第七十話 ギルドマスターさん
な、なんと今日見たら、異世界ランキングが日間28位にはね上がっていました。
なろう、恐るべし……!(;・ω・)
「初めてまして、ヒムラ・ケンジ君。まさかこんなところで直接会えるとは。是非私からも祝いの言葉を述べさせてもらってもいいかな?」
突然現れた謎のおじさんはケンジと目線を合わせるようしゃがみ込むと、ケンジの前に握手を求めるよう手を差し出す。
「えっと……」
「聖霊王祭、優勝おめでとう」
「は、はい……。ありがとうございます」
ケンジは差し伸べられた手に最初はどう返していいか分からず戸惑いながらも、謎のおじさんと握手を交わす。
「……うん、君は実に不思議な子だね」
「?」
ぼそりと何かを呟いた謎のおじさんはケンジから手を離し、目線をそらすと今度は受付机の前にいるリンダさんの目の前に立つ。そしてゆっくりと右手の肘を直角に曲げ、手をあげると……。
「私が許可しよう。ケンジ君がギルドに入ることを」
「!し、正気ですかッ!?室長!!」
男がそう言った途端に辺りにいて俺たちの話を聞いていた冒険家たちがざわついた。
な、なんなんだ?この一体、おっさん……。
俺とケンジだけはその場の雰囲気についていけず、置いてきぼりをくらったような顔をしていた。
「私は正気の正気だよ、リンダ君」
「そうですか?私には今の室長がとてもじゃありませんが正気の沙汰だとは思えません」
「はははッ!他の子と違ってやっぱり手厳しいなぁ~、リンダ君は」
謎のおじさんは豪快に笑い終わると同時に急に真面目な表情に変わる。
「けど、リンダ君。彼らは聖霊王祭で君の提示した以上の功績を残した。それなのに彼らをここでまた追い出してしまってはギルド以前の話の前に大人としての沽券に関わることになってしまうのではないかね?」
「そ、それはそうですが……」
「冒険家になりたがる若者は大勢いる。本当は私が一人一人見てあげたいところだが、私にも違う仕事がある……。だから、君たち『受付嬢』がその者の実力を見極め、判断する権限を持っている。そこにはいかなる理由があろうとも私情も持ち込んではならない。……だが、最終的な決定権は私にあるはずだ。違うかね?リンダ君」
「……!」
とどめをさされたかのように大きく、アーモンド色の瞳を見開いたリンダさん。
「……はい、そうでした。私の方が『受付嬢』としての公正で冷静な判断力が欠如していたようです。すみませんでした、室長」
何がなんだかわからない内にどんどんと話が勝手に進んでいく。
「あの~……お話しの最中、大変話の腰をおるようで悪いんだけど……この人誰?」
俺が謎のおじさんを指を指し、そう聞くとまた辺りの冒険家たちがざわつく。
えっ、何ッ!?俺、なんかそんなに変なこと言ったかぁ!?
「この人はここ『アベシス王国冒険家ギルド支部』を管轄されている室長……つまり“ギルドマスター”です」
「ぎ、ギルドマスターさん……!?」
「へっ……?」
「はぁ……要するにかいつまんでご説明させて頂きますと、このギルド内で一番偉い方です」
「初めてまして」
「へぇー……って、えええぇえッ!!?」
ギルドマスター?なんだそれ?っと俺だけが分からぬ顔をしていると呆れたような顔しながらリンダさんが俺に分かるよう噛み砕いて説明してくれた。
ワンテンポ遅れて俺は驚き、目の前に悠然と立つおじさんを見る。
『この人がここの一番偉い人なのか……』
もっとこう、俺は厳つい感じのおっさんみたいなのがやっているのかと思っていたのでこんな人の良さそうな優しい笑みを向ける人がやっているとは意外だった。
「取り合えず、ちょっと場所を変えないかい?ここじゃ、ちょっと出来ない話もあることだし」
室長さんはそう言うと後ろを指差す。俺たちの周りには取り囲むように数多くの冒険家たちの視線があった。
うわっ、なんか気づかない内に後ろが大変なことになってる!!
「悪いけど、リンダ君。応接室の準備を」
「かしこまりました」
素早く室長さんの指事に従い、応接室の用意をするためきびきびと動くリンダさん。
「これでゆっくりと話せるね」
ニコニコとそう喋る室長さん。
あぁ、またなんか人波乱ありそうだなと俺はひっそりと溜息をついた。




