hg14 WELCOMEについて
この間の訪問は実を言うと期待外れだったとは言え、また来るのかと思うと苦笑いの一つでも浮かべたくなる。そんな台風一過。
「どうせなら授業を潰してくれたら台風だってウェルカムなのにね。そんなわけで『WELCOME』。これは一九九三年の九月に発売されたアルバムだよ。そう言えば『Diamondハリケーン』のカップリング曲も『welcome!』だったけど一切関係ないよ。この時期から7th Anniversary HIKARU GENJI Since1987という文字をメンバーの名前のアルファベットで囲んだロゴマークが登場するけど、それに合わせてメンバーがそれぞれセルフプロデュースした楽曲が並んでいるといのが今回の趣向となっているんだ」
「ジャケットは青地に結構原色きつめのファッションを着こなした七人って感じね。ルックスは非常に良くまとまってるけど、ツーブロックの茶髪になった赤坂や前髪を全体的におろした佐藤敦啓あたりがやや印象的ね。それと茶髪にしてサングラスかけた諸星は韓流スターっぽい」
「このアルバムの写真は、メンバーの総合的なルックスで言うとかなりのトップクラスと断言出来るね。しかしこう見ると九三年あたりから随分九十年代らしくなってきたかなという感覚はあるね。それまでは八十年代的イメージ濃厚だったけど、このルックスならまだ戦えそうだと思える」
「そして楽曲はと言うと、まずは『傷ついた世代』。作詞内海光司、作曲山口美央子、編曲米光亮」
「これは作詞からしても分かりやすいけど内海プロデュース。曰く内海版『ガラスの十代』という世界を目指したらしいよ。ただ当時より大人になってるからね。歌唱力の安定は力強さを生み出しており、崩れそうな繊細さを醸し出しているのは間奏の斎藤ネコによるヴァイオリンなどもっぱら演奏方面と歌詞。歌詞はソロ曲の時以上に力入ってる印象だし、楽曲としては堅実というか良く出来た曲だよ。特にCメロは綺麗でいいね」
「次は『三日月の夜に…』。作詞佐藤敦啓、作曲編曲もりくん、コーラス編曲鈴木弘明」
「これは佐藤敦啓プロデュース。『Pocket Album』でソロ曲を作ってくれたもりくん再登場と言う事で、曲調は言うまでもなくノリのいいロックンロール。また、前回は作曲だけだったけど今回は編曲ももりくん担当と言う事でよりライブ感を濃厚にしてるのも特徴。がやがやした声や手拍子などが常に鳴り響いてて、狭いライブハウスで一発ガツンと歌ってるイメージだね。演奏者もいつもの経験豊富なスタジオミュージシャンではなくてギターもりくん、ベース大木温之、ドラム佐藤シンイチロウ、キーボード伊東ミキオという若いバンド系メンバーが集まってる独自路線だし。大味な歌詞をざっくりとした歌い分けで各メンバーが歌っていくラフなスタイルは他にない個性となっているよ。楽しそうな感じ」
「次は、ええっと、このタイトルは、何? とにかく作詞佐藤寛之、作曲谷本新、編曲井上日徳」
「タイトル『…。』は『信じて』と読むらしいよ。口にはしないけど心の中では、って事なのかな。佐藤寛之プロデュース。打ち込み基調でシャープな印象のダンスナンバー。作曲の谷本はSMAPとか後のKinki Kidsや嵐にも多く提供してる人。編曲の井上は打ち込みとギターのハードな質感が印象的な人だけどギターに関してはまだ控え目かな。歌詞は、もう別れてるけど君を忘れられない、ずっと想っているよというある意味いつもの佐藤寛之の路線だけど、メンバー全員で歌うことで得られるパワーってのがあるからね。地味と言うか控え目なサウンドだけど、印象は悪くない」
「次は『WAI WAI HOLIDAY』。作詞MOTOMY、作曲岡本朗、編曲井上日徳。やっと作詞にメンバー以外が来たわね」
「これは赤坂プロデュース。晴れた休日だから街に出て騒ごうぜって陽気なレゲエ。何か専門的なジャンルで言うとラガマフィンレゲエってのらしい。これは電子音楽を用いたレゲエのジャンルって事、なのかな? そういうジャンル分けに関して詳しいわけじゃないしヤブヘビになりそうだからここまでにするけど。間奏で赤坂が英語で謎語りしてるのが印象的な、明るい曲だよ。それとブックレットには歌詞の前にプロデュースしたメンバーによるコメントがあるけど、それによるとこの曲は『赤坂晃の世界』らしいよ。正直どこが? と言うのはあるけど。クールな王子様系イメージは演じてるだけで本来はこうなんだって事なのかな。関係ないけどレゲエと薬物って何となく近しいイメージあるよね」
