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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第二十八話「家族にもいろいろあるよね…」

第二十八話 「家族にもいろいろあるよね…」

(主人公 ホワイト3)


バラレンジャーの「ホワイトローズ」となって活動してしばらく経ったある日のこと、雪ちゃんに相談をされました。その内容はブラウン君に楽しい思いをしてもらいたいから楽しい所に連れて行きたいとのことでした。


雪「どこかいい場所はないでしょうか…?」

黄慈「そうだな…二人っきりになれる場所がいいのかな?」

雪「あっ、いえ、できれば黄慈さんも一緒についてきてもらえませんか…?」


 ブラウン君は大人しい子で感情もあまり表に出さないタイプだと思うけど、それでも分かるくらいには雪ちゃんに心を許しているように見えた。特に、一緒に食事をしたり、服を買いに行ってからはブラウン君の表情は目に見えて柔らかくなっていた。

 雪ちゃんがブラウン君のことをよく気にかけ、ブラウン君もそれによって良い変化をしていた。誰が見てもお似合いだったし、バラレンジャーの皆は陰でそれを応援していた。端から見ても微笑ましいやりとりでね、ついつい応援したくなってしまうのも分かるよ。二人とも純情で可愛らしいからね(笑)。

 そこで、ぼくは二人の距離をもっと縮めるために

黄慈「ぼくもかい!?それは構わないけれど…本当にいいの?きっと雪ちゃんが誘えばデートしてくれると思うよ?」

 と、それとなく二人でデートするように伝えてみた。まぁ、「デート」という言葉で顔を真っ赤にする雪ちゃんを見たいという理由もないとは言い切れないんだけど(笑)


雪「えっ!?で、で、デ、デートだなんて…!ち、違いますっ!私は皆で仲良くなれればいいなって思って…」


 想像通りの反応だ…。真奈はあまり恥ずかしがらなかったからここまで露骨に反応してくれるとからかいがいがある…。駄目だね。おっさんになると子どもにちょっかいを出したくて仕方がなくなってしまう…。みどりちゃんがよくからかっている理由が分かるよ。

こんなおっさんでも嫌われていないのは雪ちゃんの優しさのおかげだよなぁ…気を付けないと。


黄慈「ははは…ごめんごめん。まぁぼくもブラウン君とはゆっくり話してみたいし、三人で更に仲良くなれたら良いね!」

雪「はいっ!…それで、どこに行きましょうか…?」

黄慈「そうだね…それならベタだけど水族館なんてどうだろう?この時期なら丁度いい清涼感を味わえるだろうし、ブラウン君が魚に興味を示すのか気になるしね。」

雪「水族館…!!いいですね!そこにしましょうっ!」

黄慈「よし、分かった。当日はぼくが車で迎えに行くよ。日にちは三人が休みの日ならいつでもいいから、誘うのは、頼んだよ」

雪「あっえっ…はいっ!」


 後で、ことみちゃんから聞いた話だけど、「青春してた!」そうだ。ぼくも見たかったなぁ(笑)。きっと恥ずかしがる雪ちゃんを優しく見守りながら、ブラウン君は無愛想な言い方で承諾したんだろうな…。やっぱり面白いな。見たかったなぁ~(笑)。


*


 そして、お出かけ当日。車の中で雑談をしながら移動し、水族館へとやってきた。三人で並んで歩く時はなるべくぼくが真ん中にならないようにした。

 雪ちゃんが「この魚、かわいいですねっ!」って言うとブラウン君が「…うん。」て答える。雪ちゃんが「おっきい魚ですね…!」って言うとブラウン君が「…うん。」て答える。もうほとんどそんなやりとりばかりだったけど、二人とも楽しんでいるみたいでよかった。ホッコリ。


 するとブラウン君が足を止めた。

ブラウン「…………」

黄慈「イルカが気になるかい?」

ブラウン「イルカ…かわからないが、こっちから何か聞こえる…」

雪「これからイルカショーが始まるみたいですし、行ってみませんかっ!」


 三人でイルカショー、アザラシショーを楽しんだ。眩しい日差しが反射して、キラキラと光るプールには気持ちよさそうに泳ぐイルカがいた。水しぶきを上げて飛び跳ねるイルカたちはショーを見に来ていた人たちを笑顔にさせた。アザラシショーでは愛嬌たっぷりのアザラシたちが色んな芸を見せ、心を癒してくれた。


*


雪「楽しかったですね!!」

黄慈「うん!水族館なんて久しぶりだったけど楽しかったよ!ブラウン君はどうだった?」

ブラウン「楽しかったです。…また来たい…」

雪「…!!また、皆で来ましょうねっ!」

ブラウン「…!!あ、ああ…」

黄慈(あ~!!雪ちゃんのあんな眩しい笑顔を見せられたら落ちない男はいないだろうな…。もう付き合っちゃえばいいのに!)


