第三十五話「わからない…」(シルバー3)
第三十五話 「わからない…」
(主人公 シルバー3)
公園のベンチに、一人座るブラウン。
ブラウン「………………………」
時計を見ると10時半を少し過ぎたところだ。
ブラウン「………………………」
風に揺れる木々。
ざわめく枝葉の音に、これまでの記憶が重なっていく――
*
シルバー「………秩序を守るためには…それが必要だ…………それに、こんな力を持っているボクたちは絶対的に正しくなければならない。力を持つ者が、それを正しく使わなければ秩序が乱れる……ボクの正義にかけて、お前を許すことはできない」
グッ……
虎羽が拳を構える
ゴールド「…そうか……やっぱり…お前とは分かり合えないと思っていた………」
*
ブラウン「黄慈さん……」
黄慈「うん?」
ブラウン「…オレ……話してみます……虎羽と……」
黄慈は小さく頷く。
黄慈「…あぁ……。大丈夫、きっと分かり合える……」
*
雪「どんなことがあっても切れない関係…それが家族なんです!…無条件で愛して…どんなことがあっても消えない絆があるのが……家族なんです………」
ゴールド「…本気で…あの男が変わると信じているのか……」
雪「…はい……わたしは…お父さんを信じ続けますっ…!…それが……『家族の絆』なんですっ…!」
*
ブラウン「…………………………」
父さんと母さんは……今でもオレの帰りを待っているんだろうか………
グググ……
固く手を組み、前のめりになる。
………分かっている………
…そんな資格が無いことも……二度と会わない覚悟があることも…………
……でも…………このチャンスを逃せば…次は無い………最後に一度……信じてみたい……聞いてみたい……
ザッザッザ……
ブラウン「…!」
顔を上げると、そこには虎羽が立っていた
虎羽「…時間通り…来ましたよ……話ってなんですか…?」
ブラウン「…………………ふーっ……」
緊張で浅くなった呼吸を整え、立ち上がる
虎羽「………? なんですか?」
ブラウン「………………………」
じっと虎羽を見つめる。
だが、すぐに視線を逸らした。
ブラウン「………虎羽………オレは……お前に言わなきゃならないことがある………」
ギリッ……!
拳を強く握り、なんとか言葉を絞り出す
ブラウン「……………オレの………本当の名前は………」
瞼を閉じ、深く息を吸い込んだ。
そして、覚悟を決めたように、虎羽を真っ直ぐ見据えた。
龍牙「…黒崎 龍牙。…お前の兄だ……!!」
虎羽「!!!!!!」
目を見開き、虎羽の表情が大きく揺れる。
虎羽「…で…でたらめを言うな! 兄は……兄さんは、10年前に行方不明になった!」
龍牙「……あぁ……オレは超能力を研究する機関に誘拐された…」
虎羽「…っ!」
龍牙「……お前が分からないのも無理はない………薬の副作用で、目も髪の色も変わった……声も体も………性格もな……………」
虎羽「…………………」
龍牙「……あの頃から変わっていないのは……思い出くらいか……」
虎羽「…思い出だと……」
龍牙「…待ち合わせをここにしたのも、ここがお前との思い出の場所だからだ……」
虎羽「…っ………」
龍牙「……よく、ヒーローごっこをして遊んでいたよな…………あの時から、ロボットの好みは変わってなかったんだな……」
虎羽「……っ!」
脳裏に蘇る。
バラレンジャーロボの設計を、皆で語り合っていた時間――
龍牙「………当然、お前の家の場所も分かる………もう信じてくれるか?」
虎羽「……………何故…帰ってこなかった……」
龍牙「……海外の研究施設にいたんだ……簡単には帰ってこられなかった……」
虎羽「いや!その力があればできたはずだ!…母さんが…どれほど心配していたか…っ!!!」
龍牙「…!!…母さんが……?」
虎羽「当たり前だろう!…父さんだって…お前のこと、本気で心配して…………っなぜ帰ってこなかった!?」
龍牙「………………………」
虎羽の怒声を、龍牙は静かに受け止める。
龍牙「………オレがいなくなる前…母さんが怪我をして帰ってきた時があったのを憶えているか?」
虎羽「………憶えているが…それがどうした」
龍牙「……あの時……」
*
デパートへ買い物に来ていた、二人
龍牙「ねーねー!おかし買っていい?」
母「ふふっ、いいわよ」
龍牙「コウのぶんも買っていい?」
母「こーちゃんのも買ってあげるの?」
龍牙「うん……」
母「優しいお兄ちゃんね……いいわよ、こーちゃんのも選んであげて」
龍牙「やったー!」
手を繋ぎ、歩いていた、その時――
「万引きだー!捕まえてくれー!」
「くそっ!」
母「きゃっ!?何!?」
龍牙「…!」
男が、二人の間を乱暴に駆け抜けていく。
――その瞬間。
オレは、咄嗟にこの力を使った。
スッ……
龍牙が、万引き犯へ手を向ける。
ビュォオオオオッ!!!!!
