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ストラテジー~知略の勇者~  作者: 鷹飛 諒
第一章
8/31

~手のひら返しと仕返し~(3)

どうも鷹飛 諒でございます!

話の続きです。

では!

「ねぇ、和人兄ちゃん。ほんとによかったの? あんなことして」


 カムが不安そうにオレを見つめる。前々から思っていたが髪がぼさぼさ少し汚れている為男らしい雰囲気が見て取れるが、髪を整え清潔にすれば何とも中性的な可愛い顔をしている。


「和人兄ちゃん?」


「あ? ああ、ごめんな。それは大丈夫だ」


 オレはニッとした顔をカムに近づける。


「それはどういう事なんだ? 和人君」


 オレは振り向くと、そこには涼音の姿があった。見たところ涼音だけではない。後ろには大樹、壮介、琴音の姿があった。


「そうだぜ、和人。あれは正直俺もスッとしたが~客観的に見ればやりすぎって言われても仕方ねぇぞ。あとの仕返しとか考えなかったのかよ」


 大樹の問いに、壮介、琴音も賛同した様子だった。


「で、大丈夫とはどういう事なんだ?」


 涼音は少し厳しめな表情で詰め寄る。


 オレがのけぞるほど顔を近づける涼音に少々どぎまぎしながら、涼音が離れてくれるまで待ち、ゆっくりと口を開く。


「大丈夫だよ。手は打っといた」


「手? 手とはなんだ?」


「かいつまんで話そうか。サザラールは悪い貴族の典型だ。偉い奴には媚びへつらい、自分より下は嘲笑う。そんな奴がオレを格好のカモとみて、自分の優位さとオレの無能さを周りに見せつけるために今日、オレをなじった」


「なぜ君をなじる?」


「そりゃ、自分が楽しいからに決まってるだろう」


「…………」


 オレは顎に腕に手を当て、うーんと唸る涼音に疑問がよぎったが特別気にすることなく話を続ける。


「でも、オレはことごとく反論して痛いところをついた。それも周りが見てる。あいつが激昂しかける所もな。見たところあいつはかなり嫌われてる。それもあいつは織り込み済み、そんな奴らも含めてあいつは見下しているんだよ。そんな奴らに、あいつは恥をかき、それをさらされた。屈辱だろうな。仕返しが必ず来るだろう」


「ならなんで――」


「オレが国王の名前を出したから」


「え?」


「あいつに気付かせたんだよ。オレも国王に一応は接触でき、意見できる身分だという事をな」


 勇者、という身分をな、という言葉をあえて口に出さず少しかっこつけて見せた。


「?」


 涼音達はまだわからない様子だったので、オレはせっかくかっこつけたのにと少し落胆しながら、口に出す。


「無能とはいっても一応勇者の身分にあるだろ、オレは。国の命運を託す存在なんだ、これから国王と接触することも多くなる。オレはあいつにとっては危険な存在なんだよ、あいつの下にいる奴らの中でオレが唯一国王に意見できる存在なんだ。そんなオレに今日のことを王にチクられたら他の奴らも便乗してオレの身分を盾にしながら、言いたい放題……もう、わかるだろ?」