 いろいろ、面白いものが見れて本当に良かったよ。大満足だった。そのあとご飯を食べてから、近くの海に行き、海岸を散歩した。

 話がしたかったからね。実は雪ちゃんはとても気になることを言っていた。それは、『家族』のことだった。


*


雪「ブラウンさん…お家に帰っても一人みたいで…。私も…小さい時から家で一人なことが多くて…だからっ、ブラウンさんの悲しい気持ちがよく分かるんですっ…!私はたまに家族に会えますけど…ブラウンさんは……。私なんかよりもずっと寂しいと思います。だからっ…!バラレンジャーの皆さんと一緒にいろんな所に行ったりして仲良くなれればいいなって思って…」


*


 雪ちゃんはブラウン君のことを気にしていた。ブラウン君のことも気になるが、雪ちゃんのことも気になった。家で一人なことが多い…。雪ちゃんに「きょうだい」はいない。どんな理由であれ、一人娘をほったらかしにする家が普通の家だとは思えなかった。それに…もう7月だ。長袖では熱くなってくる時期なのに雪ちゃんはいつも肌が隠れるような服しか着ていない。

 大人としても…二人は放っておけないね。


 ぼくはまず、自分のことを話した。両親とはそれほど仲が良くないこと、妻がもうこの世にいないこと、これからも一人で生きていくであろうと考えていることなどを話した。


雪「……奥さん…亡くなっていたんですね…」

ブラウン「……………」

黄慈「うん…もう10年以上前になるけどね。……ぼくは両親のことあまり好きじゃないけど、雪ちゃんはどう?」

雪「えっ……私は……………」

黄慈(答えに困るのか……確実なのは仲良しではないということだな。)

黄慈「ブラウン君はどう?」

ブラウン「…オレは…家族のこと…大好きですよ…。」

黄慈「!そうだったんだ…。驚いたよ。ブラウン君の家族も…亡くなってしまったのかな?」

ブラウン「………いえ……生きては…います…」

黄慈「…会いに行かない理由を聞いてもいいかい?」

ブラウン「……オレは……家族のことが好きだから……だからこそ…今の自分を見せることができない…。詳しくは言えないが…オレが正義を貫く限り……いや…オレの考えを貫くと決めた時から…オレにはもう会う資格がないんです。」

黄慈「そうか……。」


 波の音だけが響いた。


黄慈「ぼくは…もし、妻が生きていたとしたらどんな考えだったとしても会いたいけどね。」

ブラウン「…!」

黄慈「それを受け止めるかどうかは、話を聞いてみなければ分からないし…家族なら、受け入れるのが当然なんじゃないのかなぁ…。ブラウン君には、誰にも言えない秘密があるのかもしれないけど、今日、ぼくと雪ちゃんと過ごしていた君も君だ。その人を創る全てが善じゃないのが人間だ。だから…君を創っている一部である『家族に会いたい』という気持ちを信じてみてもいいんじゃないかな…」

ブラウン「……………はい。」


 長い沈黙のあと、ブラウン君は頷いてくれた。


黄慈「…さて!そろそろ帰ろうか。綺麗な海も見られたし!そうだ、帰りにアイスを買って帰ろうか!」

雪「…いいですねっ!アイス!行きましょうか!ブラウンさんっ!」

ブラウン「ああ。」


*


 帰りの車の中はとても静かだった。ブラウン君はもともとあまり喋らない方だが、雪ちゃんは何か考え込んでいる様子だった。


雪「……………あの……黄慈さんは…家族だったら…分かり合えると思いますか…?」

黄慈「……難しい質問だね。そうだな……その人たちの気持ちによると思うな。ぼくはあまり両親と仲が良くないと言ったけど…互いに丁度いい距離感を取っているだけなんだ。だから、お互いにこれ以上仲良くなろうとか、もっと関わろうとか思っていない。だから仲が良くないという言い方をしたんだけど…。それが…どちらかが歩み寄ろうとしている場合ならまた変わると思うんだ。どこまで変わるかは分からないけれど、変わろうとしているなら、何かしらを変えられると思うよ。」

雪「……そうですよね…」

黄慈「ブラウン君はどう思う?」

ブラウン「…どうだろうな……。変わらない人間もたくさんいる…。いくら家族であっても、変わらないことだってある…と思う…ます。」

黄慈「…だって!…ぼくもブラウン君も雪ちゃんも、それぞれ考え方は違うと思うけどどれが正しいっていうわけではないから。雪ちゃんもブラウン君も、自分が信じられる道を選びなさい。」

雪「はい…」

黄慈「ところで、二人とも好きな曲とかある?せっかくのドライブなんだから楽しもう!ちなみにぼくはクラシックが好きでね…チャイコフスキーって知ってるかい?」


*


 二人とも、いろいろと考えているんだろうね…。家庭に問題がある子供はとても大変だろう…。普通の人よりも大変で、いろんなことを考えなければいけない。時には死にたくなってしまうほど追い込まれてしまうかもしれない。でも、その経験は絶対に自分を強くするから…。二人には頑張ってほしいな。

 そして、ぼくも二人と話して思ったことがあった。雪ちゃんやブラウン君…ううん、バラレンジャーの皆といろいろ話してみて思った。『ぼくの居場所はここだ』ってね。バラレンジャーであることももちろん心地いい居場所だ。でも、そうじゃなくて…なんていうか、年下に頼られている状況っていうのかな…。未来ある若者の歩みを陰で見守りながら、時には助言をするようなこの居場所が…ぼくにはとても合っていると思ったんだ。


 こういう居場所が…その世界が…ぼくだけに見える『世界』なのかもね…。




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