第三十話 「世界を導くバラレンジャー」 (主人公 ブラウン3)
第三十話 「世界を導くバラレンジャー」
(主人公 ブラウン3)
銀河「いよいよこの日がやってきたな!」
事務所にバラレンジャー全員と、事務員のことみ、麗の計13人が集まる。
桃華「クラウン破壊作戦の決行日ですね」
銀河「あぁ!」
藍「まったく…朝から暑苦しいですわね……」
銀河「そう言わないでくださいよ~!おれ、みんなとこの日を迎えられたことが最高に嬉しいんですからー!!」
みどり「…ってか今日も皆で集まる必要あったの?せっかく藍ちゃんも協力してくれるって言うなら藍ちゃんプラス数人いれば充分じゃない?」
虎羽「…確かに…破壊だけなら…というか、藍さんだけでも充分だったのでは?」
麗「えぇっ!?そ、そんなに強いんですかぁ…!?」
藍「ふんっ、わたくしを誰だと思ってるのかしら? 街への被害を出さずにクラウンを破壊することくらい、造作もないことですわ!」
紫雲「そうですね…藍さんがいれば、クラウンの落下を阻止することは容易い。ですが…何か忘れていませんか?僕たちの本当の目的は、人類の繁栄を確定させることですよ?」
銀河「そうだ!…おれ達はクラウン落下による被害を抑えながら、人類を繁栄へと導かなければならない。破壊することだけが目的じゃない」
朱祢「…それで…具体的に私たちは何をすればいいんですか?」
紫雲「それは僕と桃華ちゃんで説明させてもらうよ」
桃華「はい。昨晩、お話しすることが出来なかった作戦内容の詳細をご説明いたします。」
桃華は小型プロジェクターで、壁にプレゼン資料を映し出した
桃華「まず、クラウン落下による犠牲が無かった場合に必要な、人類を繁栄に導くおおまかな条件を表示します」
一つ。食料問題の解決。(多くの人間が生き残り、増え続けるため)
二つ。宇宙開拓。(資源が枯渇するため)
三つ。政治、政策のコントロールをAIが行うこと。
桃華「この三つの実現が必要になります。」
紫雲「一つ目と二つ目は、紫雲社と桃華ちゃんが協力すればなんとかなると思う。いや、なんとかしてみせるよ。」
黄慈「そうなると…三つ目か……」
紫雲「はい。これを取り入れてくれる国は地球には無いでしょう…」
金一「えー、じゃあどうするの?」
紫雲「…新しく創るんです」
金一「えーっ!?」
紫雲「土地と人…そして武力の三つを用意し、建国します。そして、その国の政治を機械に任せ、理想郷を作り上げるんです。そうすることで、その国は『平和な国』の手本となり、他の国も次第にやり方を真似、AI政治を受け入れるようになるでしょう」
ことみ「国を創るだなんて…そんなことできるの?」
紫雲「建国に必要な三つの要素。その内の人と武力。この二つは時間をかければ用意できます。」
ことみ「というと?」
紫雲「武力はもちろん、僕たちバラレンジャーの力があれば充分…。そして、人とは…桃華ちゃんの仲間のことです」
麗「仲間…?」
紫雲「人工知能搭載人型自律ロボット。つまり、桃華ちゃんと同じようなロボットが沢山いれば“人”が用意できます。
流れとしてはまず、お手伝いロボットとして人型ロボットを販売します。加えてロボットが運営するテーマパークを作り、ロボットを人間の生活に馴染ませます。
これにより、AI政治への抵抗感を薄めつつ、共感してくれる人を引き込む下地をつくります。後は時間をかけてそういった人の勧誘と、国を支える優秀なロボットを作っていくだけです。」
雪「お~!なんだかすごい話ですねっ!」
