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シーサイドへようこそ!  作者: じりゅー
第四章 『魔法少女(?)爆誕!』
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四十六話 出会えました!

どうも、増税に焦ってPS4を買ってしまった作者、じりゅーです。

2%に完全に踊らされてしまいましたね。たった数百円の値上げの為に万単位の買い物をしてしまうとは…後で気付いてちょっと後悔しました。

…まあ、そのうち買うつもりだったので良いんですけど。

 

『ありがとうございます!』


『ありがとなー!』


『すまねぇ、助かった。』


 どこかで見たような場所、見ず知らずの場所。

 知っている人、どこかで見たような人、見ず知らずの人。

 そして、彼らの感謝の言葉。

 それらが浮かんでは消え、また浮かぶように移ろいゆく。

 場所はバラバラ、状況もそれぞれだ。複数の魔物が倒れていることもあれば、盗賊らしき人が倒れていることもあった。

 ──不思議な夢だ。

 以前、本かなにかで夢で未来を見ることがあると聞いたことがある。

 もしかして、これはそんな未来の光景なのだろうか。


『悪いな。』


 一体の大きな魔物が倒れていた光景もあった。


『ありが…あれ?』


 路地裏から貴族を見送った光景もあった。


『これは紛れもなく、これまで貴方に向けられた声です。

 どんな気分ですか? 人から感謝されるというのは。』


 後ろからそんな声が聞こえた。


「…実感が無い。

 どうして僕がそう言われてるのか、全く分からない。」


 僕は振り返らず、正直に答える。


『それは貴方が彼らを、彼女達を助けたからです。』


「助けたって…どうやって?」


『…見たいですか?』


 それは、と答える前に景色が移り変わる。

 僕は体を動かしていないのに勝手に動き、その感覚すら感じることが出来た。

 手に持った杖を振ると、複数の光弾が発射される。

 杖を構え、魔力を溜めた後極太の光線が魔物を穿った。

 そんな体験をいくつも行った後、また声が聞こえた。


『実感がわきましたか?』


「……これは、僕じゃない。」


 僕にはこんな事出来ない。

 出来る事と言えば一通りの家事くらい。盗賊を無力化させ、魔物の群れを殲滅し、強大な敵を打ち倒す。

 不可能だ。そこまでの魔力も無ければイメージも出来ない。


『出来るんですよ、私の力があれば。

 そして、貴方はその力を使ってこのように救うべき人たちを救ってきました。』


「救うべき人…?」


『ええ、今見て頂いた不当に脅かされている者のことです。

 盗賊をはじめとする犯罪者、強大な魔物、誰がどう見たって、助けるべきでしょう?

 しかし、それをどうにかできる力を持つのはごく一部の者だけ。いつもその存在が近くに居るわけではありません。

 絶対数が少なすぎるんですよ。

 だから、貴方に協力して頂いているんです。私一人、もとい、一本では戦えませんからね。』


「どうして?」


『…人間と言うのは、ふと最悪を考えてしまうんですよ。

 もしも私が暴走して、理性を無くして人間に反旗を翻せばどうなるか。

 きっと大勢の人間が死ぬでしょう。もちろん、貴方が助けてきた人のような者も。

 それは私にとっても本意ではありません。少なくとも、今の私にとってはですが。

 だから、私の力を揮うにはその抑止力として人間のパートナーが必要。そのように設計されているんです。

 もっとも、そのパートナーもそうならないよう、私の力を貸すには私自身の同意が必要なんですけどね。』


 上手く出来ている。

 と、思ったけど…ちょっとだけ、引っかかったことがあった。


「じゃあ、もし。

 もし、2人とも暴走したらどうなるの?」


『それは…きっと、私か、パートナーのどちらかが消えるだけです。

 私達以上の存在(人間)によって、ね。』


 その後、僕の意識は覚醒へと向かった。







「あーー!」


 厨房で調理していると、入り口の方からフォリスの声がした。

 声色に驚喜が感じられるところから、どうやらトラブルの類ではないことを察した。


(…どうしたんだろう?)


 とは言え、それと好奇心はまた別。

 フォリスがここまで喜ぶ出来事を予想できなかった。セシカさんは顔見知りだけどそこまで喜ぶとは思えないし…となると、昔の知り合いか何かだろうか?

