第九十一話 これも何かの縁ってことで
「あ、あの!危ないところを助けて下さり、どうもありがとうございました!」
助けてしまった流れでつい、少女を家の中まであげてしまった。立たせているのも可哀想なので取り合えず、いつも食事などを食べているリビングの席に座らせる。
「いや、それは別にいいんだけど……。どうしてあんな奴等に追われてたんだ?」
「そ、それは……」
何か言いづらそうに顔を俯く少女。――だが。
ぐぅうう~……!
「!!?」
何処からか聞こえてきた可愛らしい腹の音。発生源は少女の顔を見たら聞くまでもなかった。
「~ッ……!!」
「取り合えず、なんか食うか?」
……俺はこれ以上恥をかかせぬよう、顔を茹でダコのように真っ赤にした少女になるべく優しく、そう問いかけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お、美味しい……!!」
目の前に並ぶ数々の料理に少女は舌鼓をうつ。
余程お腹が空いていたのかな……?
せっかくだから俺たちもそのまま晩御飯の時間ということで一緒に座って、ご飯を食べる。
因みに、本日の晩ご飯は和食テイストである。机の上には、ほかほかのお米やみそ汁などのシンプルな物もあるが、今日買ったばかりの卵で作った茶碗蒸しと異世界の野菜をたっぷり使った筑前煮なども並ぶ。
「なんですか!この、この世のものとは思えない程の激うま料理は!」
「ここある料理、全部ポチが作ったんだよ!」
「そうなんですか……!とても美味しいです!」
目をキラキラと輝かせながら見たことのない料理を次々と口に運んでいく少女。どうやら和食をお気に召してくれたようで何よりだった。
「申し遅れましたッ!私は、エルナと申します」
ある程度、腹が膨れて満足したのだろうか?フォークを机に置き、頭を下げきっちりと自己紹介を済ませるエルナ。
「エルナね。俺はポチ。それでこっちの白髪がケンジで、この飯を沢山喰ってるドラゴンがクロっていうんだ」
「こんにちは!」
「クルピァッ!」
「で、エルナは今日はこの後どうする気なんだ?」
一先ず食事も終わり、皿を片付けながら俺はエルナに聞く。もう外は日が沈み、真っ暗になっている。
「あっ……そう、ですね。あの村にはもう戻れませんし……。今日は何処かで野宿することにします」
「なら、今日はここに泊まっていけよ」
「え?」
俺の突然の申し出に目を点にしたエルナ。そんなに驚かなくても、流石に俺も、こんな時間帯に一人女の子を外にほっぽりだせない。
「い、いえ、そんな滅相もない……ッ!見知らぬ仲だというに、ここまで親切にしてもらって、しかもこんな立派なお屋敷に泊まらせて貰うなんて……!!」
「別にもうここまで来て、飯もこんなに平らげたんだからそんな遠慮するもなにもないだろ?」
「ぅう……」
そう指摘されると、恥ずかしそうに小さな体をまた更に小さく縮こまるエルナ。
「それに女の子一人、こんな夜道に放り出すわけにもいかないし」
「え。いえ、私は――……」
「いいからいいから!取り合えず風呂入ってこいって」
「え、えっ?あの……!」
俺はエルナに有無を言わせず、今日干したてほかほかのバスタオルを渡す。
「ケンジー。暇ならエルナにここのお風呂の使い方、教えてあげてやってくれ」
「う、うん……!こっちだよ。エルナちゃん」
ケンジはまだ少し戸惑い気味のエルナを連れ、奥の脱衣室に向かっていった。
さて、俺はその間に今夜エルナの寝る場所の準備でもすっかね。