ガシャァンッ!!!バリィン!!!パァンッ!!
「「きゃぁああああああ!!!!???」」
「ぐわあああああっ!!!!」
店内には暴風が吹き荒れ、照明と窓を破壊し、万引き犯を中心にあらゆる物を吹き飛ばした
母「りゅーちゃん…!!」
咄嗟に、母が龍牙へ覆い被さる。
ドスドスドス…!
母「…うっ……!!」
龍牙「…!…お母…さん……」
背中に突き刺さる、無数のガラス片。
溢れ出した血が、龍牙の手を赤く染めていく――
*
龍牙「…オレを護るために、母さんは大怪我をした………」
虎羽「…そうだったのか……あれはお前が………」
龍牙「……オレはただ……善いことをしたかっただけだった……だが、あの時のオレは、全てを破壊する力しか持っていなかった……」
虎羽「………………」
龍牙「……それから数日して、オレは攫われた。…店内のカメラで能力の存在がバレたんだろう………。…お前の言う通り、逃げようと思えばすぐに逃げられた……だが…あの出来事は…罰だと思った……母さんを傷つけてしまったオレへの……」
虎羽「…………」
龍牙「…だからオレは、あの状況を利用した。能力を完全に制御できるようになるまで……帰らないと決めたんだ……」
虎羽「…10年間もか?」
龍牙「…あぁ……必要な時間だった……。…この力には限界が無い……能力を扱えるようになるほど、成長するほど、能力も強大なものへと進化していった…。…膨れ上がり続けるこの力を制御するのは、容易なことじゃなかった………」
虎羽(………確かに…それはボクも感じていた……。使えば使うほど、人間から遠ざかっていく全能感を………)
龍牙「…それに…いつしかオレには、一つの目標ができていた」
虎羽「…目標?」
龍牙「…あの施設に捕らわれていた、他の子どもたちの救出だ」
虎羽「…!」
龍牙「…それを実現するためには、より精密な力のコントロールが必要だった。…時間がかかったのは、それもある。」
虎羽「………………」
龍牙「…だが…お前も知っての通り…力の制御ができるようになっても、母さんたちに会いには行っていない………」
虎羽「…あぁ……お前のような外道……母さんたちに会わせるわけにはいかないな……」
龍牙「………そうだよな……………」
ゆっくり瞼を閉じる龍牙
龍牙「……この手を血に染めたあの日から……いや………この手が血に染まっていると気づいたあの時から……家族に会おうとするのは諦めた………」
蘇る記憶。
ドアノブに手を伸ばしかけて止めたあの日……
龍牙「…だがな……オレは、ヒーローになって変わった。バラレンジャーとして、皆と過ごして…変わろうと思えるようになったんだ。」
虎羽「…変わる…だと…?」
龍牙「……虎羽……オレは…お前と分かり合いたい……。こんな力を持つ者同士、手を取り合って前に進みたい……同じ、ヒーローとして……家族として………」
そっと、手を伸ばす龍牙
だが、虎羽は拳をグッと強く握る
虎羽「……ボクは…お前と拳を交えたあの日から…」
ボッ!!
虎羽「お前の正義を認めていない……!!」
ボワァッ!!!
