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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第三十九話「消えない傷跡」

第三十九話 「消えない傷跡」

(主人公 ブラック3)


 わたしはこの日、バラレンジャーの皆さんと一緒に紅葉狩りに行っていました。そして何故かことみさん達に一緒に帰るよう言われ、半ば強引にブラウンさんと二人で帰ることになりました。


雪「す、すみません…わたしなんかに付き合わせてしまって…」

ブラウン「?いや、大丈夫だ。…それに、少し話したいこともあったしな…」

雪「へ?話したいこと…ですか?」

ブラウン「ああ……オレはあそこで働いてからずいぶんと変わった。みんなとも打ち明けられるようになったし…服も変わった…ごはんも食べるようになったし…心も…元気になった…。それも…雪ちゃんがいてくれたおかげだと思う。…ありがとう……」

雪「(カァッ//)わ、わたしなんて何も…!」

ブラウン「そんなことはない!」

雪「…っ!!」

ブラウン「…暗くて何もない世界に…光をくれた……。オレは…雪ちゃんがいてくれたからここにいるんだと思う!本当に…ありがとう!」

雪「……はい(///)それなら…よかったですっ…!」

ブラウン「…………」

雪「…………」

ブラウン「…ちょっと…恥ずかしかったな…」

雪「は、はい……」

ブラウン「でも…言えた…。オレはそれが言いたかった……。行こうか」

雪「はい……」


 その後も何度か会話があったけれど、わたしは緊張してしまったし、ブラウンさんも口数の多い人じゃないから一言二言で終わってしまった。休日は何をしているのかとか、お給料はどう使っているのかとか、好きな食べ物とか…そんな他愛もないことを話しながら帰った。


 気が付くとわたしの家の目の前まで来てしまっていた。


雪「今日はありがとうございましたっ!」

ブラウン「ああ……じゃあまた職場で…」


 ブラウンさんが立ち去ろうとしたその時。お父さんが扉を開けて出てきてしまった。お父さんはブラウンさんを見るなり、舌打ちをして家の中に戻っていった。


雪「あっ……」

ブラウン「今のは…?知り合いか?」

雪「あ…その……お父さん…」

ブラウン「……………」

雪「あのっ…もう遅いし、ブラウンさんももう帰っていいんですよ…?」

ブラウン「…いい人なのか。」

雪「…えっ…」

ブラウン「あいつは良いお父さんか?」

雪「……うん。いいお父さんですよ…」

ブラウン「……嘘だな。どうして嘘をつく?何かされているのか?もしかして暴力なんか…」

雪「っ!!違いますっ!……ほんとに…なんでもありませんから…」

ブラウン「…!!…また嘘を……腕、見せてみろ……っ!!!!これはっ…!?」

??「やめろっつてんだろうがっ!!」

ブラウン「がはっ!!」

??「あ~あ…ったくよぉ…おれが出てきちまうとはな…。てめー…ブラウンだろ?」

ブラウン「!?!?…そうだが…」

??「これはおれ達の問題だ、他人がどうこう口挟むんじゃねぇよ。わかったらさっさと帰れ。そして、このことは忘れろ。おれのことも…この傷のことも…」


*


????「……いいの?あんな風に突き放しちゃって…。彼、混乱してたわよ?」

??「しょうがねぇだろ!急に出されたおれの身にもなれよ!」

????「でも…彼、ユキのお気に入りでしょう?もしユキが嫌われでもしたら…」

??「じゃあおれにどうしろっつーんだよ!」

????「……とりあえず後でフォローを入れておきましょう。」

??「はぁ?誰が?」

????「ハクが!に決まっているでしょう!?」

ハク「ちっ、やっぱりそうかよ。あ~あ、まためんどくせーことが増えた。…まぁとりあえず今はあのクソ親父からなんとかしねぇとな…」

????「……ねぇ…そのこともそろそろ決着つけるべきじゃない?せっかくいい人がいるんだからもうあんな奴にこだわらなくても…」

ハク「……そりゃダメだ……そんなことした方がユキが悲しむだろ……」


*


ブラウンのアパートにて


ハク「よう!」

ブラウン「!!!ゆっ……何か用か?」

ハク「ちっと話さなきゃなんねぇことがあるからな…お前今日休みなんだろ?入っていいか?」

ブラウン「………」


*


ハク「まぁ驚くのも無理ねぇな。あんなに大人しい娘がどうして…って思ってるだろ?そうなんのも当然だ。なんせおれはユキとは違う人格だからな。」

ブラウン「…二重人格ってことか…」

ハク「おっ知ってんじゃねぇか!なら理解は早ぇ、見た目がおんなじでも全然違う人ってことだ。まぁ今は髪型変えてるけどな。」

ブラウン「…雪ちゃんとは違う人なんだな?」

ハク「そうだ。おれの名前はハク。まぁ覚えなくてもいいがな。で、おれが言いたいことはただ一つ。昨日のはおれがやったことであって、ユキがやったことじゃねぇ。だから、ユキのことは嫌いにならないでくれ!頼む!」

