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吸血秘書と探偵事務所   作者: かみこっぷ
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3話 海上に浮かぶ二つの山

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ぶッ――――――――――はァ!!」


し、死ぬかと思った! 


毎回言ってる気がしないでもないけど今回ばかりはマジで死ぬかと思った!!


久方ぶりに触れる酸素を目一杯肺に送り込む。殆ど咳き込む様な呼吸を繰り返す俺の傍らには、電柱程はあろうかという馬鹿でかい氷の剣が浮かんでいる。


「所長! ご無事ですか!?」


酸欠で未だ朦朧とする意識の外から名前を呼ばれ、自然とそちらに視線を向ける。


そこには二つの山があった。


おそらく氷柱が作った即席の足場でここまで来たのだろう。


現在、海面から顔だけ出した状態の俺を心配そうに覗き込んでいる璃亜はこちらに対し前屈気味に屈んでいる。するとどうだろう、大人っぽいシックな黒ビキニに包まれた豊満かつ張りと弾力に溢れた柔らかな双丘がセルフ押しくら饅頭の様な状態でこちらを向いていた。


「あの、本当に大丈夫ですか? 少しぼんやりしている様ですが…………」


その言葉にはっとして差し出された手を掴む。


「え、ああいや何でもない! ――――それより氷柱は!?」


俺を逃がすため、一人で海中に残った氷柱の身を案じる。そうだ、柔らかそうなふくらみに目を奪われている場合じゃない。いくら彼女が氷を操る雪女とはいえ、恐らく水を自在に操作できる能力をもつであろう妖怪と水中で正面からぶつかるのは流石に分が悪いだろう。


「ここからでは良く見えませんが、彼女も無茶をするつもりは無いでしょう。心配いりませんよ」


一本釣りでもするように海面で漂う俺を氷の足場へと引き上げる璃亜の顔に浮かぶ表情は言葉とは裏腹のものだった。

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