第四十二話「正義とは…」(シルバー最終話)
第四十二話 「正義とは…」
(主人公 シルバー最終話)
バラレンジャーの解散から数か月――
ボクは、弁護士になるため改めて大学へ通うことを決めた。
短い勉強期間だったが、なんとか試験にも合格し、入学までの僅かな時間を、静かに過ごしていた。
虎羽「…………………」
桜の花びらが舞う空。
ベンチに腰掛け、木漏れ日の下でブレスレットを空へかざす。
虎羽「…もう…光らなくなっちゃったな………」
ピカピカに輝いていたブレスレットも一年が経ち、汚れや熱けで輝きが鈍ってしまった。
虎羽(……ボクの心も……こんななのかな………)
あれからもずっと、考えていた。
正義とは何かを……
でも、いつまで経ってもその答えは見つからない
ぼんやりと空を見上げる。
銀河さんから、未来の話を聞かされた時…
ボクは全てを救う未来を選んだ。
*
銀河「…! 協力してくれんのか…!?」
虎羽「はい、もちろんです……人々を護るのがヒーローの仕事ですから」
銀河「…だけど…全員を護る為にはお前に…ヒーロー以上の仕事を押し付けちまうことになる……それでもいいのか…?」
虎羽「……ボクは、それが正しいことだと信じます。…正しいのなら、やるべきです」
銀河「……強いな…お前は……」
銀河は小さく笑い、手を差し出した。
銀河「…感謝するぜ!…一緒に…理想の世界を目指そう…!」
*
虎羽(…あの時…迷いは無かった……“正しい”以外に、理由なんて必要無いと思っていた………)
*
龍牙「お前の正義は正しい……だがそれは、ただ正しいだけにすぎない…」
*
みどり「…人ってさ……正しいからって、それが出来るわけじゃないよ」
*
二人の言葉が脳裏をよぎる
虎羽(………………正しいだけで、人は生きられない………)
瞳を閉じ、これまでのことを思い出す…
虎羽(…いつでも最善を尽くせるわけじゃない……感情が正しさを隠してしまうことだってある………。白か黒のような二元論で、正義は語れない……。人の正義とは…その二つが複雑に混ざり合った、灰色のようなものなのかもしれない……)
チャリ……
ブレスレットが、微かに揺れる。
虎羽「…………………」
虎羽はそれを空へ掲げた。
鈍くなった銀色の光。
磨き抜かれた輝きではない。
迷い、悩み、傷つきながら歩んできた時間が刻まれた――“今の光”。
虎羽「………………………!
そして、その輝きが思い出させる。
自分が“ヒーロー”を志した、本当の理由を……
虎羽「……はははっ……」
小さく、笑みが漏れる
そうか――――
虎羽「……ボクは……最初から答えを手にしていたのかもしれないな……」
ベンチから立ち上がり、
銀色に輝く拳へ、そっと視線を落とす。
虎羽(人の正義が灰色ならボクは……その正義の中に、輝きを見出したい…。
誰かを護る為の正義……人々を導く正義……。
そんな、『ヒーロー』としての輝きを……!)
桜が風に舞う。
虎羽(この道は、間違ってなんかいなかった……
ボクにとっての正義とは…
ヒーローとしての在り方とは…
探し、追い求め続けること。だったんだな……)
雲を貫き、地上へ差し込む陽の光。
その力強い輝きの下で、一人のヒーローが、再び前へ進み出す。
銀色の『正義』と共に――
シルバーローズの物語 終




