16輪目~不吉な迷信・梅干しにカビが生えた
ミイ『たぬきは迷信て信じる?』
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ある日 梅干しを食べようとしたら
白いふわふわのカビがたくさん生えていた。
"梅干しにカビが生えると
不吉なことが起こる"
と聞いたことを思い出して
誰にも見られないように捨てた。
迷信だから気にしないようにしていたが
それからすぐに
父に認知症のような症状が出て
体調も崩し自営業の店を
閉めることになった。
何年も前から店の経営が
上手く回っていなかったことを知る。
借金があったこと
店を引き払う日が決まっていたこと
自宅も引き払う日が決まっていたこと
引っ越し先はまだ決まっていないこと。
引き払うギリギリで
引っ越し先が決まり
ホッとしたけれど
引っ越しの準備が大変だった。
手伝わない兄。
座って見ているだけの父。
母がメインで動き
私は仕事の合間に手伝う。
もう…
気が変になりかけていたのかもしれない。
何もかも捨てる勢いだった。
母は黙々と無感情で物を捨てる。
ふと気づくと7段飾りのお雛様を
捨てていた。
声をかけられないぐらい
異様な雰囲気で捨てる母。
母の目は死んだ魚みたいになって
黙々と捨てていた。
私は止められなかった。
悲しさと諦めと何もできない気持ちで
ただただその光景を見つめていた。
思い出いっぱいの住み慣れた地元を
離れるのは辛かったけれど家族の責任だ。
引っ越してからも
着物のタンスや洋服ダンスを処分した。
処分するのにお金がかかるし
私は置いといて欲しかったけれど
その時も何も言えなかった。
母はいろいろと心に疲労を
溜めすぎてしまったんだと思う。
それからも気が休まることはなかった。
引っ越してすぐに
『この辺りを散策に行く』
と言って父が出ていくと
気づかれないように
母が心配して後をついていく。
知らない家を自宅と勘違いして
ドアを開けようとしたり
自動販売機の前でしばらく立ち止まったり
家のすぐ近くなのに道に迷って
考えるようにしばらく立ち止まったり
していたらしい。
母は疲れていた…。
そんな矢先
父は癌が発覚して入院。
末期癌だった。
父には申し訳ないが
母は父が病院にいる方が
安心だったと思う。
兄は父との関係が悪く
お見舞いに1度も行かなかった。
母は張りつめていたものが切れたのか
体調を崩したり、足腰に痛みが出たりして
あまりお見舞いに通えなかった。
私は仕事の合間に
毎日 父に会いに行った。
私が行かなければ
父は1人になる。
義務でもなんでもなく
私が父に会いたかった。
後悔したくなかったから
時間を作って会いに行った。
17輪目に続く。。




