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ストラテジー~知略の勇者~  作者: 鷹飛 諒
第一章
7/31

~手のひら返しと仕返し~(2)

どうも鷹飛 諒でございます!

話の続きです。よかったら読んでやってください

では!

 広場と城との距離はそんなに離れてはおらず、五分程度で扉の前に到着した。


 扉は開放されており、すぐ入れば舞踏会には最適すぎるほどの広さを持つ空間がある。その奥には左右から外側に弧を描きながら上へと伸びていく赤いカーペットが隙間なく敷かれた階段があり、その先には人間の身長の二倍くらいはあるグスタフの大きな肖像画が下で会食を楽しんでいる者たちを見つめていた。


 煌びやかな空間に子供たちを微笑ましく見ながら、手を引き、きれいに飾られた料理の前へと連れていく。


「お前ら、フォークとかナイフの使い方は分かるよな?」


 オレは人数分の皿を子供たちに配りながら、フォークとナイフを各皿においていく。


「もちろんだぜ和人兄ちゃん。みんな母さんたちにしっかり教わってるんだ」


 カムの言葉にほかの子供たちも胸を張りながら得意げに鼻を伸ばして見せる。


「そうか、ならお前たちはもう立派なゲストだな。存分に食えよ」


 オレはそんな子供たちの様子におもわず吹き出してしまい、冷めないうちにと子供たちを料理の元へと送り出す。


 今宵用意された料理は横に長い机を四列に配置し、その上に様々な種類のものを並べたいわばビュッフェ形式だった。その料理を今日訪れた貴族や商人、興味本位で来た一班国民などが何とも恍惚な表情で舌つづみをうっている。


 そこにみすぼらしい格好の子供たちがはしゃぎながら料理に手を伸ばしているというのは何とも違和感ある光景だが、ほかの人たちは目こそはむけるものの何事もないように楽しく談笑している。オレは少し子供たちに横柄な態度をとるのではないか危惧していたが、どうやらこの国の人たちは温和な人たちが多いようで安心した。この国はいいなと素直に感じた瞬間だった。


「おやおやぁ、これはこれは勇者の和人殿ではないですか」


 しかし、そんなお国にも例外がいる様で、朝金をよこしてきた貴族の文官がとりわけ勇者という部分だけ

を強調し言いながら、下品な笑みをこちらに向けてきた。


「ああ、文官見習いのサザラールさんではないですか」


 オレは文官はこのデブ含め、八人だと思っていたが、実際はこのデブを除く七人でこいつはただ後学の為と評し、文官たちに引っ付いているまさに虎の威を借る狐その者らしい。ちなみに見習いなのは事実のようで軍事や防衛に関する文官の下についているらしい。こんな奴を文官にしたらあっという間に国は滅んじまうなとオレは心の中で思っていた。


 なのでオレはお返しに文官見習いの部分をとりわけ強調していった。


 オレの声で食べ物を噴き出して笑いをこらえたものは周りで数人おり、恥をかいたと自覚したサザラールは苦々しく歯ぎしりする。


 なるほど、このデブを嫌いな人はたくさんいるらしい。


「困りますなぁ勇者様、こんな貧相な子供を城内に入れてもらってわ」


 サザラールはピクつく頬を無理やり上に引っ張り上げ精一杯の皮肉を込めた笑みでオレと相対する。


「おや、なぜです?」


 オレはサザラールの魂胆はなんとなくわかっていたが、とぼけたように聞き返した。


「なぜとは、みすぼらしい格好の子供を城にいれるなどこの城の風格が下がってしまいます。しっかりとした民にこそこの城を見てもらわねばなりません。それに力も能力も平民と大差ない勇者様が、このような勝手な振る舞いをしていただいてはこちらも困ってしまいます」


 雰囲気で分かっていたが皮肉だけはぽんぽんと出るおっさんだなとオレは思った。


 周りを見ると、あんな発言をしていいのかと不安がる者もいれば、オレを指さしながら嘲笑している者もいる。どうやら涼音達の耳にもサザラールの声が入っていたようで、みんな気分の悪い顔でサザラールのことを見ていた。大樹に至ってはとびかかりそうな勢いだった。


