第三十四話 帝国騎士団
昨日は突然投稿をお休みしてすみませんでした。
少し執筆が滞ってしまったもので……。こんなんでは楽しい小説は書けないなと思い一端休めることとしました。
せめて活動報告ぐらいには載せなければと思い、執筆作業のことは載せているのでそちらをご覧下さいませ。
後、後書の方にお知らせがあるので最後までご覧下さい。
「本当に申し訳ございましたー!」
今、俺の前で必死に頭を下げているのはあの家具屋のおじさん。
あの後、エルフの女性が慌てて事の経緯を説明し全ては自分の誤解だったとおじさんが気付いた時には既に時は遅し……。
すっかり俺は気を失ってしまっており、慌てておじさんは気絶した俺を店に繋がる自宅のベットまで運んだらしい。
「別に俺なら大丈夫だよ、おじさん」
「ほら! 怪我も一つないだろ?」っと、俺は殴られた頬を見せる。俺の言う通り、あんなにおじさんに力一杯殴られたというのに俺の頬には傷どころか殴られた形跡すらもなく俺は今現在ぴんぴんとしていた。
「けど、自分でもこう言うのは何なんですが私結構力作業などの仕事が多いので力には自信がありまして……。それなのに本気で殴ってしまいまして、本当に大丈夫ですか?」
「あー……俺、特別頑丈に出来てるんで」
さっきもこっそりと自分の【ステータス】を確認したのだがHPが1減っている程度だった。
どんだけ頑丈なんだよ、自分。
あははは……と俺が苦笑いで誤魔化していると、扉からあの可憐なエルフの女性が現れる。
「もう、貴方は人の話を聞かず勝手に熱くなってしまうのが悪いところですわ!」
「……返す言葉もごさいません」
頬をぷっくりと膨らましエルフの女性は年上でもあるはずのおじさんにも遠慮せずと責める。おじさんもエルフの女性には頭が上がらないのか体が縮こまる。
「いやぁ~……でも、びっくりしましたよ。おじさんの妻さんがまさかこんなに若くて綺麗な奥さんでしたなんて」
「はい、妻のロッテと申します」
可愛らしく赤いドレスの裾を摘みお辞儀するロッテさん。こんな若くて可愛らしいエルフ耳の女の子と50のおじさんが結婚しているなんて、俺たちの世界ならある意味犯罪に近いな。
「ロッテは半分エルフの血を引いているハーフエルフで、若く見えてますが実は私より10歳も年上なんですよ」
「じ、10歳も!? ろ、ロッテさん一体年いくつなの……?」
どう見ても20前半にしか見えないロッテさん。俺は衝撃のあまり開いた口が塞がらず、ロッテさんの頭から足の爪先まで何回も見返す。ダメだ、どう見ても可愛らしいエルフの女性にしか見えない。女性に歳を聞くなんて失礼だとは百も承知だが、俺の思考は完全にスパークしていた。
「もう今年で66歳のおばあちゃんになりますわ♪」
頬に手を添え恥ずかしそうに自身の年齢を言うロッテ。
「ろ、66歳ッ!?」
「はい!」
66ってッ……?!り、立派なお婆ちゃんじゃないか……!
異世界ってマジパネェー。
「そして10年前にこの人、ニルと出会って結婚しました!」
「えへへ……!」
二人は新婚さんのようにラブラブな様子でぴったりと寄り添う。おーい!怪我人の前でハート飛ばすな、お二人さん。俺の頭にはぐさぐさと二人のハートマークが突き刺さる。
「寿命は人間と同じぐらいなんですけれども、ハーフエルフは少し若く見られやすくてよく誤解されるんです」
いやいや、これは少しどころじゃないでしょ!ロッテさん。こりゃ誰だって誤解しますよ。肌だってどう見たって20代のハリだし。
……ていうか、おじさん! 生前の俺は歳=独身歴となんとも寂しい人生だったというのに俺より6歳も年が上で、こんなラノベとかに出てきちゃいそうな可愛いハーフエルフの嫁さんゲットするとは……!
『なんて羨まッ……!いや!!恐ろしい男なんだ!』
「そう言えば旅人さんのお名前を聞いておりませんでしたね」
「あっ……俺、ポチって言います」
「ぽ、ポチさんですか?……なんかワンちゃんみたいなお名前ですね?」
「こ、こら!ポチさんに失礼だろ、ロッテ……!!」
あー、もういいんだ。俺は気にしないことにした。
「そういえばロッテさん。あのさっきの青年が言ってた聖騎士団って一体何?」
「えっーとですね……。先程の騎士様たちは西の方の国アルニカ帝国皇帝の直属の部隊『アルニカ聖騎士団』という騎士団に所属している騎士で、世界でもトップクラスに入る軍事力を持ち、魔法や剣術などの実力者揃いの世界最強の騎士団なんですよ! で、きっと先程の騎士様はアルニカ聖騎士団第3部隊副隊長『翡翠の厳格者』ギル・アルベルト様ですわね」
「へぇー、なんか凄い強そうですね!」
あの青年そんな有名人だったのか……。ふぅー、危ねぇ危ねぇ! そんな奴の前で魔法なんか使ったりしたら変に目立つとこだったわ!