黄慈「…簡単に言うけど、肝心の土地はどうするつもりなんだい? それに、桃華ちゃんのようなロボットを作るなんて色んな意味で許されるのかな?」
紫雲「…知能を持った存在を作り出し、国の労働力とすることが倫理的に許されるか?ということですか?」
黄慈「…まぁ、それもあるけど……」
ちらりと桃華を見る
黄慈「桃華ちゃんのように、意思を持った機械。これは人類の脅威になり得る。…勝手な製造は禁止されるんじゃないかな?」
紫雲「禁止?誰にですか?」
黄慈「それは…国に…」
紫雲「…黄慈さん。桃華ちゃんは、新しい仲間の誕生を望んでいます。…ロボットという、新しい種族として繁栄していくことを望んでいるんです。」
黄慈「…そうなのかい?」
桃華「はい。…ワタシは、人のお役に立つ…『ヒーロー』のような存在になりたいのです。…今はまだ、特定の個人のお役に立つくらいしかできませんが……ワタシと同じ意志を持つ、仲間ができたのなら人類のお役に立つことが出来るかもしれません。
…ワタシは……博士から貰ったこの命で、それを実現してみたい……」
黄慈「……なるほど……」
紫雲「桃華ちゃんがこう言っているのなら、止める権利はありません。…人類の進化を促すためにも、国の意見なんかにこの夢が絶やされるなんてこと…あってはならない。
勝ち取りましょう!僕たちの力で…桃華ちゃんの『自由』を!…そして、土地を!」
ことみ「…土地も?」
紫雲「はい」
銀河「こっからが本題だな! 土地と権利を勝ち取るためには、世界との交渉材料が必要になってくるってわけです!」
ことみ「つまり…?」
桃華「クラウンの破壊で、バラレンジャーの力を世界に示すのです…!」
ことみ「!!」
スライドが進み、結論が出る
金一「なるほど!『全員でド派手にクラウンを壊そう!』ってことだね!」
桃華「はい。」
銀河「その通りっす!」
朱祢「でも、それを全員でやる必要はあるんですか?」
みどり「そーだよ!それだけの理由ならあたし、いらなくなーい?」
紫雲「それが、あるんですよ…。 今後のことを考えれば、それも分かります。…もし、クラウンを破壊したら、この超能力の存在は世間にバレます。世界との交渉に使うのなら尚更です。となれば、各国のお偉いさん方は必ず僕らを脅威とみなし、排除しようとするでしょう…」
ブラウン「…何が相手だろうが、負けないと思うが?」
みどり「そーだそーだ!」
紫雲「まぁ、そこは心配ないでしょう。…でも、なるべくその狙いは分散させておきたいと思いません?みどりちゃんも、バラレンジャーの中で一人だけ狙われるのは嫌じゃないですか?」
みどり「うっ…絶対いや…」
紫雲「ですよね。…損な役回りを集中させないこと……加えてあともう一つ、理由があります。それは…11人全員で、やっと壊せたという事実が欲しいからです。」
ブラウン「…?」
紫雲「たとえ世間に、この力の存在がバレてしまったとしても、人類が絶対に勝てないレベルだと思われるのは不都合なんです。」
みどり「なんで?」
銀河「…絶対的な力があれば、政治なんかに意味は無くなる。…おれらの目的はあくまで人類の繁栄だ。…だから、他の国を力で縛り付けるようなことはしたくないんだ…」
みどり「ふ~ん…」
藍「…なら、なるべく手間をかけて壊せと?」
紫雲「…そうですね」
藍「尚且つ、下の街の被害も無くせと?」
ははっと苦笑いする紫雲
紫雲「…まぁ、そこは適当にやりましょう。 結局、どうやっても不自然にはなると思うので交渉の時はごり押しします。どうせ、現代の科学では説明のつかないことですから…」
藍「……はぁ……まっ、なんとかするしかないわね…」