「サザラールさんにとって和人君は自分がやってきたことを暴露される起爆装置同然ってわけですか……和人君なかなか腹黒いですね」


 壮介は少し呆れたように苦笑して見せた。


「ありがとう、誉め言葉だ」


 オレも素直に受け取っておく。


 すると、涼音も呆れたように、


「君はなかなかの策士のようだな、和人君」


 とオレの肩をポンと叩いた。


「すごいな! 和人兄ちゃん!」


「かっこいいぜ! 兄ちゃん!」


「すごいすごい!」


「やるなぁ! 兄貴!」


「かっこいい、です!」


 子供たちも何やら騒ぎ立てているが、オレはすっかり有頂天になって、


「はっはっはっは! 当然! なんたってオレはあっちの世界じゃ世界最強の軍師であり指揮官だから

な!」


 オレは鼻高々に言い放った。まぁ、ゲーム内の事だけどね。


「すっげぇな!」


 子供たちが一層騒いでいる。フフフ、そうだろう、すごいだろう。


 しかしそのことに異議を唱える奴がいた。


「指揮官てお前……高校生だろ本分はよ」


 大樹が頭掻きながら痛々しくオレを見てる。ぐっ、そんな目を向けなくてもいいじゃないか。


「ほ、本当だぞ! ゲーム内だけど、ウォーロードってストラテジーゲームで世界ランク一位だからな! ゲームだけど!」


 オレは少し悔しくなって声を大にしていった。


「ゲームってお前……」


「え? 今ウォーロードっていいました?」


 オレの話に食いついたのは意外にも壮介だった。


「ああ、そうだぜ。ウォーロード世界ランキング一位『平和』はオレの事だ!」


 オレは続いて胸を張った。


「ウォーロードっていうと……そういえば壮介がハマっていたゲームじゃないか?」


 涼音が思い出したように壮介に話しかける。……せっかく大げさに胸を張ったのに無視ですか。さいですか。


「えぇ、元々はアメリカで開発されてその後に日本が技術提供で結果的には合作という形になったゲームなんですけど。最新鋭の技術とスタッフでそれはコアゲーマーの中では有名ですよ」


「へぇ、すごく、詳しいですね、壮介君」


 琴音が割ときっちりとした説明にポカンとしながら、それでも感心した様子で壮介を見る。


「えぇ、恥ずかしながらゲームのリアリティと自由度の高さに惚れてすごくやりこんでしまったものです。……それにしても世界ランク一位はすごいですね和人君。確かあのゲームのプレイヤーは全世界で数千万人は超えてますよ?」


「それは……すげぇな」


 大樹はプレイヤーの数を聞いて驚いたようだ。


「まぁ、でもあのゲームは自由度の高さのせいで悪く言っちゃえば何でもありだからなりふり構わず行けばある程度のランクには食い込むと思うけど」


 オレは純粋にゲームを楽しんでいた時期を思い出しながら、今ではプレイできない悲しさをしみじみと感じる。ネット回線につなげなくて光るだけの端末になってしまったからな。


「和人君、アメリカ発のFPSゲームにまつわる面白い話を知っていますか?」


 壮介が突然関係のない話をオレに振ってきた。


「ああ、公式の大会で優勝したりすると軍からスカウトの話が来るってやつか?」


 オレは壮介の話を不思議に思いながらも、素直に答える。


「軍ってアメリカ軍ってことか?」


 大樹が目を見開き、驚いたように尋ねる。


「そうです」


 壮介が率直に答えると、大樹と一緒に涼音、琴音も驚いた様子だった。


「しかしなんでこんなタイミングでそんなこと聞いたんだ?」


 オレは壮介の意図がいまだに分からず、素直に本人に聞くことにした。


「ああ、実はそれと同じうわさがウォーロードにもあるんですよ。世界ランク一位を取った人が指揮官としてスカウトされるらしいんです。まぁ公にはアメリカと日本の合作という事なんで日本の自衛隊からなのか、それともアメリカ軍なのかはわかりませんけどね」


「はぁ~それまたすごい話だな」


 オレは素直に驚いてしまった。オレの好きなゲームにそんな話があったなんて。心当たりなんて全く、もって、ない……けど……。


 オレの何か深く考え込む動作を見て、涼音が不審に思ったのか少し心配した様子で声をかけてくる。


「和人君、大丈夫か? なんだか顔色が悪いが……」


「いや、壮介の話を聞いて思い出したんだけど……ランキング一位を取ってから、自衛隊募集のパンフレットみたいなものがポストに入れられていたり、そういえば英語みたいな言葉を話してた人から電話もあったなって……」


 本当かもしれない噂になんとなくオレは少し怖くなってぶるっと体を震わせた。


 皆も何とも言えない表情になっている。


「それはまた、すごいな……」


 涼音の少し気を使った言葉を皮切りに、オレ達はなし崩し的に部屋へと戻っていった。





 その日の深夜。


 装飾煌びやかな書斎の中で小太りの男、サザラールは憤慨した様子で何度も拳を机にたたきつけていた。


 そのたびに橙に光るランプが揺れ、サザラールの怒りの強さを示している。


 サザラールは少しは落ち着いたのか椅子に深く座り込む。しかし落ち着いたとはいっても怒りはまだ収ま

らず、指で机を何度もつついては音を立てていた。


「くそっ‼ 礼儀もわきまえぬ若造がぁ……無能のくせして粋がりおって、全く腹立たしい!」


 サザラールはまた拳を机に叩きつける。


 怒り煮え立つその顔は、殺意にみなぎっていると思うほどの表情だ。


「今に見ていろ……必ず私をコケにしたことを後悔させてやるっ‼」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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