第四十一話「幸せを……ありがとう……」(ホワイト最終話)
第四十一話 「幸せを……ありがとう……」
(主人公 ホワイト最終話)
バラレンジャーの解散から数日――
黄慈は、一人で真奈の墓を訪れていた。
黄慈「…真奈……久しぶり…………今日も、薔薇の花を持ってきたよ……でも、今日は特別だ。いつもの赤い薔薇じゃなく、白い薔薇を持ってきたんだ……」
そっと白薔薇を供え、線香へ火を灯す。
黄慈「………ぼく…決めたんだ……また教師をやることにしたよ……今度は…ぼくの意思でね………
その白い薔薇は、ぼくが自分の人生の色を手に入れた証だ……」
白い煙が、静かに空へ昇っていく――
黄慈「……真奈…君はぼくの全てだったね…。…ぼくは君の為ならなんでもできた。君の為なら全てを捧げることができた。………だから君は……そんなぼくを、少しでも遠ざけようとしてくれていたんだよね…………
…でも……やっぱり離れられなかった………君無しの人生なんて…ぼくにはもう…価値なんてないと…思ってしまっていた………」
残された約束だけを、無気力に追い続ける日々……
人生から光が消え、色褪せていく感覚……
黄慈「…あの頃のぼくは……また、昔の自分に戻りかけていた…」
白い息を吐く。
黄慈「…でもそんな時、新しい出会いが…バラレンジャーが…ぼくの人生に彩を与えてくれた……
まるで、あの時の君みたいにね……」
瞼を閉じる。
浮かぶのは、仲間たちの笑顔。
騒がしい声。
ぶつかり合った日々。
そして――
真奈の、優しい笑顔。
黄慈「ははっ…つくづくぼくは情けないね……誰かに“きっかけ”を貰わないと、変わることもできないなんてさ……
こんなぼくに、君は失望してしまったか…なんて………そんなの君は…とっくにお見通しだったよな………」
薔薇へ視線を向ける。
黄慈「……薔薇の花を見るたびに…必ず君のことを思い出す……。それは…もう二度と戻らない、哀しい記憶だと思っていた………
でも、今は違うよ。
今はもう…薔薇の花を見て、寂しいとは思わない。君との思い出だけじゃなく、バラレンジャーとしての思い出が蘇るからさ…」
穏やかな笑みを浮かべる黄慈。
黄慈「…………………」
白く、静かな空を見上げる……
黄慈(………もう大丈夫………もう二度と…挫けることはないよ………)
ゆっくりとしゃがみ込み、手を合わせる。
黄慈(…薔薇に込められた、想いがあるから………)
青い瞳が、真っすぐ前を向く。
黄慈「ありがとう…真奈………これからも…傍で見守っていてくれるかい…?」
当然、返事は返ってこない。
黄慈「………………」
立ち上がり、背を向ける黄慈。
その時――
ヒュォォオオ…!!
黄慈「うぉっと…!」
吹き抜けた風が、そっと背中を押した。
黄慈「……!」
その拍子に空を見上げる…
黄慈「…雪……?」
胸の奥から、じんわりと温かさが込み上げる。
答えてくれたような気がして…
背中を押してくれたような気がして……
黄慈「…………はははっ………!」
「………これでより……あなたの記憶の中に、あたしが残るわね……」
黄慈「……………………」
懐かしい声が、聞こえた気がした……
黄慈「…………幸せを……ありがとう…………」
そう微笑むと、黄慈は再び歩き出した。
白く染まった世界を
大切な、想いと共に……
ホワイトローズの物語 おしまい