紫雲「具体的に、それぞれがどんな動きになるかはこれから説明します。…今のところ、質問はもうないですか?」
一同は静かに頷く
桃華「……では、ワタシの方から作戦内容をお伝えいたします」
スライドが進む
桃華「まず、突然の事態による混乱を防ぐため、クラウン破壊の直前に演説と言う名のアナウンスをします。そこで、クラウンの危険性と、人類滅亡の警鐘を鳴らします。」
金一「えっ、ちょっと待って!」
桃華「はい」
金一「アナウンスって…世界各国にしなきゃでしょ?テレビ局にはもう、話は伝えてあるってこと?」
桃華「その必要はありません。」
金一「えっ」
銀河「おれの光を届ける能力と…」
ブラウンに近づき、肩を組む銀河
銀河「こいつの、音を届ける能力を使えば、全世界に映像を届けられるって算段です!」
こくりと頷くブラウン
金一「おー!なるほど!」
桃華「さらに、虎羽様、金一様、朱祢様、みどり様の能力による演出を加えることで、よりリアリティのある映像にすることができます。」
「「おー」」
銀河「人類に危機感を持たせるには効果抜群ってことだ!」
雪「…音を届けるって…そんなすごいこと出来るんですね!」
ブラウン「あぁ…練習した」
銀河「ブラウンは努力家だからな!」
わしっと頭を撫でる
銀河「…お前が頑張ってくれなきゃ、この作戦は成り立たなかった……ありがとなっ!」
ブラウン「…うん…」
ふっと笑って見せる
桃華「…では、説明に戻ります。 アナウンスの後、藍様、黄慈様の防御要員と、その他メンバーによる攻撃要員に分かれます。防御要員のお二方はクラウンよりも下で待機し、攻撃要員の攻撃を合図に行動を開始していただきます。
黄慈様には、クラウンの破片の処理を。藍様には破片を含め、衝撃波などからの防御を臨機応変にやっていただきます。」
紫雲「一応、説明の時には重力反転装置を使ったという体にしようと思いますので、破片などは“宇宙空間まで落として”ください」
黄慈「あぁ。分かった」
紫雲「藍さんは街の上にバリアを張ってもらえれば大丈夫です」
藍「えぇ…了解したわ」
桃華「…攻撃要員の方々は、紫雲社特製のヒーローギアにより、超人的な力を手に入れたという設定になっております。先ほどの説明の通り、なんとか壊せるレベルの威力の攻撃を心掛けるよう、お願いいたします。」
ことみ「…そこ適当なの?」
桃華「え…」
ことみ「その…何て言うか…具体的な指標はないの?」
桃華「…破壊に必要なエネルギーの計算結果がないことはないのですが……」
紫雲「皆、感覚で能力を使ってると思うし、ごちゃごちゃ考えるのも性に合わない人ばっかりですから…」
銀河「あぁ、なんかうまいことやってこーぜ!」
ことみ「えぇ…肝心の作戦がそんな適当でいいの~!?」
ブラウン「その方が分かりやすい…」
みどり「うん。変に作戦固められたら、連携取れなさそうだしね~」
雪「た…たしかに…」
金一「そういえば僕たち、チームとして戦うなんてこれが初めてだもんね…」
虎羽「そうでしたね。…複雑な作戦は難しいかもですね」
麗「えぇっ!そうなんですか!?」
驚いてことみを見る麗
ことみ「……そ…そうだったわね……」
朱祢「…はぁ……いつもと同じね……」
黄慈「まぁ、この方がぼくららしいよね」
藍「なんでもいいですけれど、このわたくしの足を引っ張るようなことだけは許しませんわよ!」
銀河「うっ……頑張らねーと……」
桃華「…作戦の概要は以上ですが…何か質問はございますか?」
みどり「ないでーす とっとと終わらせちゃお~」
ことみ「もう…緊張感ないわね……」
桃華「では、作戦を決行いたしましょう……ことみ様。」
