第三十一話「絶対無敵のバラレンジャーが世界をやり直す!?」
第三十一話「絶対無敵のバラレンジャーが世界をやり直す!?」
(主人公 ピンク4)
バラレンジャーの職場はとってもホワイトです。パトロール番じゃない場合、通報がなく、ヒーローショーや書類整理の仕事がない時は何をしていても自由!もし、仮に通報が入っても僕は稲妻となって一瞬で現場に移動できる。5分で移動、戦闘、報告を済ませることが出来るのでフリーの時間が多い。
僕の他にもう一人、最速で戦闘が出来るヒーローがいる。それが癒丹銀河だ。彼も閃光となって光速で移動できるため移動と戦闘が一瞬で終わる。更に、光の情報として景色を完全再現できるので報告にも困らない。その分僕よりも早い。だから、僕と銀河がいる時は他のヒーローに比べて自由時間が圧倒的に長い。
その時間を使って僕は銀河と仲良くなった。話す時間も多かったし、ゲームの趣味も合ったので自由時間は一緒にゲームをすることが多い。銀河はその名前の通り、細かいことを気にしない、スケールがでかくておおらかな人なのですぐに親しくなれた。その証として呼び捨てで名前を呼ばせてもらっている。
銀河は何も考えていないように思われがちだが、異世界にいた時間を含めるなら僕の方が年上になる。もしかしたら何かしらの直感でそれを感じ取っているのかもしれない…。まぁ僕の勘違いだろうけど、銀河にはそう感じさせる何かがある気がする…。
*
しかし、最近そんな親友の銀河の様子がおかしい。やる気と元気が取り柄の彼が最近考え込んでいる様子だ。
紫雲「ことみさん、次の現場の場所を教えてください。」
ことみ「今、位置情報を送るわ。一応もう既に銀河くんが向かっているけど余裕があるなら合流して!」
紫雲「了解です!」
*
紫雲「……っと、やっぱりもう終わってたか。報告は?」
銀河「……………」
紫雲「銀河…?」
銀河「はっ!……ああ紫雲、来てたのか。何か言ったか?」
紫雲「……最近どうしたんだ?柄にもなく考えこんでいるみたいだけど…。」
銀河「ああ……。ちょっとな…」
紫雲「俺でよければ話聞くよ。…それとも、話せないほど深刻なのか…?」
銀河「……お前は……俺と違う考えだからな…。」
紫雲「…?同じ考えじゃないと相談できないことなのか?」
銀河「……わからない……考えても考えてもわからねぇ。やっぱり俺らしくねぇからってハートでぶつかったこともあった。でも駄目だった…。あれからずっと考えているんだが…どうしたらいいのか全然わからねぇ…」
紫雲「…………お腹減ってない?丁度お昼時だしさ、この近くによく行く焼肉屋さんがあるんだ。飯食わねぇと考えられるものも考えられないだろ?」
銀河「……それもそうだな。…うっし、いったん忘れて飯食うか!」
紫雲「ああ!その方が銀河らしいよ。」
*
僕らが入ったお店は個室の席があり、他の音も気にならない。お肉もおいしいが、話しやすい場所だ。僕らはとりあえず注文し、肉を焼きながら話をした。
紫雲「なぁ、何を考えているのか詳しく教えてくれないか?詳しく言ってくれないと俺も力になれない。」
銀河「………紫雲、お前は未来のためなら人を殺せるか?」
紫雲「…!!………その質問が銀河の悩みに関係あるんだな?」
銀河「そうだ。」
紫雲「…………僕は平和な世界を護るために戦っている…だから人は殺さない……と言いたいが…わからない…。僕はそれが、より良い世界のためになるのなら覚悟を決めるかもしれない…」
銀河「…だろうな…お前は未来を選んだよ。俺はお前がそう言うのを知っている。」
紫雲「っ!…知っているって……」
銀河「俺は何度も過去をやり直している。」
紫雲「!!!!」
銀河「嘘だと思うか?でも、お前なら信じてくれるだろ?俺が考えこんじまうほどの悩みなんだから…そりゃあ時も超えるさ…。」
紫雲「………僕も何度も世界を入れ替え、やり直したことがある。だから…信じるよ。僕らみたいな力を持つ存在ならそれくらいのことが起きても不思議じゃない…。…未来に何があるんだ?さっきの質問にも関係があるのか?」