俺はほっと胸を撫で下ろす。なるべく目立たずひっそりと田舎暮らしをしたいだけだからな。必要なこと以外は干渉はしたくない。
「あのー、ポチさん。お礼と言っては何なんですけども、是非私が縫ったこの絨毯を受け取って貰えませんか?」
ロッテさんが俺に差し出してきたのはあの俺が見つめていた白い絨毯であった。
「えっ? いいんですか?」
あんなに細かな絵柄が施された刺繍だ。きっとかなりの時間も労力も掛かっているはずだろうに……。
「ニルから聞きましたわ。凄くポチさんが私の作品を誉めて下さっていたと」
愛おしそうに絨毯に指で撫で上げて見つめるロッテさん。
「私は大切な作品だからこそ同じ風に大切に扱ってくれる人に渡したいのです」
「ねぇ? いいわよね、貴方?」とロッテがニルに頬笑むとニルもにっこりとして「あぁ、勿論だとも」とゆっくりと頷く。
「きっとこれも何かの縁と思い、受け取って下さいませんか?ポチさん」
「……分かりました。ありがたく頂戴しますね、ロッテさん」
俺はニル夫妻から白い絨毯を受け取る。
「あっ、でも俺ちょっと今は荷物が重くて運べないかも……」
「それなら、こちらの方でポチさんの近く村に運送できるよう手続きをしときましょうか?」
「え、そんなことできんの?」
「はい、2日か3日ぐらいで村には届きますので。他の荷物も一緒に送りましょうか?」
「おぉ、助かるよ!」
俺は魔法道具以外の荷物をニルさんに預け、始まりの村へと運送して貰えるよう手続きをしてもらうことにした。
ここまでして貰っておいて何も買わないで帰るのも悪いなと思ったので、折角荷物のことも心配せずに買い物できるようになった俺は純白鴎の羽根を使った羽毛布団と細かな家具もそこで買い揃え、多少おまけして貰い金貨1枚ぴったりに納めてもらった。
そろそろ時間も遅くなってきたので、俺は夫婦にお礼を言い、店を後にしバイクを隠したところに戻り魔法道具が入ったバックを持って帰ることにした。
帰りの道、来た道をなぞるようにバイクを走らせていると何やら騒がし音が風に乗って聴こえてきた。『ん? なんだこの音は』と俺は気になり少し帰り道から逸れ、寄り道することにする。だが、あまり帰りが遅いとケンジが不機嫌になるので早めに様子だけ見て戻ることにしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「て、おいおい……」
バイクを停め、俺が遠目から見たものは3㎞ぐらい先にかなりの量の積荷を積んだ数台の馬車の荷物を狙い恐竜のようなモンスターが群れが馬車へと襲い掛かっていた。俺は直ぐに襲い掛かっているモンスターをスキル【鑑定】でモンスターを調べる。
《モンスターNo.15小爪竜》
*Lv 20
HP 358/358
SP 80/80
攻撃力 138
防御力 98
捕獲ランク D
ランクは低いようだが数が多く、こちらから見ただけでも30匹以上はいるだろう。
「ん? あれは……」
俺はスッと赤い瞳を細めた先に見えたものは、あの青年の姿であった。あの青年だけではなく犬耳少女と巨大な男の姿もあり、一緒になって戦っているがやはり積荷を護衛しながらあの数を相手にするのは無理があるのか、苦戦している模様だった。
俺は迷った。助けてやりたいが時間もないし、それにここで変に目立つと後が面倒になりそうだったので。でも、そうして俺が迷ってる内に三人は確実に徐々にと小爪竜の群れに追い詰められていく。
「……あぁ!くそッ!」
――最早迷ってる時間などなかった。
俺はしっかりとゴーグルをつけ直してバイクのアクセルを全開に回しエンジン音をけたたましく鳴り響かせ、彼らの援護に向かうためバイクを走らせた。
読者さまに30000PV記念&感謝の気持ちを込めて、イラストを久しぶりに描いて載せたいと思います。
それでなのですが企画として、ポチ(人間)かケンジくんかどっちの方のイラストを見たいか票をとりたいと思います。
投票方法や詳細は一番新しい活動報告に書いてあるのでご参加お待ちしています。