ことみ「ん?」
桃華「司令官として、士気の上がる言葉をお願いします」
ことみ「…!……コホン……そうねぇ………」
ことみは全員の顔を見てから力強く言い放った
ことみ「…バラバラから始まったヒーロー活動だけど……今のみんななら、力を一つに合わせられるって信じてるわ! 必ず、世界を救ってちょうだい!」
皆、力強く頷く
ことみ「薔薇薔薇戦隊バラレンジャー!作戦開始よ!!」
「「おーーー!!!!」」
*
いつも通りの日常を過ごす人々。
その頭上に突如、巨大なホログラムが展開される。
「全世界の人々へ。我々の名は薔薇薔薇戦隊バラレンジャー。 現在、世界各国の首都上空に出現している“クラウン”。我々はこれを――破壊する」
「なんだあれ!?」 「急に何!?」 「おい今、破壊って言ったぞ!」 「どういうこと!?」
「もし、クラウンが落下すれば人類史上最悪の被害が発生する。今から、その一端を再現しよう……」
クラウンが落下した時の映像が流れる。
落下の衝撃は雪と朱祢が再現し、虎羽が熱を放つ。
「びっくりしたぁ!怖いよぉ…」「何…今の…死ぬかと思った…」「熱い…なんだこれ…本当に起きたみたいだ……」「こんなのが落ちてきたら…」
「……これは、ほんの一部に過ぎない。中枢を失ったことで世界は混乱し、秩序は崩壊する…」
重苦しい空気の中、荒廃した世界で暴れたり泣いたりする人々の姿が映像で流れる。
「未来は奪われた世界は暗く、冷たいものとなる…」
「空気がっ…重い…」 「なんだか寒い…」 「きゃあ!なんで…!昼間なのに、こんなに暗いのぉ!?」 「うぇえええん!!こわいよ~~!!」
重苦しい絶望の空気感は藍と黄慈が、
世界を包む闇はみどりが、
その後の冷たい世界は金一が演出した。
「…この結末を回避するため、我々バラレンジャーはクラウンを破壊する。極秘に作られた超兵器により、街への被害も出ないので安心して見ていてほしい。」
*
銀河「…ふぅ…ま、こんなところか…」
紫雲「…これで心置きなくあれを破壊できるね」
銀河「あぁ……よっし!みんな行くぞ!」
*
ゴロゴロ……カッッ!カッッ!!カッッ!!!ピシャァァアアン!!!
世界に轟く黄色の電撃!!薔薇薔薇戦隊ピンクローズ、四条紫雲!!!
ゴゴゴゴ……!!!ズン…!!!ズン…!!!!ズン…!!!!!
想いを乗せた黒の鉄槌!!薔薇薔薇戦隊ホワイトローズ、砂霧黄慈!!!
キュィィィイイイイイン!!!!バシュッツ!!ガシャァン!ブォンブォンブン!!
命を宿す黄金回転!!薔薇薔薇戦隊パープルローズ、桃華!!!
シュンシュンシュンシュン!!パッ!シュン!パッ!シュン!グルグル…コンッ!
白く輝く正義の光!!薔薇薔薇戦隊ブラウンローズ、癒丹銀河!!!
ズァアアア…!!ザッ…ザッ…クルクルクルッカチャ…!!
世界のどっかに~紫紺の闇!!薔薇薔薇戦隊ブルーローズ、若竹みどり♪
カッ…カッ…カッ…!!フワサァ…!!
未来を斬り拓く銀の斬撃!!薔薇薔薇戦隊グリーンローズ、星乃藍ですわ!!!
パシュ!バシュッ!トン、トン、クルッ、ザン!クルッ、ポォオン…シュタッ!!
悪を打ち抜くセピアの一矢!!薔薇薔薇戦隊イエローローズ、玉屋朱祢!!!
ゴォォオオオ!!!!ガンッ!!!!グググ…!!ドン!!!!!
真っ赤に燃える正義の拳!!薔薇薔薇戦隊シルバーローズ、黒崎虎羽!!!
ビュォォオオ!!!!フッ……ブワァァァアアアア…!!!!!
龍が如く天を舞い、緑の刃で空を裂く!!薔薇薔薇戦隊ゴールドローズ、ブラウン・ノクス!!!
ッッッバン!!!バン!!!ガンッ!
