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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第二十話「後悔」

第二十話 「後悔」

(主人公 イエロー4)


バラレンジャーとして活動を続け、半年以上が経過した頃。

朱祢は未だに自分の正義に自信を持てなかった。

事実から目を背けていた。


「自分は何のために戦うのか?」


「満たされぬ心のままで戦い続けられるのか?」


その答えを得るきっかけは突然やってきた。

ブラウンローズの銀河は話した。一週間後に世界中の「謎の飛行物体」が爆発する。近くの住人の避難を手伝ってほしいと。

バラレンジャーは当然困惑した。ずっと行動を共にしてきたバラレンジャー同士でさえ信じられないというのに、他人である住人が「はいそうですか」と言って家や環境を捨ててまで避難するとは思えない。かと言って爆発の前に壊すことも難しい。宇宙から来られるほどの物体だからか、そうとう頑丈に作られている。それに物質だけではない他の力もある。主要都市の真上にある物を下に被害を出すことなく壊すことは不可能に近い。

銀河は必死にバラレンジャーの皆を説得したが、爆発の理由が「未来を救うため」だったため、全員が銀河の意見には賛同しなかった。

朱祢は悩み続けた。僅かな可能性を信じて多くの人を救うのか、未来の繁栄のために多くの人を犠牲にするのか…。どちらが正しいのか、考えた。


*


爆発の時間まであと数日。

悩みながらも敵を撃つ。

今日も死傷者0で敵を倒すことができた。

朱祢(もし…爆発したら、この人たちは死んでしまう…。なら、私が護っている意味なんて……)

遠い目をして、目の前に広がる景色をぼんやり見ていた。

??「…ちゃん……ねぇちゃん!……おねぇちゃん!」

朱祢「はっ…!」

我に返ると女の子とその母親らしき人物が立っていた。

女の子「たすけてくれて、ありがとう!」

母親「この子、どうしてもお礼が言いたいって…。私からもお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。」

朱祢「あっ…いや……私は……」

ピピピッ! 別の場所で敵が出現したと連絡が入った。

朱祢「私、行かなきゃ…」

女の子「じゃあね!おねえちゃん!」

お辞儀をして見送る母親を背に出現ポイントへ向かう。


*


朱祢(ことみ以外の人にお礼を言われるなんて…………いつもは敵を倒したらすぐに帰還していたから?……もしかしたら聞こうとしていなかっただけなのかな………見ていなかっただけだったのかな……)

シュタッ! バッ!

ブラウン「こっちはもう終わりましたよ。」

朱祢「……そうみたいね…」


写真撮影と報告の連絡を入れ、帰ろうとしていたブラウンに尋ねる。


朱祢「ねぇ、あなたはなんのためにヒーローをやっているの?」

ブラウン「……オレは悪を許せないから…悪を滅ぼすためにヒーローになった。」

鋭い目つきで真っすぐと朱祢を見つめるブラウン。

朱祢「あなたはそれで満足しているの…?」

ブラウン「…している」

朱祢「……じゃあ時々悲しそうにしているのは何故?あなたも…本当は…嫌なことがあるんじゃないの?」

ブラウン「……………」

朱祢「……ごめんなさい。変なこと聞いて…。でも…私と同じ目をしていると思ったから…」

ブラウン「………悲しそう、か…。嫌なことなんて山ほどあった。消えない過去がオレを苦しめることも何度もあった。でも…オレは負けない…!絶対に負けないと誓ったんだ。 それにな…オレとあんたは違う。オレは、自分の選択に後悔なんてしちゃいない…!」

朱祢「…!!!」

ブラウンは去っていった。

同類だと思っていたブラウンの言葉は朱祢の心に深く突き刺さった。そして、同類なんかではなかったと、大きなショックを受けた。


朱祢(私は後悔していたんだ……ずっと……)


*


爆発の当日。住人を避難させることはできなかった。どの国もまともに取り合ってくれず、避難する者はいなかった。結局、力で脅して無理矢理避難させつつ、被害が最小限になるように破壊することとなった。

