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第三十六話「…あたしを……愉しませてよね……♪」(ブルー3)

第三十六話 「…あたしを……愉しませてよね……♪」

(主人公 ブルー3)


クラウンを破壊し、その圧倒的な力を世界に示したバラレンジャー。

その存在は、各国に大きな波紋を広げていた。


世界連合は彼らの情報を抹消すべきだと結論づけたが、「ヒーローとして、人々に夢と希望を届けたい」というコトミの強い意志により、ヒーローショーは年内いっぱい継続されることとなった。


そのショーも、残すところあと二公演。

事務所では、最後の舞台へ向けた準備が進められていた。


*


みどり「…はい………はい……そのような流れで、お願いいたします………はい、失礼いたします……」


電話を置くみどり


みどり「麗ちゃ~ん」

麗「はいっ!」

みどり「次の会場の確認取れたよー 搬入の流れ、いつも通りでいいって~」

麗「ありがとうございますっ!」

みどり「はぁーぁ、疲れた~」


ソファに寝転がるみどり


朱祢「みどり、そっち終わったのなら手伝ってよ」


虎羽と、最終公演の台本を手にセリフの流れと演出を詰めていた朱祢が声をかける


みどり「え~? 真面目エネルギー使い切っちゃったから、ちょっと休憩させてよ~」

朱祢「駄目。こっちはずっと真面目にやってるんだから」

みどり「えー…みんなもちょっと休憩しない?もうお昼休憩にしちゃおうよ」

雪「お昼にはちょっと早いような……」


告知動画の編集作業をしている麗の後ろからちらりと時計を見る雪


麗「あはは…」


一瞬手を止め、雪と苦笑いする麗


朱祢「もう!なんでそんなにやる気ないのよ…!」

みどり「だってぇ~…なんかつまんないんだもん」

虎羽「…では、面白くなるように、一緒に演出を考えましょうよ。」

みどり「演出って言ったって…安全性がどうのこうので結局、派手にやれないんでしょー?」

虎羽「それはそうです。…規定の中で、できるだけのことをやりましょうよ」

朱祢「いい案出さないなら、みどりがいる意味ないでしょ」

みどり「ひど~い!あたし、朝から色々電話してたのに~! 社会経験の無い君たちにはできないことやってたんだからね~?」

麗「確かに…みどりさんがいてくれて助かりました…! 少しくらい休憩してもらってもいいんじゃ……」

朱祢「甘やかさないでください。一度許したら、この人はサボり続けますよ…」

みどり「むーー……」

麗「あはは……」

朱祢「ほら、無駄話は終わり。こっち来なさい」

みどり「…わかったよぉ……はぁーぁ…やっぱ、あたしもあっちに行った方が楽だったかな~……」


他のメンバーは紫雲社の倉庫にて機材の搬入や、道具の確認作業などに追われている


朱祢「そうなったら、私もそっちに行くだけよ」

みどり「えーっ!」

虎羽「ははっ…頼もしいですね」


その様子を見て小声で話す二人


雪「ふふっ、朱祢さん、すっかりみどりさんの監視役ですねっ…!」

麗「そうですね…!」


渋々、虎羽と朱祢がいるテーブルに移動するみどり


みどり「もー、わかったよ……あたしのこと好きすぎる朱祢ちゃんに免じて、手伝ってあげる♪」

朱祢「はいはい」

麗「ふふっ、みどりさんのあしらい方も、手慣れてきましたね…!」

雪「そうですね…!」


その時――

ビー――――ッ!


「「!!」」

麗「わぁっ!?」


ヒーロー支部、全体への無線が入る


「こちら指令センター。

時刻1005(ヒトマルマルゴー)、首都全域に魔物の大群を確認。

同時に、未知のウイルスによる感染被害が拡大中。

当該区域は完全封鎖し、侵入・離脱を全面禁止します。

現在、自衛隊が出動準備中。

近隣地域のヒーローは、デバイスに送信された指示を基に避難誘導を行ってください。

繰り返します――」

「「……………………」」


緊張感に包まれる事務所

ピッ!とテレビをつけ、チャンネルを回すみどり

カタカタカタ!とパソコンから指令の詳細を確認する麗


麗「…わたし達の地域は、避難誘導の指示は無いみたいですね…」

雪「……クラウンはもう無いのに…まだそんなクリーチャーが残っていたんですね…」

朱祢「…解体したヒーローも増えてるみたいだけど、避難誘導の手は足りてるのかしら…」


テレビからヘリコプターに乗った現地レポーターの声が聞こえる


「こちらが、現在の首都上空からの様子です。ご覧の通り、ビルの間に巨大な巣のようなものがあり、そこから何か動く物が出入りしているようです。 また、ウイルス感染の拡大を阻止するため、首都全域が封鎖され、それによって交通が麻痺しております。