絆を守る桃色の盾!薔薇薔薇戦隊ブラックローズ、家城雪!!!
シィィィイイイン……ピキィ…ピキピキィ…!!!ザンッ…!!!!
ゼロを超える青色のキセキ!!薔薇薔薇戦隊レッドローズ、金護金一!!!
ことみ・麗「全員揃って!!」
「「薔薇薔薇戦隊、バラレンジャー!!!!!!」」
ドォオオン!!!!!
人気のない荒野で大爆発が起こる
銀河「よっしゃ!完璧に決まったな!」
朱祢「…これ…やる必要あったんですか…」
金一「何言ってるのー!せっかくヒーローやってるんだから、これくらいやらないと!」
虎羽「ヒーローショーの練習にもなりますね」
みどり「ショーでこんな大爆発はできないけどね~」
雪「す、すみませんっ!はりきっちゃいました……」
麗「謝ることありませんよ!すごく迫力のある映像でしたよ!」
紫雲「思えば僕たち…本当にヒーローらしいことやってなかったね…」
ブラウン「…確かに……ヒーローカラー決まってから、5人以上で出動した時なんてなかった…」
桃華「…ですが、皆様がそれぞれ持つ信念は、『ヒーロー』に相応しいものであるとワタシは思います。」
黄慈「ぼくもそう思うよ…。ヒーローらしいことを無理にやらなくたって、ぼくらはもう立派な『ヒーロー』だ…!」
藍「ふん……御託はもういいですわ。やりたいことが終わったのならさっさとクラウンを破壊しに行きますわよ」
銀河「あぁ、そうだった。軍隊が動く前にケリつけないとな…!」
ことみ「そうね……皆!もう気合は充分でしょう!?その手で救いのある未来をつかみ取って来てちょうだい!!」
「おう!」「うん!」「はいっ!」「あぁ」「えぇ…」「はい!」
「「……………………」」
藍「……んもう!締まりが悪いわね!もう少しマシな掛け声は無いの!?」
ことみ「えっえぇ!?そんなこと言われても…あれだけ強い皆が、全員で出動するなんて考えたことなかったし……うーん………あっ!わかったわ!」
麗「! どんな掛け声を思いついたんですかぁ…!?」
ことみ「こういうのはシンプルなのがいいのよ!…いくわよ!? バラレンジャ~~…ファイトー!!おーー!!」
「「お、おーー…!」」
藍「ちょっとことみ!」
ことみ「も、もう!みんなもう一回! いくわよ!? バラレンジャ~~…ファイトーー!!」
「「おーー!!」」
ことみ「うん!これでいいわね! みんな、気を付けて、いってらっしゃい!」
麗「頑張ってください~!事務所から応援してますから~!」
藍「んもう……終始ぐだぐだだったわね…」
朱祢「…はぁ…最初の出動を思い出すわ…」
みどり「まっ、バラレンジャーらしくっていいんじゃない?」
雪「あはは…」
藍「……釈然としないけど…まぁいいわ……」
みどり「あれ~?もしかして…一番バラレンジャーにこだわりがあるのって、もしかして藍ちゃんなんじゃない?」
藍「はぁ~!?そんなわけないでしょう?」
みどり「だって~ さっきの掛け声もそうだし、カメラワークについて一番文句言ってたの藍ちゃんだったじゃ~ん」
藍「っ! 女優時代の血が騒いだのよ!あんな素人丸出しのカメラワークじゃ、わたくしの雄姿が完璧に映せないからよ!」
みどり「ふ~ん…?素直じゃないな~」
藍「くっ…!みどりぃ……!」
紫雲「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」
みどりと藍に割って入る紫雲。
それをそっと見守る銀河
銀河「………………」
黄慈「…やっぱり、藍さんもいた方が賑やかで良かったね」
銀河「……はい……麗さんがいてくれたおかげっす……」
おれ一人じゃ、たどり着けなかった…
