3話 適材適所?
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「はぁい、お待たせ。焼きそばとラーメンとこっちは中華丼ねぇ、とっても熱いから気を付けてねぇ?」
牛鬼討伐から一週間後。少しづつ賑やかさを取り戻しつつある絶波海水浴場のとある海の家で見られた光景。トントントン、と小気味良いテンポでテーブル上に食器を並べていく極細のビキニで最低限隠すとこだけは隠しましたといった恰好の濡れ女、水張雫の姿だった。
「またなんつー恰好してんだアンタ、一応子連れの客だって来るだろうに…………」
「あたしも将来あんなバインバインになれたらなぁ」
「氷柱ちゃんは…………来なくて正解…………だったかも…………」
各々注文した品を手元に引き寄せる事務所の面々、と言っても今日ここに来ているのは相一と千里、詩織の三人だけである。
「そういえば吸血鬼のお姉さんと雪女ちゃんは来てないのかしらぁ」
「璃亜は仕事で――――というかここでの事件の顛末を警察の知り合いに報告に行ってる。氷柱の方は流石にそろそろ気温が上がり過ぎて外に出たくないって留守番してるよ」
水張は少し拍子抜けした様な顔をする。
「あらそれは残念ねぇ。あの娘と遊ぶの結構好きだったのに」
「向こうもそう思ってたらいいんだけどな…………」
「それにしてもだいぶ元通りになりましたねこの海の家。よく一週間でここまで修理できたと思いますけど」
ラーメンをすすりながらきょろきょろと周囲を見渡す詩織。
一週間前、屋根から壁から床に至るまで建物を建物としうる部分の殆どを牛鬼によって破壊されたこの海の家。それが今では屋根の一部分を残し殆どが元の姿を取り戻しつつあった。
「だってよ。やっぱお前に頼んで正解だったな」
彼の声に反応した誰かが、修理しかけの屋根の隙間から相一達のいるフロアに降りてくる。その足音に不機嫌さを露わにさせながら。
「言っとくがなあ! 誰もてめえの為にこの建物を直してる訳じゃねえからな!! たまたまウチの店長とここのおっさんが知り合いだったから手伝ってやってるだけで――――」
「…………銀月さん、そういうのツンデレっていうんですよ」
「はあ? ツン…………? 良くわかんねーけど馬鹿にされてる気がするな」
現れたのは大柄の男。短い黒髪をツンツンに逆立たせ、海パンとアロハシャツという真夏のビーチにはぴったりの装いの下はまさに筋骨隆々と呼べる引き締まった肉体が窮屈そうに収まっていた。筋肉質の狼男は抱えていた工具箱を足元に放り相一たちとは一つ隣のテーブルに腰を下ろす。
「おうねーちゃん! カツ丼大盛で頼む!」
「はぁい、すぐ用意するからちょっと待っててねぇ」
ひらひらと手を振りながら厨房に下がっていく水張。その後ろ姿をより間近で凝視しようと店内の男性客の9割が身を乗り出しているのを見て女子高生が溜息を吐く。
「所長さん…………そういうとこですよ…………」
「…………秘書さんと氷柱ちゃんに言いつけますよ?」
「…………はっはっはっ。何の事だかさっぱり分からんが詩織ちゃん、食後のデザートにかき氷なんていかがかな」
「――――っ! あーメニューに夢中であたしは何も見てないなー」
「わたしは…………イチゴ練乳で…………」
「――――――アホだろお前ら」
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