ご覧のように、道路は人と車で溢れかえっている状況です」

みどり「…なんだかすごいことになってるね……」

麗「こんなパニックになって……どうなっちゃうんでしょう……」

虎羽「………………」


黙っていた虎羽が突然立ち上がる


虎羽「ボク、様子を見てきます!」

「「!!」」

朱祢「…見てきてどうするつもり?」

虎羽「…場合によっては出動し、侵略体を可能な限り排除します」

麗「ま、待ってくださいっ!現地では、未知のウイルスが感染を広げていますっ!指令センターからの情報でも、まだ感染経路すらハッキリしてません……虎羽さんの安全を考えると、許可できませんっ!」

虎羽「…心配は無用です。ボクたちのこの体がウイルスなどに侵されることはありませんから。」

麗「えっ!?…で…でも……」

虎羽「時間がありません……更衣室、借ります!」

麗「あ………」


バタン!と扉を閉める虎羽


麗「だ…大丈夫なんですか…!?」

みどり「だいじょぶ、だいじょぶ。心配しないで」

朱祢「……私も出るわ……」

麗「あ、朱祢さんまで……!?」

朱祢「…元凶の敵を倒せば、少しは被害が抑えられるでしょう…?…ただ見てるだけなんて、私にはできない」

みどり「ちょっと待ってよ」

朱祢「…なに?」

みどり「今、あたし達が目立つのはマズくない?評価会議(国際特異戦力評価会議)でも釘刺されたでしょ。情報統制の為にこれ以上、人前で力を使うなって。」

雪「そういえばそうでした…」

みどり「…あたし達には、感染した人たちをどうこうできないし、パニックを収めたりとかの二次被害の対応は国に任せるのが一番だと思うよ?」

朱祢「…………でもっ……!」

みどり「…せっかく考えたヒーローショーも、出来なくなっちゃうかもしれないよ?」

朱祢「…!!」

雪「…………………」

麗「…………………」


重たい空気が流れる


みどり「…まー、しょうがないよ」


ピッ!とテレビを消す


みどり「あたし達が行っても、余計な混乱を生むだけだろうし……それに、未来の為にはこういった経験を人類に積ませることも必要なんじゃない?」

朱祢「…………………」

みどり「……ってわけだから、コーくんも、行くのはやめよう?」


更衣室の扉の奥に問いかけるが返事はない。


みどり「……あれ?コーくん?」


にゅっ…!

透過の能力で顔だけを更衣室に入れるみどり

すると……

チリチリ………ボワッ!!


みどり「うわぁ!?」


突然、人型の炎が燃え上がり、声がする


虎羽「!!…みどりさん?」

みどり「ご、ごめん!」


慌てて顔を引っ込めるみどり


虎羽「すみません…服までは瞬間移動できないので少し待ってください…」

みどり「…瞬間移動?」

虎羽「はい…実は最近、覚えました。…元の体と同じ熱量を発生させた場所に意識を送ることができるんです」

みどり「へ~」(…そっか……覚えちゃったのか………)

麗「…今、なんかとてつもないこと言ってませんでした?」


ガチャ!と、虎羽が扉を開けて出てくる


虎羽「現場を見てきましたが、予想以上の被害でした。…何より、数が多いです。ボク一人では殲滅に時間がかかります。銀河さんたちの方にも連絡を…」


と、言いかけた虎羽の言葉を遮る


みどり「そのことなんだけど…」

虎羽「…?」

みどり「さっき、朱祢ちゃん達には話したけど…今回は出動するべきじゃないと思うの。評価会議でも、力使うのは止められてるし……この出来事の対応も、『未来』の為には必要かもしれないから。」