皆が協力してくれたから、この『可能性』をつかみ取ることができた……
13人いたから…この13人じゃなかったら…
おれは諦めてしまっていたかもしれない……
黄慈「…! どうしたんだい?」
銀河「…なんでもないっす…」
涙をサッと指で拭う
銀河「よっしゃ!皆、全世界に最強ヒーローの力、見せてやろうぜ! さぁ…行くぞ!!」
金一「ちょ…それ僕の役目……」
*
瞬時に移動し、即座にクラウンへ攻撃を開始するバラレンジャー。
紫雲の電撃、虎羽の炎、雪の爆発を中心に派手な攻撃を繰り返す。
光、炎、煙で姿が隠れた瞬間に、特大の攻撃を放ち外殻をぶち破る。
重力を使った、巨大な転送装置であったクラウンは装置のコアが破壊されると重力が制御できなくなり、一瞬ブラックホールを生成してしまうのだが、黄慈の能力でそれも相殺。
同じ手法を繰り返し、計10個のクラウンは跡形もなく消え去った。
*
みどり「はぁ~…疲れた~」
ことみ「みんな、お疲れ様」
麗「お疲れ様でした!」
事務所に戻ったバラレンジャー
紫雲「とりあえずひと段落ついたけど…本当の戦いはこれからだ……気を引き締めないと忙殺されそうだ…」
銀河「まぁまぁ、これからのことはまた今度考えようぜ! 今はバラレンジャーが団結して偉業を成し遂げたことを祝わねぇと!」
みどり「そうだね~ お腹も減ったし、みんなでご飯でも行こうよ!」
雪「いいですねっ!」
金一「うん!大仕事を終えた祝杯を上げないと!」
藍「そうですわね…わたくしにここまでのことをさせたのですから、労いの一つでも無いと納得できませんわ」
紫雲「藍さんには一番、頑張ってもらいましたからね」
藍「そうよ!称えなさい!」
みどり「ここは奮発して、高級お寿司とかどう!?」
麗「うわぁ…!お寿司…!…あっでも今持ち合わせが…」
みどり「大丈夫だって!あたし達、世界を救ったんだよ~?今日くらい社長の奢りでしょー!」
ことみ「え“っ!!」
麗「そうなんですか!?」
ことみ「うっ…期待の眼差し……ほ、ほら…確かにみんなは世界を救ったけど、それはまだ世間には認められてないし…というか、クラウンを壊してもうちには一銭も入ってこないから…」
みどり「藍ちゃん、お店知ってるでしょー?今から13人で入れないか聞いてみてよ」
藍「そうね……それなら、いい店を知っているわ。貸し切りに出来るか聞いてみましょう」
みどり「やったー!」
ことみ「えっ!高級寿司店を貸し切りってちょっと…」
銀河「ひゃっほい!寿司だ寿司だー!」
黄慈「お高い寿司屋は初めてだ…。楽しみだな…」
虎羽「お腹を空かせて行かないとですね」
藍「予約取れたわ。少ししたら出発するわよ」
「「やったー!!」」
ことみ(あ…あぁ……人類の危機より、財布の危機!どうしよう…これじゃあ貯金が無くなっちゃう…)
紫雲「まぁまぁ、心配しないでくださいよ」
ことみ「紫雲くん…!」(もしかして代わりにお金出してくれたり…)
紫雲「世界中に名が売れたんです。これからはがっぽり稼げますよ!」
ことみ(助け船じゃないー!!)「………はぁ……そうね……確かに…これは先行投資か……」
頭を抱えることみ
しかし、数秒考えると「よしっ!」と立ち上がり、宣言した
ことみ「これでも私は事業主よ!高級寿司の一つくらい、奢ってあげるわ!!」
「「うぉおおおお!!」」
銀河「いいぞー!」 みどり「よっ!流石社長!」
ことみ「あなた達も、ガンガン食べなさいよね!」
雪「ありがとうございますっ!ことみさん!」 虎羽「お言葉に甘えさせていただきます」 ブラウン「…ありがとう…」