 それに気づかないサザラールは何も言い返さないオレに気分を良くしたようでさらに言葉を並び立てる。


「ですので、この者らを即刻連れ出してはいただけぬでしょうか? これ以上いられると本当にこの城の風格が下がってしまいます」


 調子乗って声のボリュームをを上げたサザラールは今度は子供たちを見下しながら言った。


 いつの間にか手を止めていた子供たちはオレの元へと近寄り、袖をぎゅっと握っている。その顔には何と

も悲し気な陰りを見せていた。


 オレはこの顔を見て、ついカチンと来てしまった。でもあくまでも冷静に。悟られないよう笑顔で。ポーカーフェイスは指揮官の必須技能だ。


「おやおや、今日は祝福されるべき祭日。城を開放し、ともにこの良き日を皆で祝おうとグスタフ国王は仰ったではありませんか」


 オレはわざとらしく大げさな演技で立ち振る舞って見せた。


「そ、それはそうだが」


 サザラールは言葉を返されるとは思ってなかったらしく言葉が詰まっている。ったくそんなことも考えられねぇのかこのデブは。


「はっ‼ も、もしやサザラール殿はこんな貧相でみすぼらしいという理由でこの国の民ではないと決めつけるのですかっ⁉ ああ! 何とも嘆かわしい」


 心の中で羞恥に悶える自分と戦いながら、オレは何とか演技を続ける。


「そ、そのようなことは決してっ‼ ありませぬ‼」


 オレの声に呼応してざわつく周りの聴衆に危機感を覚えたのか、オレの言葉を遮るようにして慌ててサザラールは口を挟む。


「それは真でございますか?」


 オレはゆっくりと声を落とし、サザラールに問いかける。


「ま、真でございます……」


 サザラールは吹き出る汗を拭いながら、喉を詰まらせる。


「ではなぜそうとも受けとってしまうような言動をなさったのですか?」


「そ、それは……」


 いよいよまずくなったサザラールの焦った表情を見て、オレは心の内でニヤリと笑い、とどめを刺すことにした。


「はっ! もしやそのお言葉はグスタフ国王のお言葉で? サザラール殿は見習いとはいっても文官の称号に身を置いていらっしゃいます。という事は正規の文官と同様国王のそばに常にいらっしゃるとか……もしこれが国王の意思とあらば私はなんて失礼な真似をしてしまったのでしょう! 一刻も早く国王に謝罪しなければっ‼」


 オレはここぞとばかりに、喉がはち切れんばかりの声で国王! 国王!と叫んだ。


「そそそそそそれは、やめていただきたくっ!」


 サザラールは顔中にあふれ出た汗を周りにまき散らしながら、オレを止めるべく大慌てで駆け寄る。


「うえぇ⁉」


 しかしオレはひらりとサザラールのだらしない体を避け、すれ違いざまに足をかけて転ばせてやった。

すぐさまオレはカムに耳打ちをし、それを聞いたカムは悪戯っ子な笑みを浮かべ、わざとらしく。


「うわあ~手が、滑ったぁあ~!」


 カムはサザラールの頭の上に料理をぶちまけた。


 他の子供たちもニヤリと笑い、「手が滑ったぁ~」と次々と言いながら皿の中身をサザラール目がけてぶっかけていく。


「貴様らぁ~! 私に粗相を行うなど――」


 茶色いソースのようなものをその顔に滴らせながら、サザラールは目を血走らせ、みるみるうちに顔を赤くさせていく。


「おやぁ、清廉で高貴なサザラール殿はさぞ懐が深い方と存じます。まさかこれしきの事で激昂するはずがございませんよねぇ」


 オレは少し気分がよくなり、サザラールを見下ろしながら、口が耳まで裂ける勢いで口角を上げていく。


「ぐ……もちろん、だとも……いいんだよ、かわいい、子供たちよ」


 サザラールはピクつく頬で子供たちに必死で笑いかける。


 その姿はまさに滑稽。ただでさえ寂しい頭を気を使うようにパスタがその頭から垂れている。オレは腹の底から込み上げてくる笑いをこらえるのに必死だ。でも、こらえているのはオレだけじゃなく、周りの見物人も笑いをこらえていた。


 オレはまるで電動髭剃りを見ているかのように体を震わせているサザラールに耳打ちをする。


「では、努々、癇癪を起こさないよう、お願いしますよ」


 全く、こんなに性格が悪くなれるとは……久々にオレの悪い癖が出てしまったようだ。

 以前ゲーム内でネット友達がある相手に敗れてしまった。ここまではいい。オレも負けたからってそれをとやかく言わない。しかし、その相手がその日を境にオレの友達を煽り始めた。カスだのクズだの、それもまぁ煽ったり批判したがる奴はネット内少なくないし気にも留めていなかったが、そいつはどのネットゲームに行ってもオレの友達を追いかけ批判し続けた。オレは完全に切れたね。


 まず、そいつを友達名義のアカウントでおびき出し、コテンパンにしてやった。チートを使わせるのも黙認してな。さらに、友達に浴びせた罵詈雑言をそのまま突き付けてやった。


 してやったりだね。


 そんなことを思い出しながら、子供たちとたんまり食べ物を抱え込んだ後、城を後にした。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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