虎羽「……『未来』の為になるのかどうかは銀河さんに聞かないと分からないのでは?」

みどり「必要じゃなかったら、タイムリープして“無かったこと”にすると思わない?」

虎羽「………………」

みどり「国からも、侵入禁止って言われてるんだから今回は大人しくしてよう? どっちみち管轄外だし、行く理由なんて無いよ」

虎羽「………………」


一瞬、視線を落とす虎羽。

だが、拳を握り、真っすぐ答える。


虎羽「…人々を見殺しにすることが最善だとは思えません。ボクは行きます」

麗「虎羽さん……」

みどり「へぇ~………国に逆らってでも?」

虎羽「はい」

みどり「これからのバラレンジャーの活動を潰してでも?」

虎羽「……はい」

みどり「…………………」

虎羽「…………………」

みどり「よしっ…わかった。あたしも行くよ」

虎羽「…!」

みどり「あたしのスピードなら、数が多くてもなんとかなるし……それでいいでしょ?」

朱祢「…え…えぇ……」

みどり「んで…もし、あとでなんか言われたら、どうにかしてあたし達で責任取るよ。分かった?」

虎羽「…はい!」

みどり「…ってことでいいかな?麗ちゃんっ♪」

麗「!………分かりました……!お二人の出撃を許可しますっ!」

みどり「よっし♪ じゃー、あたしは先に行ってるから…虎羽くんは、瞬間移動使わずに来てよね!」

虎羽「…どうしてです?」

みどり「炎の魔人が出たって勘違いされるでしょ!」

虎羽「あ…確かに……」

みどり「…あたしがいるんだから、ゆっくりでいいよ……じゃっ、行ってくるね~」

雪「お願いしますっ!」

麗「お気をつけて…!」


ズァアア………ドゥウンッ……!!!!

闇にまみれて消えるみどり



*



ズァア………

ビルの屋上から魔物の巣を見下ろすみどり


みどり「あれかぁ……でも、片付ける前に親玉を見つけないとね……」


*



みどり「えー!めんどくさそ~~」

銀河「そこを何とか…!虎羽の成長の為に必要なんだ…!」

みどり「えー……………なんだっけ、朱祢ちゃん達が出動しないように立ち回ればいいんだっけ?」

銀河「そう!…まぁ、あんまり意識しなくても流れでなんとかなるはずだから大丈夫だ!」

みどり「ほんとに~? ただでさえ、最近仕事つまんないのに…さらにめんどくさいことにならない?」

銀河「ちゃんとご褒美もあるから!」

みどり「…ご褒美ぃ~?」

銀河「これが終わった後、いいことが待ってるんだ! もちろん、おれも全力で協力することになるから!」

みどり「………………」

銀河「頼む!みどりちゃんにしかできないことなんだ…!」

みどり「……もー…わかったよ………その代わり、そのご褒美でちゃんとあたしを楽しませてよね!」

銀河「もちろん!」

みどり「…話はそれで終わり?」

銀河「あ、あともう一つ。明日現れる、一番強いヴィランだけは死体を残しておいてほしいんだ」

みどり「? なんで?」

銀河「研究材料として必要なんだ」

みどり「むー……で?一番強いかどうかは、どう見分ければいいわけ?」

銀河「それは秘密の方がみどりちゃんが楽しめると思うぜ?」

みどり「………信じるからね~…?」

銀河「あぁ。信じてくれ」

みどり「はぁ……じゃ、あたしもう帰るよ?」

銀河「あ、最後に一個。とっておきの情報を教えとく」

みどり「なに?」

銀河「実はな……ブラウンと虎羽…兄弟なんだよ……」

みどり「………へ?」

銀河「どうだ?すげー情報だろ?」

みどり「…ま……マジ…?」

銀河「マジマジ。…よく見ると顔とか似てるだろ?ブラウンってのは偽名だったんだ。」

みどり「え………えぇぇぇえええええっ!?」



*


みどり(銀ちゃんとの約束もあるし…ご褒美のために頑張るか~)

?? “き……が…バラ………―か?”