虎羽の拳に炎が灯る
龍牙「…………そうか………」
グッ……
龍牙もまた、伸ばしていた手を拳へと変える。
龍牙「……なら、お前が望む方法で決着をつけてやる……」
睨み合う二人。
張り詰めた空気が、公園を包み込む――
龍牙「…だがそれは……」
龍牙は、ふっと視線を逸らし、静かに腕を下ろした。
龍牙「お前が『ヒーロー』になってからだ」
虎羽「…!…………どういう意味だ……」
龍牙「…………………」
サァァ……
風に揺れた木の葉が、足元へ落ちる。
龍牙「…あの時から、お前も変わった………今のお前の『正義』には、どこか迷いがある。」
虎羽「っ…!……何を………」
龍牙「今のお前に、オレの『正義』を真っ向から否定できるのか?」
虎羽「……!……………」
ボボボボボ…………シュッ………
拳の炎が弱まり…消える…
虎羽「…………………」
ずっと……考えていた……
…『正義』とは何かを…
……『ヒーロー』とは何かを………
虎羽「……ボクからも…訊かせろ………お前は……施設に捕らわれた他の子をどうした?……助けたのか……?」
龍牙「…………風のバリアを作りながら施設を破壊し…唯一、優しかった職員に子どもたちを託して、オレはそこを去った……」
虎羽「………………その時……人を…殺したか……?」
龍牙「……最初に殺した、所長の名前がブラウン・ノクスだ……」
虎羽「っ!!」
龍牙「……あの偽名は戒めだ。……国の命令で法を踏み越え、子どもを実験材料にするような輩に対して……オレはあのやり方しかできなかった………」
虎羽「…………」
龍牙「…あの時だって…“他の子たちを救う”って……ただ善いことをしようと思っただけだったんだがな…………」
自嘲するように小さく笑う
龍牙「…どうやら…オレの運命は、血に染まってるらしい………」
虎羽「……………そうか…………………」
空を見上げ、大きく息を吸い込む虎羽
虎羽「………ボクの正義じゃ…救えなかったな…………」
龍牙「……………」
虎羽「…法を基盤としたボクの正義じゃ…何も護れなかっただろう。……最近、その事実を嫌というほど突きつけられた……」
龍牙「…色々あったもんな……」
クラウン破壊によって、世界に露見したバラレンジャーの力。
その後、彼らは暗殺者に狙われ続け、国との交渉の末、ようやく束の間の安全を手にしていた。
だが――
虎羽(……紫雲さんと銀河さんの交渉術が無ければ……。……ボクたちだけじゃない……家族まで巻き込まれていたかもしれない…………)
*
「あなたには特別な能力を与えます。あなたの考える正義のため、使ってください……
そして――
兄のようにはならないでくださいね……」
*
虎羽「……ボクはこの力を貰い……その大きさを知った時……絶対に使い方を間違えてはならないと思った……」
龍牙「…………」
虎羽「…こんな絶対的な力があれば、法やルールなんて何の意味も無くなる……。全ての行動が正当化されてしまう………。だから、法に従わなければならないと思った。…だから、正しく在り続けないといけないと思ったんだ……」
龍牙「……あぁ……お前の正義は正しい……だがそれは、ただ正しいだけにすぎない…」
虎羽「………正しいだけ…か……」
龍牙「…正しいのか、間違っているのか……それは、お前が『ヒーロー』として何を目指すのかによって変わる。…今までのお前は、ただ正しいことだけを目的としていたからオレを否定できた……だが、今のお前は正しいだけが『正義』だとは思っていないんだろう…?」
虎羽「…………あぁ………もう…何が正しいのか…ボクにはわからない……」
龍牙「…………」
虎羽「…ヒーローになれば、この力に相応しい『正義』を見つけられると思っていた………だが、ヒーローを続けるほどに…その正義は揺らいで…混ざり合っていった………。この力で何をするのが正しいことなのか……ボクにはもう…わからない………」
悔しげに、自らの拳を見つめる。
――その時。
ポツ……ポツ……
と雨が降り始めた
龍牙「………………」
龍牙は静かに手をかざす。
思い出すのは、あの日の出来事……
龍牙「……絶対的な力はあっても、絶対的な正しさは存在しない…。…人類の目的は一つじゃないからな…」
虎羽「……………」
龍牙「目的が食い違えば、正義も食い違う。…その結果、分かり合えなかったり、争いが起きたりする…。オレとお前もそうだった……」
虎羽「…!」
龍牙「…お互い……あの時から、変わった……。今のオレはもう、自分の『正義』を心から信じられる…。正しいからじゃない…それが、オレにとって『ヒーロー』としての在り方だからだ…!」
虎羽「っ…!!」
その言葉と眼差しが、真っ直ぐ胸に突き刺さる。
人として、ヒーローとして先を行かれたような気がした。
自分もあそこへ行かなければならないのに……
小さな世界に囚われた、未熟な正義では……
虎羽(………届かない………)
バッ!
