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12、依頼受注!

 無事に冒険者登録を済ませた僕らは、早速依頼を受けることにした。まずは良さげな依頼を探そうと思ったのだが、すでにレベッカさんが依頼板から依頼が書かれた紙を取っていた。


 まあ、折角選んでもらったのだから、その依頼を受けようとしたのだが、その依頼書に書かれた絵を見て察した。これは僕たちじゃ無理だ。


 レベッカさんは満足そうに依頼書を持っているが、ちょっとそれは無理な依頼だ。竜王様が羽虫を叩くかのように倒しているのを見ているのだろうが、そのBランクの魔物が羽虫だったら、僕は(ちり)か何かだろう。


「レベッカ、この依頼なんだけど」


「どう、完璧でしょう?」


 お茶碗に上手くご飯をもれた子供のように満足そうにしているが、それはお茶碗じゃなくて、湯呑みだったようなものだ。僕が竜王様だったら、その選択は正しいが僕は人間だ。それも14歳の子供だ。正確に言うと、心はもう大人なのだが。


 何と言って説得すべきなのか分からない。


 やっぱり、こういう時は一番詳しい人に頼むのが吉だろう。


「レベッカ、リーフィアさんの所に行ってきたら?」


「分かったわ」


 リーフィアさんが上手く収めてくれると良いんだけどな。さすがに、成りたてほやほやの冒険者2人で、ゴブリンキングダムを倒すのは無理だ。ただのゴブリンの集落ならまだしも、これはゴブリンの王国のようなものだ。


 僕だって、ゴブリンの集落くらいは倒した事があるが、その時は7日間毎日、その集落にゴブリンを倒しに行って、やっと全滅にできた。


 今の僕だと、ゴブリンキングダムを統べるゴブリン・キングに勝てるとは思えない。それに、ゴブリン・クイーンの多重詠唱魔法にやられてしまうかもしれない。


「何ですって!」


「自分のランクの1つ上の依頼までしか受けられないって言いましたよね?強いのかもしれませんが、これは規則ですから」


「私はゴブリンなんかに負けません!あんな、葉っぱみたいな魔物に負けると思ってるんですか」


 多少は粘ると思っていたが、まさかここまでだとは。僕だったら、こんな面倒臭いことはしない。


 というか、そもそも初日からBランクの魔物なんて倒しに行かない。こういうのは、少しずつハードルを上げていくのが良いんだ。第一、変に目立つのも面倒臭いし。


 竜族の誇りとやらで。レベッカさんは負けられないらしい。このまま放置しても良いが、あんまりリーフィアさんからの印象が悪くなるのも、これからの事を考えると避けたい。


 面倒臭いが、レベッカさんに戦略的撤退だと思わさなければ、絶対イタチごっこになる。


「レベッカ、リーフィアさんを困らせるのは程々にしなよ」


「私も困ってます!」


「今日はDランクの依頼にしない?」


 僕たちのランクはFランクだが、リーフィアさんもレベッカさんに絡まれるのはイヤだろう。つまり、良い塩梅さえ提示できれば、それに乗ってくれるだろう。


「......」


「リーフィアさん、すみませんでした。Dランクの指名依頼を受けられませんか?」


「よく知ってるわね」


 まあ、ゲームで指名依頼という文字はたくさん見てきた。でも、さすがにBランクというわけには行かない。


 指名依頼が失敗したということは、そのギルドがそれぞれの冒険者の実力を分かっていないことを表す。指名依頼に失敗するのは、ギルドの評判までも落としてしまうのだ。


 でも、Dランクなら失敗することは無いだろう。それくらいの敵は、うちの裏山で倒していた。フィリアさん程では無いが、ある程度の知識もある。


「ダメですか?」


「......分かったわ。じゃあ、これをお願い」


「ありがとうございます」


 フィリアさんもスゴかったが、僕の目の前で涼しい顔をしているリーフィアさんも相当だ。こんな迷惑客を顔色1つ変えずに処理するとは。


 それにレベッカさんから微かに漏れ出ている魔力を感じているだろうに、驚いた様子も怖がっている様子も無い。むしろ、楽しんでいるようだった。


 依頼の方は片付いたのだが、まだ問題が残っている。それは僕の隣で顔をプイッと横に向けているレベッカさんだ。まったく、親の竜王様もよく分からない人だったが、娘の彼女もよく分からない。まあ、僕が行動を想定できないということもあるが。


 リーフィアさんが依頼の説明をしている最中も終わってからも、プイッと横を向いたままだった。


「レベッカ、リーフィアさんの邪魔だから行こう?」


「随分と優しいのね」


 レベッカさんが外の景色を見ながら呟いた。ただ淡々と。


「?」


「リーフィアには随分と優しいのね」


 まあ、優しくはしたけど......別に何か言われるような事じゃないよな。これから世話になるだろうから、親切にして僕の評価を上げておくべきだ。


 それより、僕はそんなにマズい事をしたのか?


 心当たりは無いのだが、これまでを踏まえると、きっと何かしてしまったのだろう。まあ、分からない事を考えるのは面倒臭いし疲れる。


「つまり?」


 僕をキッと睨んでから、冒険者協会の出入り口のドアの方に向けて歩き始めた。


「私は帰ります。あとはお好きにどうぞ」


「......でも、依頼が」


「仲が良い人と行けば良いんじゃないですか?そう、例えばリーフィアさんとか」


 声がいつも以上に冷たい。何でかは分からないが、とりあえずレベッカさんが怒っているのは分かった。


 依頼の期限が3日間だから、依頼をクリアしてからレベッカさんとの問題を解決しよう。ああ、本当に面倒臭い。でも、後味が悪いのはイヤだから仕方ない。

まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。


もし面白いなと思っていただけたなら、ブックマーク登録、ポイント、リアクションもお願いします。


ぜひ他の作品も読んでみてください。

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