みどり「!?」


脳内に響く声

声の主を探すと、下からの視線に気づく


みどり「…見つけた…♪…面白そうなの、はっけ~ん♪」


ニヤリと笑い、巣の近くへ飛び降りる


?? “…人間にしては珍しい、高潔な魂を持っているな……”

みどり「喋れるんだ……強そうだし、あんたがこの事件の元凶?」

コンケラヴァリス “そうだ…。…我はディラナウスの王、コンケラヴァリス。…貴様はバラレンジャーか?”

みどり「…そうだよ、あたしはバラレンジャーのブルーローズだよ」

コンケラヴァリス “…我は、同胞の仇を取るために貴様らバラレンジャーを倒しに来た……身に覚えはあるだろう?”

みどり「…まーね……あんたみたいな魔物、数えきれないほど斬ってきたよ……。ちょっと可哀想だけど、こっちも地球を侵略されて、ただ黙ってるわけにはいかないからね」

コンケラヴァリス “……分かっている…。貴様ら人間に恨みがあるわけではない……だが、『キング』として二度と戻らぬ同胞へ手向けの花を添えねばならない……”

みどり「へぇ…? 献花に薔薇を選ぼうってわけ?」


スッ……ブゥン!

背中からソードを抜く


みどり「やってみなよ……どっちが『トップ』か、確かめてみようじゃん?」


刃先をコンケラヴァリスに向ける


コンケラヴァリス “…その余裕…流石だな……だが、貴様らが強いことはもう知っている。こちらは手段を選ばず、全力でやらせてもらう…”


ガタガタガタ……!

建物が揺れる音。

見上げると、巨大な蜘蛛のような魔物が壁に張り付いている


みどり「うわ…きっも……。…!!」


ザッ……ザッ………

足音に気づき、再び視線を戻すと、周囲をゾンビのような人に囲まれていた


みどり「…この人たちは?」

コンケラヴァリス “我の手駒だ………貴様、『ヒーロー』なのだろう?こやつらを庇いながら我と戦うことができるか…?”

みどり「……あんたが、この人達を操ってるわけ?」

コンケラヴァリス “そうだ……我を倒さなければ、この洗脳は解除できない…”

みどり(げぇー…めんどくさ……久しぶりにちょっと楽しもうと思ったのにぃ……銀ちゃんの嘘つき……もーパパっと片付けちゃおうかな………あっ!)


ソードを背中に戻すみどり


みどり「あなたの目的はバラレンジャーを倒すことなんだよね?」

コンケラヴァリス “そうだが…?”

みどり「じゃあさ…あたしと取引しない?」

コンケラヴァリス “ほう…”

みどり「あたしがあなたの手駒になってあげる。…その代わり、この人たち全員解放してよ」

コンケラヴァリス “……貴様の命一つと引き換えに、大勢の命を救うか……”

みどり「あなた、けっこう強いでしょ?どうせ仇を取るなら、こんな卑怯な方法使わない方が仲間も報われると思うけどな~」

コンケラヴァリス “………そうだな……貴様の力と交換ならば悪い条件ではないな……。いいだろう。取引成立だ。”

みどり「…! ありがと~」

コンケラヴァリス “……同胞を思いやるその心……その『ヒーロー』としての在り方は、我が種族の誇りと似ている……”

みどり「…で?あたしはどうすればいいわけ?」

コンケラヴァリス “……………”


ブシュッ……!

コンケラヴァリスの体から霧のようなものが放出された


みどり「…?」

コンケラヴァリス “我の体液を取り込んだ生物は、否が応でも支配下となる…”

みどり「……ちゃんとあの人たちのこと解放してよね」

コンケラヴァリス “あぁ……ディラナウスの誇りに誓おう……”



*


ボッ!!!

炎を噴出させ、空中を移動する虎羽


「ひぃいいいいっ!!」

虎羽「…?…あんな場所に、まだ人が……?……っ!!!」


スタッ!!

魔物がひしめく中心に降り立つ銀色のヒーロー…


コンケラヴァリス “…来たな…バラレンジャー……”

虎羽「!……お前…喋れるのか…」

コンケラヴァリス “我の名はコンケラヴァリス。 同胞の仇を取るため、貴様らバラレンジャーに決闘を申し込む”

虎羽「……お前…その人に何をした…?」


横に立つみどりを見て言う


コンケラヴァリス “この街の人間と引き換えに、手駒とした。…貴様もすぐ、同じようにしてやる…”


チャキン…!


