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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第四十四話「金色の正義」

第四十四話 「金色の正義」

(主人公 ゴールド4)


 オレの過去を虎羽に話した後、家族と再会した。変わり果てたこの姿でも母さんはすぐにオレだと気づいてくれた。何も言わず、抱きしめてくれた。それがどれほど嬉しいことだったか…。これまでの全てが、ようやく報われたような、救われたような気がした。


 オレは家族にこれまでのことを話した。もちろん、オレが手を汚してしまったことも話した。それでも、父さんと母さんは受け入れてくれた。


 オレにも、自分の正義が正しいことなのか断言はできない。父さんにも母さんにも虎羽にも出来ない。でもオレは自分の正義を信じている。父さんと母さんはそんなオレを受け入れてくれた。オレを…認めてくれた…。



 オレは父さんに貰ったブレスレットを眺め、思った。これは父さんと母さんがまだ、息子だと思ってくれている証で、虎羽と繋がっている証でもある。そしてこれは…チャンスの顕現でもあると思った。もう一度やり直すチャンス…あの時失ってしまった絆を取り戻す…チャンスだと…。

 オレは家族と共にいる幸福を二度と手放さないように、常に誇れる自分でいたい。『誇れる道』を進むことは家族が望むことだ。だからオレは、このブレスレットに「誇りある正義を貫き続けること」を誓う。その誓いが守られる限り、このブレスレットが家族の証になると思うからだ。




母「はい、お茶。」

龍牙「ありがとう。…じゃあ食べようか」

母「ふふ、たい焼きなんて久しぶりに食べるわ。りゅーちゃんはよく食べるの?」

龍牙「…たい焼きに限らず、いろいろな物を買い食いしてるよ。」

母「あら、そうなの。…ふふ、ちゃんと食べてるみたいで安心したわ。」

龍牙「うん……職場の人と食べたのがきっかけでね…それから、よく買うようになったんだ。…ご飯も、ちゃんと食べるようになった。」

母「ふ~ん。その話、もっと詳しく聞かせて」



母「……そ~~…雪ちゃんって娘と仲良くなったのね~」

龍牙「うん。オレが元気になれたのは、あの子のおかげだ…。」

母「…今度、連れて来なさいよ!」

龍牙「えっ!」

母「私も挨拶したいし、りゅーちゃんのこと、ほんとに気にかけてくれたみたいだし、お礼もかねて…ね!」

龍牙「わ、わかったよ…今度、聞いてみる…」


プルルル…!


母「あら、電話……。はい…えっ!!?ちょ、ちょっと待ってね!……りゅーちゃん!あなたお金はどうしてるの!?」

龍牙「え?お金?お金ってどういうこと…?」

母「毎月振り込んでいるでしょう!?もう使い切っちゃったの!?お友達が掛けてるの!?」

龍牙「待って…振り込んでるってどういうこと?オレは何もしてないよ?」

母「えっ…でも…半年くらい前、お金に困ってるって電話してきて…」

龍牙「…騙されたのか…」

母「…この電話はりゅーちゃんには関係ないのね?」

龍牙「ああ…。」

母「そう…なら…いいわ…。りゅーちゃんが困ってなかったのなら、騙されていたとしてもいいわ。」

龍牙「…オレは良くない…」

母「え…」

龍牙「母さん、その相手と少し話せる?ちょっと会話をしてくれればいい。」

母「え…いいけど…何する気…?」

龍牙「いいから…」

母「うん……あ、もしもし?ごめんなさい、待たせちゃって……」


 電話から聴こえる声。それと同じ音を出している場所を特定する……………酷似した波長…見つけた…音声内容も完全に一致だ。


ガチャ!