龍牙が空へ手を掲げる。
ビュォオオオ……!!
風が渦を巻き、雨雲を吹き飛ばしていく
龍牙「…オレは、善人が安心して生きられる世界の為に『ヒーロー』をやっている………その願いは……お前の『正義』の先にあるものと、大きく違うものか…?」
虎羽「………………」
何も……言い返せない……
龍牙「……お前が『ヒーロー』になった時……それでもオレを否定するというのなら……もう一度戦おう………」
虎羽「…っ!」
龍牙は虎羽の横を通り過ぎ、背を向ける
龍牙「…その時……オレに、家族と会う資格があるのか…教えてくれ……」
虎羽「……………」
一人、取り残される虎羽
虎羽(……ボクは……手段が目的になっていたのか………)
力が抜けるように、ベンチへ腰を落とす。
虎羽「…………………」
灰色の雲が散り散りになった空を見上げる
虎羽(……薄々……感じていたのかもしれない………アイツと、ボクの見ているものが、同じかもしれないと………)
正しい者は報われるべきだという、根底にある想いは……
きっとアイツも同じだ……
チャリ……
虎羽「…!」
左腕のシルバーのブレスレットが、小さく揺れる。
虎羽「…………………」
*
母「今日のお昼はお寿司よ~」
父「おお!豪華だな!…おっ!虎羽の好きな桜餅もあるぞ!」
虎羽「今日は何かあるの?」
母「こーちゃんの卒業祝い、就職祝いよ。」
父「そうだ!父さんからも就職祝いがあるぞ~」
虎羽「父さんも母さんもそんなに張り切らなくていいのに…」
父「何を言ってるんだ、学校が卒業できて、就職も決まったなんてすごいことなんだぞ?父さんなんて喧嘩したのがバレて…」
母「はいはい、もうその話は聞き飽きましたよ。それよりも、渡す物があるんでしょう?」
父「ああそうだった。虎羽、これを受け取ってくれ。」
虎羽「これは…ブレスレット?」
父「そうだ。お前はこれからヒーローとして、その手で沢山の侵略体を倒して、沢山の人を助けることになる…。でもな…虎羽は正義感が強くて真面目だからな……考えすぎて何が正しいのか分からなくなってしまう時がくるかもしれない…。そんな時にこのブレスレットを見て思い出してほしいんだ。“虎羽はとても優しい心を持っている”ってことをな…」
虎羽「優しい心?クラスメイトにはいつも口うるさいって言われてるのに?」
母「何言ってるの!こーちゃんはとっても優しい子よ!」
虎羽「ははっ、ボクのこと優しいなんて言っているの父さんと母さんくらいだよ…」
母「…他の人がそれに気づかないのは、きっと本当のこーちゃんを見ていないからだわ。」
虎羽「本当のボク…?」
母「真面目だとか、正義感が強いとか……。確かに、こーちゃんはそういう子だけど……それって全部、“誰かのため”を想って始めたことなんじゃない?」
虎羽「………………」
父「そうだ。口うるさくする為に正しいことをしてるわけじゃないだろ?」
虎羽「…うん…」
父「……まぁ……お前はまだ若い。これから沢山悩んで、迷い続けるだろう……。そんな時、本当の自分を見失わないためにもこれを持っていてくれ」
ブレスレットを渡される虎羽
虎羽「…………」
母「離れてても、いつでもお父さんとお母さんがいるからね」
虎羽「……うん………わかった。」
父「…あと…おまけに一つ。…そのブレスレットには、万が一に備えて虎羽の血液型とか連絡先も書いてある。無くさずに、ちゃんと付けとくんだぞ?」