虎羽「っ!!」


キィンッ!!!!

振り下ろされた剣を両腕の籠手(こて)で防ぐ


虎羽「みどりさん…!操られたって言うんですかっ…!?」


ゴォアアアッ!!!

炎を巻き上げ、剣を弾く。

バッ…!

瞬時に踏み込み、攻撃に入ろうとした瞬間

みどりは既に後ろに飛び退いていた


コンケラヴァリス “…小手調べだ…貴様の全力、見せてみるがいい……”


ドンッ!!

と、どこかに跳び去るコンケラヴァリス


虎羽「…本気でやるつもりですか…?」

みどり「………………」


カチャ……

みどりは銃を引き抜き…

…くいくいっ

銃を持った手で手招きをする


虎羽「………ふッ!!」


ドォオオッ!!!!

拳から放たれた炎が正面の物を焼き払う


虎羽「っ!」


ダダダダダダンッ!!!

上に跳び避けたみどりは二丁銃で弾丸の雨を降らせる

ガガガガガガッ!!!

それを全て拳で弾く虎羽


虎羽(遊びに付き合うつもりはないッ!!)


ドッ!!

弾丸を弾き、避けながら一気に距離を縮める

ズァアッ!!

後ろに飛び退きながら闇のオーラを放出。

闇に紛れた弾丸が虎羽に届く……

ギンッ――!!!

はずも無い。炎の瞳が迷いの闇を晴らす

ガンガンッ!!!

クリアになった視界で弾丸を弾き、みどりに近づく。

拳を振りかざした瞬間――


虎羽「ッ…!!!」


通り抜けた闇が人型となり、剣を振り下ろした!

ボンッ!!!!

虎羽は踏み出した右脚から炎を噴出し、その勢いで後方に転がり、剣を避ける


虎羽「くっ…!」


銃を持った本体と、剣を持った分身に包囲されながら攻防を繰り返す。

そして、その様子を遠くから見守るコンケラヴァリス


コンケラヴァリス “…ただ力があるだけではない……その使い方が実に巧い。…敵ながら天晴だ……”


*


虎羽(…くっ…!…このままじゃ埒が明かない……近くに人がいるかもしれない状況でみどりさんを上回るには出力不足だ………何か方法は……っ!!)


ガンッ!!

振り上げられた剣が、虎羽の左拳を弾く。

ズズ……

分身を通過しながら剣を掴み、そのまま振り下ろすみどり

右腕は弾丸の防御に使ってしまっている。


コンケラヴァリス “勝った…!”


チリチリ……ボンッ!!!


みどり「っ!!!」


ドンッ!!!

殴り飛ばされるみどり


みどり「…へぇ……そっちも分身?」


人型の炎と並ぶ虎羽


虎羽「えぇ…ですが、全方位に実体を持つそちらの分身に比べ、コスパは段違いです」


スン…!

突如、目の前に現れる炎


みどり「!!」


ザンッ!!

即座に真っ二つにする。しかし、手応えはない

チリチリチリチリチリ…ッ!!!


みどり「…あははっ!!いいねいいね!!面白くなってきたッ!!!」


みどりを囲む、無数の炎の分身。

仮面の奥のみどりの目つきが変わったその時――


シュタッ!!


虎羽「!!」

みどり「!!」


現れたのはゴールドローズ


ブラウン「これは一体…?どういう状況だ……?」

虎羽「にっ………あんたか……」

ブラウン「…みどりちゃんは何をしてるんだ…?」

虎羽「…ウイルスに感染して洗脳された…らしい……」

ブラウン「……??…どういうことだ?」

みどり「ブラウンくんも来たかー……ちょうどいいや、二人まとめてかかってきなよ…少しだけ、本気出すからっ♪」


ズズズズ……!!

分身が取り込まれ、闇のオーラが増大していく…


ブラウン「……とにかく、みどりちゃんを倒せばいいか…」

虎羽「あぁ…そうでもしないと、気が済まないらしい」


ザッ!! シャキィン…!!

拳を構える虎羽。太刀を構えるブラウン。


みどり「…あたしを……愉しませてよね……♪」


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