ブラウン「…ああ、わかった。」

ハク「おっ!なんだよ!お前話がわかんじゃねぇか!ほら!言ったじゃねぇか!話せばわかるってよ!」

????「ちょっと!なんで今話しかけんのよ!」

ブラウン「!?」

????「ほらー困惑しちゃってるじゃない。ユキはアタシのこと教えてないのよ。」

ハク「ありゃ、そうだったのか。まぁいいじゃんか!こいつは多分それでも受け入れてくれるぜ!」

????「突然ごめんなさいね。アタシはこの子たちの保護者みたいなモノよ。この子を護るために力を与えたのだけれど、そのせいでユキから神様、神様って言われるようになっちゃって。流石に神様って呼ばれるのは恐れ多いからユキからは「かみちゃん」、ハクからは「かみさん」と呼ばれているわ。あなたはアタシのことどっちで呼ぶのかしら?それとも別の呼び方で呼んでくれる?」

ハク「おい!お前もグイグイいってんじゃねーか!余計に混乱するだろ!」

ブラウン「…わかった、一旦落ち着いてくれ。オレも一旦落ち着く。……今、お茶を持ってくる。ちょっと整理させてくれ。」


*


ブラウン「雪ちゃんは二重人格で、そのもう一人がハク。そして二人の保護者の、この影みたいな存在が「かみちゃん」ってことか。」

ハク「そうだ。やっぱ飲み込みが早ぇーな!気に入ったぜ!」

かみちゃん「アタシのことかみちゃんって呼んでくれるのね~」

ブラウン「…いややっぱりかみさんって呼ぶ…」

かみさん「あら~そう?ま、アタシはそれでもいいけどっ!」

ハク「まぁとにかく状況をわかってもらえて良かった。おれ達からのお願いはユキを嫌いにならねぇでくれってことだけだ。それが分かったってんならもう帰るぜ。」

ブラウン「いや、待ってくれ!…もっとあんた達のことを教えてくれ。どうして二重人格になったんだ?あの父親はなんだ?あの傷はなんだったんだ?」

ハク「…………お前には関係ないことだ…」

かみさん「ハク!!…お願い…話してあげて…ユキよりもあなたの方がこの問題を解決できるわ…。彼も力になりたがっているし、これはチャンスよ!ユキを救う最大の…」

ハク「………はぁー…わぁったよ……」


 おれが生まれたのは小学校に上がる前だった。おれはあのクソ親父に殴られていることに気が付いた。そして心の中に泣いているもう一人の女の子がいることにも気が付いた。

 その時思ったんだ。おれがこの子を護らなきゃいけない。そのために生まれてきたんだって。だから、おれはユキの代わりに殴られた。あいつに痛い想いをさせないために。最愛の親に憎悪を向けられるなんていう苦痛を味合わせないために。


 そんな日々が続いた。おれの他にも母親が殴られている時もあったが気が付いたら二度と帰ってこなくなっていた。その時から暴力はエスカレートしていった。食事もろくに与えてもらえなかった。おれはあいつの食い残しを漁って食っていたよ。それすらもない時はひたすら我慢したね。あれほど辛い時は無かった。お腹が空くのはまだ耐えられる。だがな…心が満たされないっていうのはその何倍も辛いんだ…。


 中学に上がったくらいからあいつの行動が変わってきた。顔や手のひらなんかには傷が出来ないように腹や太もも何かをよく蹴られたり殴られた。そして保護者として最低限のことだけはするようになったよ。児童相談所の奴らや近所の人間とかから文句を言われない程度のな。おかげで給食は食えたがな。まぁでも…それだけだ。まともな食事は給食だけだった。学校が無い日はずっと公園にいたよ。家にいたらそれだけで殴られるしな。公園なら勉強もできるし、水も飲める。ただ、目立つからな。大人が来た時はすぐに隠れたよ。もしかしたら捕まるかもって思ってたから内心ビクビクしながらな…。


ブラウン「どうしてそこまで…先生にでも言って助けてもらえばよかったのに…」

ハク「……あぁ…おれもあんな生活嫌だった…。でもユキは…お父さんが悪者になっちゃうって言って絶対に通報されるようなことはやらなかった。学校でも全ての人間に嘘をついてまで隠していたよ…。だから誰にも頼れなかった……本当の友達なんて一人もできなかった…」

ブラウン「……………」


 そんな生活も続いて、いよいよ高校に入学することになった。あんな奴が高校にまで入れるなんてどういう風の吹き回しかと思ったがその意図はすぐに分かった。おれ達は学校にも行かされずに働かされた。あいつはおれ達を金稼ぎの道具にしたんだ。それからはずっとあいつのために働き続けた。買いたい服も買えず、食べたい物もろくに食えず、あんなろくでなしのために働き続けたんだ!