母「あっ…」

龍牙「もう大丈夫だ。…少し出かけてくる。」

母「どこに行くの?」

龍牙「さっきの電話の主だ。二度と悪事を働かないようにしてくる…!」


 母が止める間もなく飛び出し、詐欺グループのもとへ向かった。母から騙し取った金を回収し、詐欺グループを壊滅させた。



龍牙「ただいま、母さん。」

母「おかえり…」

龍牙「はい。もう騙されるなよ…って言っても聞かないんだろうけど…」

母「これ…どうしたの、このお金…?」

龍牙「詐欺集団から奪い取ってきた。…あいつらは、もう詐欺なんてこすずるいことしないだろう…。」

母「…お金なんてもう良かったのに…」

龍牙「言っただろう?それじゃ、オレが良くないって。…ああいう奴らがいると、騙されるような人から金品を取るという行為が罷り(まかり)通る世の中になってしまう。…オレはそんな世界にしたくない。オレは、この力を誰かを護るために使いたいんだ…母さんがなんと言おうと、オレはこの生き方を貫きたい……」

母「……そっか……立派になったわね……」

龍牙「……母さん……」

母「…さ、いい時間になってきたしお夕飯の準備しなくちゃ!外から帰ってきたんだから、手洗いうがいしなさい!」

龍牙「…はいはい…。あ、母さん、さっきの件…あれ父さんに相談した?」

母「えっ?いや…だってりゅーちゃんが父さんには絶対内緒にしてって言うから…」

龍牙「はぁ…というか、あれはオレじゃないし…。母さんはこれから、少しでも変だと思ったらまず、父さんに相談すること!わかった?」

母「は、はぁ~い…」



河川敷で話す二人

虎羽「えぇ!?母さん、そんなことしてたのか…」

龍牙「やっぱりお前にも言ってなかったか…。母さん、昔から変な人が寄ってきやすかっただろう?お前もしっかり見ていてくれよ…」

虎羽「うっ…さすがにあの年になればもう大丈夫かと思ったんだよ……というか、これからはあんたもちゃんと見ていてくれよな?」

龍牙「ふっ…わかってるよ…」


龍牙「………そういえば、この間…裏の組織の人間と関わった…」

虎羽「裏の組織?」

龍牙「あぁ…まぁ反社会的な組織の人間たちだ…。」

虎羽「ああ…どうだった…?」

龍牙「……あいつらは…一応必要とされている…。とある人間たちからな…。あいつらを消すことは簡単だ。だが、あいつらのような人間はなくならないだろう。あいつらを消しても、また次の悪が生まれてくる……社会の仕組みが…そうなっている限り…あいつらのような悪は、消えることはないだろう…」

虎羽「……そうか……………………どうするつもりなんだ…?」

龍牙「……そうだな………」

虎羽「…裏社会の仕組みはそう簡単には変えられないのかもしれない。社会そのものの仕組みから変えられなければなくならないのかもしれない。でも、ボクたちなら変えることが出来る…。…絶対的な力を持つボクらは法やルールそのものに近い。どんな我が儘な主張でも押し通せてしまう。…そんなボクらが表立って行動してしまえば、少なかれ独裁的なものに近づいてしまう…。」