ことみ(とほほ……一体いくらかかるんだろう……藍さんが行くようなお寿司屋なんて、わたしも初めて行くのに………)
桃華「ことみ様、ご安心ください。ワタシの分の食費はかかりませんので…」
ことみ「ありがとう桃華ちゃん…。でも、13人が12人になってももうあまり変わらないわ。桃華ちゃんも、経験だと思って色々食べてみて」
桃華「……13と12は違うと思いますが………ワタシも食べた方がいいということでしたら、そう致します…」
金一「…ん?あれっ、ちょっと見て!」
テレビをつけた金一が叫ぶ
金一「これ…リアルタイムの映像だよね……!?」
そこに映っているのは、イカのような見た目の巨大生物がクラウンと一緒に浮上している姿であった。
銀河「何っ!?クラウンが…もう一個!?」
紫雲「銀河、これはどういうことだ!?」
銀河「…っ!おい、バディ!なんでクラウンがもう一個あるんだよ!?」
そう問いかけると、どこからともなく声が聞こえてくる
バディ“あれはおそらく、クラウンの母機だな…”
朱祢「母機…?」
バディ“クラウンの転送や、ヴィランの転送を行っていた機体だ。他のクラウンが破壊されたのを見て、慌てて出てきたのだろう…”
銀河「あれは、何が目的なんだ!?まさか…街に落ちたり、津波を引き起こしたりしねぇだろうな?」
バディ“…さぁな……撤退の道を選んだか、もしくは攻撃の為の準備か…。どちらにせよ、地球にこれ以上いる気は無いみたいだな。見ろ…小さな飛行物体が集まっているのが見えるだろう?”
テレビを凝視すると、確かに小型の飛行物体が四方八方から飛んできている。
バディ“あれは、地球の各地に潜伏させていた小型の転送機器だ。”
桃華「あの装置があったから、世界各地でエネミーが出現していたのですね……」
銀河「……なんにせよ…地球にここまでのことをした元凶を放っておくわけにはいかねぇ…!あれもぶっ壊そう!」
扉の方へ歩いていく
紫雲「一人で行く気か?」
銀河「…あれくらい、おれだけで充分だろ? 海の上にいるそれなら、おれもある程度の力は出せる。寿司が待ってるから、早く帰ってこないとだしな!」
紫雲「確かにそうか…」
みどり「銀ちゃんよろしく~」
桃華「お待ちください!」
気の抜けたムードから一遍。視線は桃華に集まる
桃華「皆様…一つ、提案があるのですが…」
ことみ「…どうしたの?」
桃華「あの、巨大生物の討伐、ワタシにやらせてもらえませんか?」
銀河「桃華ちゃんがか?」
桃華「はい。…実は、紫雲社様との共同開発で搭乗式巨大人型兵器を開発していたのです。 それを使えば、討伐可能かと思います。」
紫雲「! あー、あれか!」
銀河「なんだ、そんなもん作ってたのか?」
紫雲「まぁね!ヒーローと言えば、最後は巨大ロボで戦うだろ?」
銀河「! もしかして…最初に話してたあの…!?」
黄慈「最初に話してたって…まさか…」
紫雲「そう!バラレンジャーの名前を考えていた時、何気なく話していたあのロボットの話です!」
金一「えぇっ!?あの冗談で話してたやつ!?」
虎羽「本当に、造ったんですか…!?」
紫雲「僕も男の子だからね…たまにはバカやってみたいんだよ…!」
ブラウン「ハハッ…!」
黄慈「すごいな……ふっ、なんだか面白くなってきた…」
ことみ「……ちょっとよく分からないけれど……そのロボットがあるから大丈夫ってことなのね?」
桃華「はい。…さらに、ワタシがそのロボットで出撃するメリットが3つございます。
まず一つ。この状況を利用して性能試験を行えるという点です。…軍事施設でもない紫雲社で大規模な性能実験は行えませんから…」