銀河は未来で起こることを説明してくれた。あの宙に浮いている船のような物体が爆発すること、爆発を阻止しようとしたことを説明してくれた。
正直、僕にもどうすればいいのかわからなかった。とりあえず満腹になるまで食べてからゆっくり考えることにした。
(ことみさんには連絡を入れておいた)
*
紫雲「君の考えはだいたいわかった。つまり、バラレンジャーの皆がバラバラになるのが嫌なんでしょ?」
銀河「そうなんだよ……みんなが、それぞれの考えを持ってるのはいい。でも、だからっつって離れ離れになるのは嫌だ!俺たちなら絶対、なんとか出来る!」
紫雲「なんとかって何をどうするつもり?」
銀河「それがわかんねぇからこうして相談してんじゃねぇか…」
紫雲「そうだよね。……う~ん。銀河の意見に反対派が藍さんと桃華ちゃんと虎羽くんと俺の4人か…。それで、ブラウンくんとみどりちゃん、黄慈さんは中立なんだよね?」
銀河「ああ。」
紫雲「黄慈さんが君の前に立ちふさがったのは桃華ちゃんと戦おうとしていたからってことだよね?それなら戦わない方法があれば黄慈さんは味方になってくれるかもしれない。ブラウンくんもみどりちゃんも説得次第で力になってくれるかもしれない。」
銀河「どうやって説得するんだよ…」
紫雲「それなんだけど…。俺も味方にしたいなら、君の選択が未来のためになると証明できればいい。」
銀河「証明…?どうやって?」
紫雲「それは俺にはわからない…。でも、相談できる人ならいるでしょ?」
銀河「?」
紫雲「バディだよ。」
銀河「!?あいつは俺とは反対の意見だぞ!?」
紫雲「…でも、話を聞いているとバディも人類を護りたいという考えで行動している。なるべく多くの人を助けるためにあの判断をしたんでしょ?なら、君が考えるように、さらに多くの人を救える選択肢があるなら、バディも協力してくれると思わない?」
銀河「……確かに…」
紫雲「でしょ?その方法があれば俺も賛同するし、中立の立場の三人も説得できるんじゃないかな?」
銀河「そうか…!!それならあとは桃華、虎羽、藍さんだけだな!」
紫雲「うん。それを説得できるかどうかは君次第だ。そのためには皆ともっと話すんだ。」
銀河「今のお前とみたいにか?」
紫雲「そう!普段の会話じゃ、なかなか深い話をすることはできない。特に今回の件みたいに、自分の価値観が問われるようなことについては、ちゃんと話し合わないと話せないし、理解もできない。」
銀河「そうだな…!俺!やるべきことが分かったよ!」
紫雲「…よかった!俺から言えるのはこのくらいだ。この後は君にしかできない。…未来を…世界を…変えてくれ」
銀河「ああ!任せろ!なんか出来る気がしてきた。お前に相談して良かったよ、ありがとな!!」
紫雲「うん!」
*
店を出て、事務所へと歩いて帰った。
紫雲「前の時間軸ではやっていないことをやっているのなら必ず何かが変わっている。今日、俺と話したことで何かが変わるかもしれない。その変化を信じて頑張ってくれ。俺も…銀河を信じたい。」
銀河「…!!ああ!信じていてくれ!俺も、お前らを信じる!バラレンジャーが…世界が変わってくれるって信じているからな!」
この、真っすぐで純粋な言葉…。いつまでも諦めず、どこまでも真っすぐに信じ切ることができるその心があるのなら、いつか本当に世界を変えるんだろうなと思ったよ。
それはそれとして、次の日「やることができたんだ!」と言って仕事を休み、藍さんが「まったく!」と言いながら代わりに出勤していた。「急がば回れ」とは言うが、真っ直ぐ往くことしか知らない銀河にとってそんなことよりも「善は急げ」の方が重視する考えなんだろうね。
銀河は何度も過去をやり直していると言っていたけれど、それをすぐに納得できたのは僕も同じような体験をしたからかもしれない。もし、他の人に話し、受け入れてもらえなかったら立ち直るのは難しかったかもしれない。彼の近くに僕がいて、最初に僕に話したのはこの世界で最良の選択だったのかもしれないな。そして、その最良の選択肢を選び取れる君なら……運命を選び直すことが出来るかもしれない……