龍牙「そうだな…」

虎羽「ボクらは神じゃない。何が正しいのかは民衆が決めるものだ。だから…ボクらは…何もしなくていいと思う……」

龍牙「……あぁ…そうかもな…。だが、困っている人を見逃すことはできない…」

虎羽「…ああ…それはボクも同感だ。目の前の人だけを救う。そんな、その場しのぎだけの善行だとしても、救われる人は沢山いるはずだ…」

龍牙「あぁ…そうだな……オレはこらからも、そんな善行を尽くしていくよ…」

虎羽「……そうか……。やり方は違うかもしれないけれど…ボクらは同じ世界を望んでいるはずだ…。…平和を護るためにこの力を使っていこう…!」

龍牙「あぁ…そうだな…!……虎羽…」

虎羽「…っ!……ああ……」


キィィィィン……  二人のブレスレットが重なり合う。


龍牙「…これからも、よろしくな。…虎羽…。」

虎羽「…………わかってるよ………兄さん……」

龍牙「っ…!!!虎羽…!!」

虎羽「くっ…!なんだよ!?なんか文句あるのか!?」

龍牙「いや…!…なんでもないさ…!」



 オレにはオレの正義がある…虎羽には虎羽の正義が……。人にはそれぞれの正義がある。絶対に正しい考えなんてないし、正しいから正解とは限らない。



店員「おい!とうとう捕まえたぞ!万引き小僧め!盗んだものを…あれ…?」

少年「ひっ……え……?」

店員「なっ!…おかしいな…確かに盗んでいたはずなのに…」

少年「…………あの、もういいですか……」

店員「あ……ちっ…もういい………ったく…なんなんだ……?」

少年「………………」

龍牙「おい」

少年「わっ!?…な、なんですか…?」

龍牙「腹、減っているんだろう?食べるか…?」


 悪事を働く人間が悪人とは限らない…逆もそうだ…。善行を施す人間が善人とは限らない…。世の中は弱肉強食だ。強いやつが弱いやつを食い物にしている。悪事で腹を満たす者もいれば、善行で腹を満たす者もいる。ただそれだけだ。

 弱いからむしられる。弱いから受け入れる。それは当然のことなのかもしれない。…でも…それが人間なのか…?強いやつからの理不尽に耐えることしかできない弱者は、一生怯えて過ごすのか?一生敗者として生きていくのか?…そんな『力』だけが物を言う世界に誇りがあるとは思えない。


少年「もぐもぐもぐ…!!」

龍牙「……腹は満たされたか?」

少年「ごくん……うん。…ありがとう、お兄ちゃん…」

龍牙「……どうして、物を盗ろうとしたんだ?」

少年「うん……家に何もご飯がなくて……お金も無いから……」

龍牙「そうか……。」

少年「…パン…全部食べちゃった……妹の分も、持っていってあげたかったのに…!ぐすっ!うぅう…!」

龍牙「大丈夫だ。パンならいくらでも買ってやるから…!…それよりも、これからどうするのかを考えないとな。妹も腹いっぱいにさせたら、相談しに行こう!」

少年「ぐすっ…相談って…どこに…?」

龍牙「ヒーローがいる所だ。」

少年「ヒーロー?」

龍牙「あぁ。きっと力になってくれる。それまでは、オレが力を貸す。だから…負けるな…!」

少年「っ!!」

龍牙「たぶん、お前はこれから先辛い想いをする…。お金も力もない弱者だからな…。でも、だからといって誇りを傷つけるようなことはするな…!物を盗むことは善くないことだ。でも、自分の腹を満たすためだけに悪いことをするな。もし、悪いことでもしなければならないようになってしまったら…その時は、妹のためにやれ。分かったな?」

少年(コクリ…!)

龍牙「よし。…まぁそうならないようにオレ達がなんとかしてやるがな。さぁ、行くぞ。案内してくれ。」


フワァァ…!


少年「うわっ!?なにこれ!?」

龍牙「これから起こる奇跡は、誰にも話すなよ?」



 オレの正義は世界にある無数の正義の中の一つにすぎない。でも、オレは正しいと信じている。オレの正義で救われる人がいる…だからオレはその正義に『誇り』を持っている。

 オレはその正義で理不尽な世の中を覆したい。力の強弱など関係なく、真に尊いものがまもられるような…そんな世界にしたい…。それが、オレのヒーローとしての願いだ。

 誇りを貫き、願いを叶えるためにオレが出来ることは…こうして…ひっそりと…目の前にいる人に、風を吹かせてあげることだけだ。




誇りと願いを乗せた風は、正義を金色へと輝かせる。


そのヒーローに触れることができるのは闇に囚われてしまった者だけである。

一方は怒りと憐れみの嵐に吹かれ、一方は勇気と恩情のそよ風に包まれる。

そしてどちらも『金色の正義』に刻まれる。


絶望の暗闇にいる者だけがその輝きを感じられる。

そのヒーローは今宵も、漆黒の世界で悪を斬る。



ゴールドローズ「…ん?……今日は満月か……。」


自分の影に気付き、夜空を見上げる。

ビルの屋上へと飛び上がり、変身を解く。


ブラウン・アルバート「………………」


キラッ…!

月光を反射したブレスレットに気づき、右手を夜空に掲げる。


黒瀬龍牙「…………綺麗だ。」




夜の街を優しく包み込む月の光を浴びるヒーロー…。照らし出されたそのヒーローは…何よりも美しく…輝いて見えた…。


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