 終盤だった調理を終え、素早くよそって運びつつ彼女の様子を見ることにした。


「「あーーーー!!」」


 さっきよりも大きな声。この声はフォリスじゃないし、2人分だ。

 こちらを指差して、大きく口を開けていたのはフォリス…と、レーサさんの近くに居た2人の男女だった。今日はレーサさんも来てたんだ。

 …あれ? あの二人はどこかで見たような。


「マノカさん! 先日はどうもありがとうございました!」


「おかげで助かりました! 改めてありがとうございます!」


「え?」


 ……また人違い(その類の人)か…

 最近休み続けたからか、一瞬出てこなかった。


「…それは人違いですよ。

 僕はマノアです。初めまして、お客様。」


「え…?」


「…え?」


 何を言ってるんだ、と言わんばかりの表情だ。そうなる気持ちは分かるけど…


「この人はマノア、マノカって人じゃないよ。

 他のお客さんにも同じことを訊かれる。

 顔が似てるからって、よく間違えられるんだよ。」


 フォリスのフォローが入る。


「……マノア、そいつは誰だ?」


 ……そう言えば、レーサさんはフォリスのことを知らないんだっけ。

 最後に会ったのは他の町に食べに行った時だし、その時はまだ僕もフォリスには会ってなかった。


「ウチはフォリス! マノア先輩に雇ってもらってる、シーサイドの従業員だよ!」


「従業員? 本当なのか?」


「はい、ちょっと事情があって。」


「へー…まあ、今は腹も減ったし訊かないでおく。その内教えてくれ。」


「いいですよ、じゃあ近い内に。」


 と、軽い約束をした後。


「…えっと。マノア、さん?」


「本当に、違うんだよな? 顔スゲーそっくりなんだけど…」


 再び二人が訊く。


「違いますって。」


「疑いたくなる気持ちは分かるけどな…たまたま顔と名前が似てるだけの、赤の他人だろ。」


「ウチも分かるけどね…」


「レーサさんやフォリスまで…っていうか、2人も会ってたんですか?」


「ああ、オレはこの2人と一緒に居た時にな。

 マノカは魔物に襲われてたオレ達を助けてくれたんだ。」


「ウチも、危ないところを助けてもらったよ。セシカ様も一緒だった。」


「セシカさんも…」


 ―なんだか、こそばゆいなぁ。

 ―自分の事を、こうして聞くと。


「…?」


 あれ?

 今、僕なんて…?


「でも、そんなことある?」


 疑問を捨てて進んでいた話に付いて行く。


「ありえるんじゃないか?

 聞いた話だけど、ある国では王女様とそっくりな一般人が居たそうだ。一度パレードの時に影武者として出したけど、国王がばらすまで全く気付かれなかったんだと。」


「へー…」


「世界って広いんだな…」


 そんなこともあるんだ。


「あの、レーサ、さん。

 ちなみにそこのお二人は…?」


 と、感心しているとフォリスがレーサさんと話をしていた。


「ああ、そう言えばまだ紹介して無かったな。自己紹介よろしく。」


「あ、うん。

 私は大卓(おおたく) 彩弓(あゆみ)。レーサとは友達だよ。」


「俺は大卓 進矢(しんや)、同じくレーサさんの友達で、コイツの弟だ。

 美味い料理、よろしくな。ここの評判はその狩人さんから聞いたからさ!」


 オータク…どこかで聞いたような…

 あ! 確かフォリスがこの前言ってたような…後でもう一度聞いておこう。


「はい、頑張ります。

 ご注文が決まったら僕かフォリスを呼んでください。」


「僕っ子か…ふむ、悪くない。」


「ボクッコ?」


「あ、お気になさらず。じゃあ注文を…あれ?」


「どうかされました?」


 壁に掛けられたメニュー表を見て動きを止めるアユミさん。変なことは書いてないと思うけど…


「ここ…日本の料理も出してるの?」


「ニッポン? ニホン料理のことですか?」


「しかも日本料理って認知されてる!?」


 ニホン料理は数十年前に広まった料理で、別の世界の料理だという噂があるらしい。

 ラーメン、カレーライス、トンカツ…そして、僕が得意なフィッシュアンドチップスもニホン料理の一つだ。


「お前ら、ニホン料理好きなのか?

 オレのオススメはフィッシュアンドチップスだな。マノアが作るのはスゲー美味いんだぜ?」


「フィッシュアンドチップスは日本料理じゃないだろ!?」


「あれかな? 地球の料理全部ニホン料理って認識なのかな? あ、ニホンは漢字じゃなくてカタカナね。」


「そういうことなのか…?」


「とにかく、向こうの日本料理とこっちのニホン料理は違うって認識した方が良いと思う。

 じゃないとなんかややこしくなりそうじゃない?」


「今でも随分とややこしいけどな…まあいいか。

 じゃあ、俺はそのフィッシュアンドチップスと…オムライスで。米もあるのか。

 なんか世界観が壊れそうだな…」


「私はカレーにしようかな。」


「オレはいつものな。」


「はい、かしこまりました。

 フォリス、他のお客様をお願い。」


「はい!

 あ、でもその前に…オータクさん。」


「「どっち?」」


「う~ん、どっちも! あのね…」


 注文をメモしてすぐに厨房に戻る。

 その直前、フォリスが何かを話しているのを見かけたけど、一分も経たない間に忘れてしまった。

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