 そして、ある出来事が起こった…。


ハク「……………」

ブラウン「……?」

かみさん「性的虐待って言葉、わかるかしら?」

ブラウン「!……まぁなんとなくは……」

かみさん「それよ。アタシはたまたまそれを見つけてしまった。そんな状況を見て、許せるはずないでしょう?だから、この力を使って助けたのよ。ま、この子達は力を与えてもあいつを殺そうとはしなかったけど。でも、とりあえず危機は去ったからね。それ以来暴力の頻度もかなり減ったし…。」

ハク「…おれもかみさんもあいつのことを良く思っちゃいねぇんだ。今にでも殺してぇくらいだ。…だけどなユキはあんな奴でも好きなんだよ。愛してるんだよ…。いつか優しいお父さんに戻るって信じてんだ。だからおれ達にはどうにもできねぇし、ユキもそれを望んじゃいない。お前にも、余計なことはしてほしくねぇんだ……わかったか……?」

ブラウン「……………」

かみさん「あなたはどう思う?本当に些細なことでもいいの…何かあの子にしてあげられそうなこととかある?」

ブラウン「……オレには特別な力がある。人間を見極める能力だ。雪ちゃんとハクが違う人だってのもすぐ分かった。気の流れみたいなのが違うからな。かみさんの存在もよく分かる。そして、この力を使うと嘘をついているのかとか性格が直るのかどうかなんかも分かる。…オレはあんたらの父親を見て確信した。あいつは悪だ。それも直らない。もう元には戻らない所まで堕ちている。雪ちゃんを解放したいなら…殺すしかない。」

かみさん「…っ!!!」

ハク「なっ…お前適当なこと言ってんじゃねぇぞ!!」


飛び掛かり胸ぐらをつかむ。


ハク「一目見ただけでそんなこと分かるわけねぇだろ!!」

ブラウン「オレには分かる。それがオレの力だ。」

ハク「ぐっ…!なら証明できんのかよ!!」

ブラウン「できる!!オレは本気だ…!コイン一枚もあれば証明できる。どちらの手に入っているのか一度質問すれば必ず分かる。100回やっても1000回やっても絶対に当てられる。それでも信じられないと言うのなら……今夜、オレについてこい。犯罪をする人間を100%当ててやる。」

ハク「……っ!!!」

かみさん「ハク、手を離しなさい。」

ハク「でもっ!!」

かみさん「いいから!…彼が言っていることは本当よ…。それに…あなたも薄々気が付いているんでしょう。あいつはクズで、もうどうやったって変わらないって…。」

ハク「……なら…どうしろってんだよ………おれ達のあの時間はなんだったんだよ……ユキはっ!なにを信じているっていうんだよぉ!!ああああ!!!………うぅ……なんでだよ……なんでなんだよぉ……うわぁあああ!!!」

かみさん「…………あらっ!」

ハク「えっ…?」

ブラウン「…こうすると少しは良いだろ?…辛い時は泣いた方がいい。泣きつかれるまで……それまで…オレがこうしてやるから……」

ハク「うぅ…うわぁぁあん!!」

ブラウンに抱きしめられ、しばらくの間泣き続けたハク。


*


ハク「今日は…悪かったな!長居…しちまって…」

ブラウン「いや……もう…大丈夫か?」

ハク「おう!ありがとなっ!もうへーきだっ!」

ブラウン「そうか………なあ!」

ハク「うん?」

ブラウン「……さっきは直らないって言ったが…一つだけ方法があるんだ…そのことについてもう一度話し合いたい…また…話せるか?」

ハク「あぁ!また来る!」

ブラウン「そうか。」

ハク「……おれも……」

ブラウン「ん?」

ハク「いや、やっぱなんでもねぇ!じゃあなっ!」



かみさん「ハクちゃん、もしかして~」

ハク「ばかっ!それ以上言うな!!」

かみさん(ふふっ、耳まで真っ赤になっちゃって…。彼に話して正解だったわね。)「あとでユキとも話し合うのよ?」

ハク「わかってるよっ!余計なこと言うなよな!」

かみさん「どっちがっ!」



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