3話 一件落着
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「というわけで。今回の事件で大元の元凶だった牛鬼は退治しました。これでこの海水浴場で連続していた水難事故も収まることでしょう」
天井は崩壊し周囲の壁は元の面積の半分以下になった海の家で壊れかけのテーブルを囲むのは探偵事務所一同に加え中原詩織、前橋、そして濡れ女の水張雫である。
脚の一本が折れ、所々ひび割れたテーブルを挟んで座る海の家の親父兼海水浴場の管理人である前橋が安堵と不安が等倍で混ざり合った様な表情を浮かべる。
「それは……本当に感謝しています。その、原因だった牛鬼…………という妖怪がいなくなったというのは分かりますがそちらの…………」
前橋が送るちらちらと窺うような視線の先にいるのは濡れ女、水張雫である。
その遠慮がちな視線の訳は水張雫の際どい格好だけが原因では無いようで。
「あらぁおじさまったらそんなに熱っぽい目で見つめられたら身体の奥が疼いちゃうじゃない。あたしおじさん趣味は無かったつもりだけど新しい嗜好に手を出してみるのもまたいい経験に――――」
「あーちょっと黙っててくれるか」
相一が手を伸ばし濡女の口を遮る。
「確かに前橋さんの言いたい事は良くわかります。水難事故の直接の原因である彼女に対して不安や恐怖を抱くのは当然の事でしょう」
「あたしとしてはこいつも纏めて退治した方が世の為だと思うけど」
「氷柱さんもですよ」
雪女の隣に座る璃亜が小さく手で制する。
「こいつが…………この濡れ女が直接の原因であった事に変わりはありません。ですがそれはあの牛鬼によって支配されていた事が理由だという事も分かっています。これは命令されて仕方なく、という様な程度の話では無く――――濡れ女と牛鬼という種族の性質上絶対の支配関係にあったという事は知っておいて欲しいんです」
相一の話を聞きながらきょとんとした顔を浮かべているのは当の本人である水張雫だった。
「えっと…………お兄さん、もしかしてあたしの事を庇ってくれてるのかしらぁ?」
「別にそういう訳じゃねえよ。あんたが自分の意思100%で今回の事件起こして、且つ今後もここでそれを続けるつもりだって言うんなら遠慮なくぶっ飛ばさせてもらうさ――――うちの璃亜が!!」
「所長さん…………それはちょっと…………かっこ悪いです…………」
「そういうとこ締まんないですよねー探偵さん」
びしっとかました決め顔へ飛んでくるジト目の嵐に気づかない振りをしつつ話を続行する。