虎羽「…あぁ、わかった。毎日つけるよ。…そっちは?」
箱に入ったもう一つのブレスレットを見つめる
父「あー…もう一つはお兄ちゃんの分だ。お前のお祝いだけしたら不公平だろう?これはいつかお兄ちゃんが帰ってきた時に渡すんだ…。」
虎羽「………うん……そうだね………」
*
虎羽(………優しい心………)
ブレスレットを見つめる
虎羽(……そういえば…ボクが正しくあろうとしたのはなんでだったか………)
ゆっくりと、左腕のブレスレットを空にかざす
虎羽(………まだ力を持っていなかった頃……いじめられてた子を助けたことがあったっけな………)
*
「かせよ!よこせよ!」
「う…あっ!」
「あっちで遊ぼうぜ!」
虎羽「!……こ、こらー!」
「なんだよ…」
虎羽「今、横取りしただろ!ダメだよ!」
「うるせえよ!」
虎羽「うっ…」
小突かれるが、怯まずに一歩前に出る
虎羽「貸してって言ったのか!?力づくで取ったらダメなんだよ!?返せ!」
「なんだよお前!」
*
「ぐすっ……」
虎羽「…はい、これ…」
「あっ!…ぼくのおもちゃ…」
虎羽「…取り返してきた…!」
「あ…ありがとう…!」
虎羽「一緒に遊んでいい?」
「うん!」
*
虎羽「おかーさん…今日、ボク…いいことしたよ。」
母「いいこと?何をしたの?」
虎羽「…おもちゃを横取りしてるの見たから、取り返してあげたんだ。そのあと一緒に遊んだんだよー!」
母「そっかぁ…こーちゃん偉いねぇ。善いことしたね!」
虎羽「うん!ありがとうって言われたんだよ!……いいことするって…いいことだね!」
母「…そうね…こーちゃんは誰かのために正しい力を使える、優しい子なんだね」
虎羽「正しい…力…?正しいってなに?」
母「…それは、こーちゃんの方がよく知っているわ。」
虎羽「ふ~ん………ねえ…正しいことをしたらおかーさんは嬉しい?」
母「もちろん!」
虎羽「! そっか…おとーさんも?」
母「お父さんも!」
虎羽「そっか…」
母「その、助けてあげたお友達も喜んでいたんでしょ?」
虎羽「うん。」
母「……………」
虎羽「……………ボク…正しいことしたい…」
母「…どうして?」
虎羽「……おとーさんもおかーさんも、みんな喜んでくれるから!」
母「っ!…そう…やっぱり、こーちゃんは優しい子ね…! そうだ!そんな優しくて良い子にはご褒美をあげなくちゃ!好きなお菓子買っていいわよ!」
虎羽「えっ!ほんとに!?」
母「うん!…りゅーちゃんには内緒でね…?」
虎羽「…いや!お兄ちゃんにもあげる!二人で食べられるの買っていい?」
母「っ!ふふっ…いいわよ…!」
*
虎羽「…………はは…………懐かしい記憶だ……………そういえば……すっかり忘れてた…………」
父さんと母さんが嬉しそうにしてくれたから……ボクは正しく在りたいと思ったんだった……
…そして……その優しさの源……正義の模範は………
*
龍牙「コウ!お菓子買ってきたぞ!」
龍牙「お母さんのプレゼント作ろうぜ!」
龍牙「今日もヒーローごっこで遊ぼう!」
*
次々と蘇る、兄との記憶。
虎羽
虎羽は静かに立ち上がり、公園をあとにする
*
わからないままだ……
正義とは何か…
正義の先に掲げる、『ヒーロー』としての在り方は何か……
…だが…それが何であってもボクは……
正しく在り続けたい……




