエラに魔法書の読み方を教え、美味しい夕食を食べ一息ついたぼくは、彼女のベッドで寝ていた。


 と言っても、ぼくにとって人間界のベッドは、最高のご褒美になっている。特に公爵家のベッドは格別だった。


 ものすごくフカフカで気持ちがいいのだ。だから、こうして繋がりのある家のベッドを借りるんだけど……。


「メビウス! メビウス・エル・デュクス! 今すぐ起きろ!」


 突然、聞きたくもない怒号が耳に入る。

 

「うぅん……こんな時間にだぁれ……」


 ゆっくり目を開けると、そこには金髪の男性が立っていた。身体はがっしりしていて、体格がいい。


「メビウス。状況を説明しろ!」


「って……。アダム・エル・フォーレン先輩!?」


 アダム・エル・フォーレン。天界では上級階級第一位の上司だった。ぼくは慌てて起き上がると、身体中から汗が吹き出す。


「いくら最近『エル』の称号を獲得したとしても、こう遊んでいれば意味がないではないか!」


「そ、それは……」


 ぼくはアダムが嫌いだ。彼は仕事熱心で、今まで数十万人もの転生者を相手してきた。一種の越えられない壁。


「このまま遊んでいれば、『エル』の称号が剥奪されるぞ!」


 アダムが言う『エル』という称号は、上級階級第三位以上が得ることができる信頼の証。これに関してぼくは絶対的な自信があった。


「大丈夫! 剥奪は絶対されないから!」


「たわけが! 何を根拠にそう断言できる!」


「こう見えて、ぼくの計算式は正確だからねー。今第二位のイヴ・エル・フォーレンさんは、五十六万八千ポイント。ぼくが、五十六万七千九百ポイント。あと千ポイントでイヴさんを越せるから!」


「なん……だと……」


 アダムは、天界から支給される石版でぼくが言った言葉が正しいか確認している。ちなみに、ぼくはその行為したことが一度もなかった。


 正確には、一年に三度ほどしか見ない。それだけで推移が推測できてしまうから。無駄な数字は省くというのが、ぼくのやり方だった。


「ま、間違って――ない……!?」


「でしょでしょー。ちなみに、ぼくの信徒はあと少しで五千万人。この時点ではイヴさんとほぼ同じ数字なんだよね」


「そんな馬鹿な……!?」


 堅物のアダムにはこの責め立て方が合っている。これで彼をひれ伏せて、自分の好きをたくさん楽しむのがぼくのやり方。


 ここで、最後の攻撃をすることにした。これで完全チェックメイトだろう。


「アダム先輩、無駄だよ。こうしている間にもぼくのポイントは増え続ける。ぼくの担当エリアでの徳分ポイントは毎秒十二ポイント加算だからね。それはつまり、あと十四分と二十二秒でイヴさんを超える計算。間違ってないよね?」


「ぐぬぬ……」

 

 よし成功。ぼくはさっさと帰るよう促す。しかしアダムは、まだ反抗しようと口を開いた。


「メビウス。貴公がまだ人間だった時よりもダラケているのはなぜだ?」


「ん〜暇だから?」

 

「人間界はそんなに楽しいものなのか?」


「まあねー。ぼくの書く魔法書の売れ行きは好調」


 そうミカエラが買ってくれたことで、さらに売れ行きが上がってきている。


 ぼくの本は他の本よりも割高だけど、それ相応の濃い内容にしているから、その分ヒットするんだよね。

 

「気付かない? ぼくのポイントが多い理由」

  

「知らんな……。それよりも、貴公の観察対象であるミカエラはどうしたのだ?」

 

「えー質問してよ。アダムせんぱーい!」

 

「そうしている場合か。この無能が!」


「これでもぼくは、三十年に一度生まれるモノホン勇者なんだからねー!」


 アダムは『聞く耳持たずか』と言って、姿を消した。廊下から足音が聞こえる。その音はどんどん大きくなり、ぼくのいる部屋のドアが開いた。


「メウスさん! ミカエラを知りませんか?」


 中に入ってきたのは、黒い髪の女性。顔に汗をかいていて、焦ってきたのがわかる。

 

「なんだ。使いの人か……。ミカエラのことなら問題ないよ」


「そ、そうですか……。ところで、話し声が聞こえましたが、相手はどちらへ?」


「帰った」


 ぼくは石版を取り出して、地図を開く。シャーロット領には大きな森が二箇所あった。一つはここから遠い東側の森。


 そして、もう一つはここからすぐ近くの北の森。ミカエラの現在地は北の森らしい。


「使いの方。これを見てください」


「これとは? 地図……ですか?」


「はい。この赤いものが動物や魔物を指すマーク。金色の印がミカエラです。今ミカエラはなにかと遭遇したみたいですね……」


 ぼくは使いの人に説明をする。それを聞きつけたのか、エルヴィンとフランもやってきた。


「メウスさん。ミカエラとその動物の距離は……」


 エルヴィンが問いかける。


「約五十メートルだね。ミカエラなら視認できる距離だと思うよ」 


 ぼくはこの石版に表示された地図で、だいたいの距離がわかる。天界で神として活動する前はこの世界を飛び回っていたから。


 その知識のおかげか、このようなスキルが身についた。ぼく的にはあまり好きじゃないけど……。


「あと四十分したら出発するよ」 


「四十分ですか!? なぜすぐに……」


「それはすぐに答えがわかるから……」


 この計算にも自信がある。ミカエラが行動を開始するのは十分が必要。そして、ミカエラが遭遇しているのは、動物だけではない。


 ぼくの勘だけど、もっと重要な存在が居合わせている。ここで、いつでも介入できるぼくが入れば、どうなるかも明白だ。


 それはつまり、そこで全てが崩壊する。二人の未来を壊してしまう。神という存在にはそれだけの影響力があるから。


「四十分なんて待てません! 私の子をどうしようというのですか!」


 フランが大声を出し反論するが、ぼくが人差し指を立てると冷静さを取り戻す。


 そもそも、シャーロット公爵家はぼくの信者ではなく、イヴ先輩の信者。意見の食い違いが起こるのも計算のうち。


「とりあえず。今は待ってあげて。暇つぶしの遊びには色々考えてあるんだ」

 

 ぼくはそう言いつつ、ミカエラが行動をするのを待った。

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次回、ミカエラ覚醒

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