紫雲「確かに。こんなにいい実験の機会を逃すわけにはいかないね」
桃華「…二つ目は、ワタシの存在を公にできることです。そして三つ目はワタシと、紫雲社の技術力を証明できることです。
ワタシの存在が世間に知られれば、今後ワタシのようなロボットの存在が受け入れやすくなり、未来の繁栄へと繋がります。さらに、高い技術力が公になることでヒーローギアの説明にも説得力が生まれます。」
麗「なるほど!」
桃華「そして…この映像が中継されているということは、世界が注目しているということです。他の軍隊が集結する前に倒すことが出来れば、世界に紫雲社とワタシの技術力を証明することができます」
紫雲「…となれば、人類の技術発展も促されるだろうね」
桃華「はい。その通りでございます。…いかがでしょうか…?」
ことみ「………………」
ことみはテレビに映る、巨大生物を見た。
そして次に桃華の目。
ことみ「…勝算はあるのね?」
桃華「…はい」
ことみ「…すぅ………では……桃華ちゃんに、命令するわ!」
桃華「!!」
ことみ「圧倒的な技術力を見せつけて、あれを倒すのよ!…そして、必ず生きて帰ってくること!!」
桃華「…はい!」
「「おぉ!!」」
ことみ「…今から、あの未確認巨大生物を「クラーケン」、11個目のクラウンを「ダアト」として作戦を開始するわ。本作戦の目的は「クラーケン」の討伐、「ダアト」の破壊よ!ついでに、桃華ちゃんの技術力を世界に自慢すること!いいわね!?」
桃華「はい!」
ことみ「じゃあ、桃華ちゃんはすぐに出撃準備を!そしてバラレンジャー最速組の紫雲くん、銀河くん、みどりちゃんは万が一に備えて桃華ちゃんの援護を!」
紫雲「はい!」 銀河「うっす!!」 みどり「えーっ!あたしもー!?」
ことみ「こら、そこ!文句言わない!いっぱいお寿司、食べていいから!」
みどり「ぶー……まー、お寿司のためだし…頑張るか~」
藍「頑張りなさい、みどり」
みどり「くっ…!」
雪「ことみさん、司令官としての板がついてきましたね!」
ことみ「そ、そう? よ~し、張り切っちゃうわよ~!」
朱祢「…これが終わったら司令官としての役割なんて必要なくなるかもだけどね」
紫雲「…じゃあ桃華ちゃん、ラボまで行こうか!」
桃華「はい!…出発の前にスクランブル要請を入れておきますね」
ピピピッ
*
ガコンッ!
地下のラボが起動し、格納庫が中の戦闘機ごと上昇する
「スクランブル要請を受諾。システム起動。係員は速やかに出撃準備を行ってください。繰り返します…係員は速やかに出撃準備を行ってください…」
*
桃華「ことみ様、そちらのパソコンに回線を繋ぎましたので出撃のサポートをお願いいたします」
ことみ「えぇ、分かったわ」
桃華「では、行って参ります」
ことみ「えぇ…頑張ってね!」
みどり「いってらっしゃ~い」
シュバッ…!バチィッ!!!!
紫雲に抱きかかえられ、移動する桃華
それを見送る銀河
銀河「…………なんか……ハチャメチャだけど……おれ達、ちゃんとヒーローやってますよね…」
ことみ「え?どうしたの、急に?」
銀河「いや……最初は何もかもバラバラで…セオリーなんて無視で…ヒーローらしくななんてなかったけど…。今はこうして、皆で力を合わせて…世界を救って…ロボットに乗って敵を倒そうとしてる………」
銀河はニカッと笑ってみせる
銀河「おれ、嬉しいです! 憧れのヒーローに近づけたみたいで!」
ことみ「……そうね……皆で力を合わせたおかげね…!」
銀河「はい!」
ことみ「……さぁ!最後の大仕事を片付けるわよ! 皆も、桃華ちゃんの活躍を見守りましょう!」
「おう!」「はい!」「はーい」