「そ、そういうのは良くないわ。まだこの頃は使ってなかったでしょうし。次は『BREAK DOWN BOY』。作詞松井五郎、作曲編曲和泉一弥」
「これは大沢プロデュース。性急なテンポに合わせて虚無的な破滅願望とも思える歌詞が歌われるハードなナンバー。よく言われるのがアイドルを演じるのが辛くなってきた大沢の心境がこんな感じだったって事だけど、まあそうなんじゃないかな」
「次は『星が生まれた』。作詞高柳恋、作曲編曲田中厚」
「これは山本プロデュース。ロマンチックなバラード。以上。いや、悪い曲じゃないけど、特に語る事はないかなあって感じ。間奏のチェロとかいい感じだけど結局はロマンチックなバラードってところに全部収斂するから」
「そして七曲目は『2.5.7』。作詞作曲KA-KUN。編曲小西貴雄」
「これは諸星プロデュースで、ファン人気ナンバーワン楽曲でもあるんだ。作詞作曲は一瞬KAT-TUNに見えるけどまったく関係なくて、かーくんこと諸星その人。ラップと言えば『急がなきゃ食べられちゃう』ではやらかしたけどちゃんと反省したんだろうね、そのクオリティは前作とは雲泥の差」
「半年でそんな変わるものなのね」
「歌入れに相当時間かけたみたいだからね。タイトルは光の二人とGENJIの五人を合わせて光GENJI七人という意味で、歌詞カードにほとんどは記載されていないもののメンバーについて歌われているんだ。割と汚いというかフランクな表現も多いけど他ならぬ諸星本人が書いたものだからね、ファンなら『それも愛ゆえ』と思うものだよ。サウンドに関しては、かなりギラギラした音となっているのが特徴。全体的にラップだけど歌詞が掲載されている部分ではしっかりとしたメロディーがあって、ここのパートもまた良い。まとめると、要はSMAPの『FIVE RESPECT』とか、自己紹介ラップみたいな路線の曲は後輩にもいくつかあるけどその親玉みたいなものだね。まあこの曲に関しては出来がどうこうじゃなくて、その成り立ちからして反則みたいなものだからファン人気ナンバーワンなのもある意味当然だね。光GENJIの曲で一番内輪向けだもん」
「次は『君の涙に虹を見た』。作詞作曲編曲大内義昭、コーラス編曲曳田修。これは誰のプロデュース?」
「ああ、それはもう終わったからいつも通りの曲だよ。GENJI曲で、スラッとしたちょっとお洒落なメロディーと純粋さを強調したような歌詞は素直で良いと言えるよ。まあ何よりも一番いいのはタイトルなんだけどね。本当に好き。曲を作った大内は小比類巻かほるなんかに曲を提供していた人だけど、この後に藤谷美和子とのデュエットした『愛が生まれた日』がミリオンヒットとなるんだ。でもこの曲は他人が作った曲なんだよね。こっちじゃ作詞作曲編曲全部に関わってるように実力のあるミュージシャンなのにね。まあ人生なんてそんなものなのかな。世間的には一発屋的な扱いがなされる事もあるけど、今は出身の北九州に戻って音楽活動を続けているらしいよ」
「ふうむ。次は『PARTY』。作詞津田りえこ、作曲水島康貴、編曲米光亮」
「こっちは光曲。アダルトな雰囲気で、タイトルを連呼するサビはそれなりにインパクトあるけど正直どうって事もない曲かなあ」
「最後は『2000年の翼たちへ』。作詞松井五郎、作曲羽田一郎、編曲米光亮」
「これは七人で歌った曲。羽田作曲だけど特別ダンサブルって事はなく、でもミディアムテンポでなかなかいい曲だよ。間奏のキーボードの音色なんかは結構好き。歌詞は世紀末だった当時における近未来であるミレニアムの変わり目と、その時を過ごすであろう未来の子供たちへの応援歌ってところかな。歌詞やタイトルに年号入れたらどうしてもそれが過ぎさると古くなるのは仕方ないよね。今となっては過去の歌って事になるけど当時にしてみれば同時代を生きている感みたいなものもあったろうし、そこは痛し痒しだね。それと、この歌詞が載ってるページに使われてるメンバー七人の写真はとても素晴らしいよ。白やナチュラルな色合いが基調のすっきりとした衣装は今見ても痛々しさをそれほど感じさせないし、全員がしっかりとしたルックスなのもこの時期の大きな特徴だけどそのいいところがうまく噛み合ってる。髪型も見られる範囲だし、そんな集合写真ってそうないからね。他には『VICTORY』の『CANDY GANG』のところとかも好きだな」
「ともかくこれで全十曲、全て終わったわね」
