14、ダメです!
結局、僕が受けたDランクの依頼は、Cランクの不良パーティー、Dランクの学生パーティー、Dランクの正統派パーティー、Fランクの僕の計16人で行くことになったのだか、すでに問題が発生した。
不良5人組、改めジャイアントがリーダーパーティーになってしまったのである。噛み砕いて言えば、ジャイアントの指揮系統に入るということだ。
まあ、ランクが上だから仕方ないけど......でも、せめてリーダーは真面目そうな人が良かった。
ちなみに、単独行動は危険で邪魔だということで、僕は学生パーティーに入ることになった。素直に、一番話しやすいパーティーに入れたのは嬉しい。
「あの、すみません。1つ聞いても良いですか?」
「なに?」
「このパーティーの戦い方について聞いても?」
使う武器から、ある程度は予測できるが、万が一とんでもない戦い方をしていたら困る。例えば、全員で敵に突撃とか、壁を張って上からチクチク攻撃とか。
「斥候のルークが敵を見つけて、カインの大剣かメイの魔法で攻撃を防いで、その間に手が空いている人が敵を倒します」
聞いた感じは特に問題が無さそうなだ。まあ、実践を見るに越したことは無い。百聞は一見に如かずだ。
冒険者協会でリーフィアさんにもらった地図を見ると、まだ森は遠そうである。食料はたくさんあるが、1泊くらいで帰りたいものだ。
スキル『魔力感知』で魔物がいないか探しているが、僕の探査範囲内にはいなさそうである。ここは街道だから整備を習慣的にしているのだろう。他のみんなも、遠足に来たみたいに呑気に話している。
僕が神経質過ぎるだけかな?
「ルイ君、それって」
「アイテムボックスですね」
これはフィリアさんからの餞別だ。そして、これの中に他のメイドさんからの餞別が入っている。中身は美味しいものらしい。
前世でもアイテムボックスを知っていたが、想像以上に便利だ。僕は一生持てそうにないオークをアイテムボックスに入れると、重さが無くなるなんて感動ものだ。
実際、初めてもらった日は僕の部屋にあるものを片っ端から入れて、フィリアさんとの訓練に行った。結果がどうなったかは内緒だが、整理整頓するのが大事なのだとその時学んだ。
「珍しいものを持ってるのね」
「珍しい?」
「ええ、空間系の魔法を使える人は少ないし、ダンジョンからのドロップも少ないからね。そんなことを知らないなんて、まるで貴族の子供みたいね」
「そう言うエリナも子爵家の出だろ?」
「ええ、そうね。でも、それは昔の話。今は、ただのエリナよ。ルイ君、私が貴族なのは気にしなくて良いよ」
へえ、エリナさんは貴族だったのか。どうりで、1人だけ高そうな剣を持っているわけだ。
僕は貴族かどうかなんて面倒臭いから、気にしなくて良いのは助かる。というか、気にしなくて済むから、僕は冒険者になろうと思ったんだし。
バッーン
何かが爆発したような音が聞こえてきた。丘の向こう側から煙が上がっているのが見える。僕は自分が何をすべきか一瞬で分かった。
逃げよう!ああいうのは面倒臭い事だと相場が決まっている。さて、このパーティーのリーダーを説得しなければ。
僕がそう思って振り向くと、すでに戦闘態勢になっていた。カインさんは大剣を地面に突き刺し、ルークさんは煙の方に走り出そうとし、メイさんはもう魔法の詠唱を始めている。エリナさんに至っては、深呼吸をしている。
「エリナさん?」
「......どうしました?」
「指示を出さないんですか?」
「まだ敵はいませんし、みんな分かってますから。そうですね、ルイ君は」
変なことを指示されたら面倒臭い。
「僕は様子を見てきますよ」
「危ないから止めた方が良いわよ」
僕はこのパーティーの最大の弱点を見つけてしまった。リーダーがいないのである。リーダーもどきはいるが、真のリーダーがいない。
それに......後ろか!
「スキル『絶対防御』」
ドーン、ドーンドーン、ドドーン
僕がスキルを使って、全員を取り囲むようにシールドを張った瞬間、火球が降ってきた。それも無数に。何とか丸焼きにならずに済んだわけだが、のんびりとはしていられない。
それに、魔法が勝手に土から生えてくるわけが無い。魔法があるということは、魔物もしくは人間がいるということだ。
魔法が飛んできた方向から、敵は近くの林に隠れている。そして、僕たちの少し前を行く不良パーティーと正統派パーティーも襲撃を受けているのだろう。微かだが、剣と剣が交わる甲高い音が聞こえる。
「エリナさん、指示を」
「えっ、私なの?どうすれば、良いのかしら?」
いや、あんたはリーダーだろ。この3時間弱で、パーティーを組むことの大変さがよく伝わってきた。しっかりと役目をこなせない人と組むのは面倒臭そうだ。
「俺とメイが突っ込んで、リーダーたちは後から来れば良いんじゃないか?」
まあ、さすが脳筋と言ったところだ。勝手に突っ込まれても困るから、この案はダメだ。
「いや、私が行って一撃放ってこよう」
こっちの魔法少女は大火力でどうにかするつもりか。使い方を見極めるのが難しそうだ。
「じゃあ、それで」
このリーダーもダメみたいだ。どうりで、このパーティーがDランク止まりなわけだ。それぞれは強いのかもしれないが、如何せん、それぞれが勝手に動いているから、パーティーとしては弱いのだろう。
そして、そんなパーティーに僕は一時的ではあるが、参加してしまったのだ。何もしないと、僕にまで被害が及びそうだ。ああ、面倒臭い。
「ダメですよ!」
「ルイ君?」
動き出そうとしていた各々が僕を振り返った。
やっぱり、他人からの視線を浴びるのはイヤだ。何かこう、一気に重圧と責任がのしかかったような気にさせられる。
きっと、僕の戦いは魔物に遭遇する前から始まってしまったのだろう。こんな面倒臭いことはしたくないんだけど、早く戻らないとレベッカさんが魔法を放ちそうだ。
まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。
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