「じゃあアルバムの総括と行こうかな。変な言い方になるかと思うけど、スタッフはもう開き直ったんじゃないかな。前回の『SPEEDY AGE』で当時流行のダンスナンバーを採り入れた新しい光GENJI像を提示したけど特に売上が伸びたって事もなく、それならいつも買ってくれるファンに向けたアルバムを出してもいいじゃないかってね。メンバーのセルフプロデュースって方法論からして内輪向け全開なんだけど、メンバーの人数と同じ七周年のアニバーサリーを祝うという名目もあるし。とにかく他のアルバム以上にファン向け要素が強いね。ただここまで追いかけてきたファンは感涙ものでしょ。大人になったメンバーがついに楽曲をプロデュースするまでに至ったという成長を明確な形で見られたんだから」
「それにしても各メンバープロデュース曲にGENJI曲と光曲、最後に七人で一曲って結構収まりがいいわよね」
「それはそうだけどね。ファンは当然喜ぶよ。特にお気に入りのメンバーがいるようなファンはね。でもファン以外からすると極端にまずい曲はないもののキラーチューン不足で『まあ悪くはないけど……』ぐらいになるんじゃないかな。『2.5.7』がファン人気ナンバーワンってのも理屈からすると当然だけど実際フラットな状態で聴いてみて光GENJI全曲のうちで一番いい曲だと思う人はどれだけいるだろうかってところだからね。個人的にはこのアルバムで一番好きなのは『2000年の翼たちへ』なんだけど、これもやや地味で決定的な楽曲ではないし。メンバーの曲では『傷ついた世代』かな。歌詞とか何か格好良いし。相変わらず中古なら安価で購入可能だけど、最初の一枚としてではなく、ある程度グループへの愛が深まってメンバーの個性とか理解した上で気になったら手を出すべきかな」
このような事を話していると敵襲を告げるサイレンが室内に鳴り響いた。幸い、まだ嵐は遠い海の向こうを漂っている。さっさと決めようと変身して秋風の中へ飛び出した。
「ふはははは、私はグラゲ軍攻撃部隊のセグロセキレイ女だ! この星も我らグラゲの縄張りとするのだ!」
招かざる客の到来である。セグロセキレイ女は川辺に降り立ち、すぐさま破壊活動を開始しようとしたが地球の牙はすぐさまその陰謀を阻止すべく立ちはだかった。
「勝手に入り込んできて縄張りとは感心しないなグラゲ軍!」
「地球だってあんまり害をなすような客はウェルカムとは言えないわね」
「ふん、現れたな例の二人。こいつらを倒せば出世は確実、司令官も夢ではないわ。さあ、かかれ雑兵ども!」
セグロセキレイ女の号令で飛びかかってきた雑兵を次々と破壊して、気付いたら残るのは三人だけとなった。
「あとはお前だけだなセグロセキレイ女!」
「出世するにしてももっとうまいやり方だってあるでしょうに。あんまり勝手な事言われても困るわ」
「黙れ素人が! こうなったら仕方ない。一気に決めるとするか」
そう言うとセグロセキレイ女は懐に隠し持っていたスイッチを押して巨大化した。渡海雄と悠宇も対抗して合体した。
「メガロボット!!」
「メガロボット!!」
セグロセキレイロボットの素早い動きから繰り出される切り裂き攻撃に手こずりつつも悠宇は持ち前の反射神経で回避を続け、懐に入り込んだ。こうなってはさしものスピードも無力化してしまう。
「よし、今よとみお君!」
「任せて! スプリングミサイルで勝負だ!」
渡海雄は橙色のスイッチを押した。足の部分から突如発射されたミサイルはセグロセキレイロボットの胴体を大きく破壊せしめた。
「くっ、さすがに簡単にはいかんな。命あっての物種だ。撤退する」
爆散する寸前に作動した脱出装置に乗せられてセグロセキレイ女は地球から去っていった。さて、連休を襲う嵐はどうなってしまうのだろうか。そんな時期にCSのファーストステージも開催される。野村監督退任が発表された広島はどこまでやれるか。去年の段階で体調不良のため辞めるかもという報道もあっただけに今回の退任は想定の範囲と言える。戦力ははっきり言って厳しいが、少しでも意地みたいなものを見せてほしい。
追記。結局CSは敗退した。第一戦は前田見殺しで追い込まれると第二戦は大瀬良好投もまたも打線沈黙で終了。一分したのは意地を見せたと言っていいのか。いや、言えまい。さすがに無得点では。まあ、終わったものは終わったのだからここまでにしよう。新監督誰かなとかドラフトとか、次の楽しみ方に切り替えていく。
今回のまとめ
・グループやメンバーへの愛着如何で評価は変わってくるアルバム
・そういう点で言うと後追いファンにとっては100%理解しきれないかも
・ただメンバー全員の総合的ルックスは抜群
・週末に台風が来るのはちょっと面倒かな