そうなっていたのだったが……


*


朱祢「…どうしてあなたがここにいるのかしら?」

虎羽「…それがボクの正義だからだ!」



雪「どうして……」

紫雲「ごめん雪ちゃん…でも…それでも俺は未来を護る!」



金一「…できれば戦いたくないんだけど…」

藍「なら、去りなさい。わたくしはそれでも構いませんわよ。」



銀河「俺は本気だぞ?」

桃華「申し訳ありません。ワタシにとってシミュレーションとは現実と同じなのです…どれだけ思考を繰り返しても0を1にすることはできないのです…」


多くの人を護るために破壊を試みる朱祢、雪、金一、銀河の前に

未来のために爆発まで護ろうとする虎羽、紫雲、藍、桃華が立ちふさがる。


*


朱祢「…あなたはどうして戦うの…?」

虎羽「…正しいことを為すためだ。最後に問う。あなたも力を持った者だ。大いなる力には正しいことをする責任が伴う。あなたにとって正しいこととはなんだ?」

朱祢「……私にはわからない…何が正しいのかなんてわからない…!……でも、もう後悔だけはしたくない!力があるのに、黙って見ていることなんてしたくない!」

虎羽「自己中心的な考えだ…大義のために戦えない弱者と話すことはない!いくぞ…!!」


炎を纏った拳を構える虎羽。それを見て朱祢もスリングショットを構える。

真っすぐ向かってくる虎羽に鉄球を打ち込む。が、両手で防がれ、溶かされた。

次弾を構える前に間合いに入られる。屋上の床を破壊するほどの踏み込みから放たれるアッパーを受ける。

爆炎と共に飛行物体の方へと吹き飛ばされる。しかし、朱祢に傷はない。パンチを喰らう直前にオーラで防御していた。

そのオーラから守護霊の姿になったタロと弓矢が出る。

吹き飛ばされながら体勢を整え、弓矢を放つ。

ズドォオン!!

ビルの破片が地上へと降り注ぐ。爆炎とオーラのぶつかり合いにより、人々は一斉に非難を始めた。

朱祢は飛行物体にワイヤーを打ち込み、壁についた状態で虎羽を狙う。

虎羽(…?撃たない……そうか…)

だが、地上に撃ち込むことに抵抗があると見抜いた虎羽は地上を高速で移動しながら真下まで近づいてきた。

ドン、ドン、ドン!

朱祢は真下で止まった一瞬を見計らい、矢を放つ。

ボアアアアアア……!!

虎羽「この程度の威力なら空気だけで弾き飛ばせる!」 朱祢「くっ…!」(やっぱり威力を上げないと…でも…)

空気の膨張による爆発で朱祢の所に飛んでくる虎羽。

飛行物体の壁を蹴り、回避する朱祢。

朱祢(このまま戦ったら被害が……やるしか…ない!)

飛び退きながらスリングショットを連射する。

ピュン、ピュン、ピュン!!

虎羽「!?…どこを狙って…っが!!」

空気の壁、飛行物体の壁に当たった跳弾が虎羽に当たる。

虎羽「こざかしい!!」

ゴォオオオ!!!!! 

全身に炎を身に纏う。

朱祢(やっぱりさらに上が…威力を上げてもこの弾だと熱風に吹き飛ばされるか、溶かされてしまう…!…やるしか…ないんだ…!)

空気を蹴り、スリングショットで牽制しながら飛行物体のさらに上空へと上がる。

それに対し、虎羽は爆風で蹴り上がる。

朱祢(あれを間合いに入れれば終わり…) ドンドンドン!!

オーラを纏った矢を三連射

だが、苛烈な拳捌きで防がれる。

虎羽「んなっ!!」

オーラの死角に隠れていたタロが襲い掛かる。タロに突き飛ばされるが、すぐさま器用に体を捻りつつ、炎の放出を推進力にしてタロに殴りかかる。

ブワァ!!

タロの手ごたえはなかった。オーラとともに消える。

朱祢「あなたがここまで動けるとは思わなかったわ。でも、空中での動きは特に苦手なようね!」

虎羽「はっ!下か!!」

虎羽の真下には飛行物体、そしてその真下に朱祢がいた。

ジジジ… 弓に溜まったエネルギーだけで地形が変わりそうであった。

ググググ…!! 限界まで引き絞られた弓が唸る。

朱祢「この一撃で決める!」

朱祢の手から離れた瞬間、矢は空を貫き、時空を歪めながら真上に打ち上げられた。

亜光速で飛来する矢に成す術のない飛行物体と虎羽は跡形もなく消し飛んだ。

宇宙にまで届くほどの一撃は周りの景色を変えてしまった。矢の軌道から直径数百メートルの物体は消し飛んだ。爆発するよりは何倍も被害を抑えることができた。

しかし、朱祢の手で殺めてしまった命もある。喜ぶことなどできなかった。


ボォオオオ……!!

虎羽「強いな…ボクの負けだ…」

朱祢「!!!!どうして…!?」

虎羽「ボクは炎を発生させた場所へと瞬間移動できる。周りを巻き込むから使うことはなかったが、ここまで何もない場所ならためらう理由なんてないしな…」

朱祢「くっ…!」

虎羽「やめろ。もう完全にボクの間合いだ。…あれを護れなかったボクは勝負に負けたも同然だ。だが、目的が果たせなくなったわけじゃない。『結果』さえ同じになれば未来を守ることができるはずだ…」

朱祢「…やめて……それだけは……」

ゴォォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!

虎羽の周りの温度は急激に上昇していく。火柱がどこまでも上へと伸びている。

虎羽「あなたはバラレンジャーの一員だ。最後に忠告だけはしておく。…すぐに逃げろ」

朱祢「やめてぇ!!」

虎羽「ハァァアアアアア!!!!」

猛炎が辺りを包んだ…


虎羽「……この犠牲が未来のためになるんだ……」

真っ黒な炭の世界…

その中心で呟いた。

焼け跡の中、ボロボロで力なく座り込んでいる朱祢

朱祢「……こんなの間違ってるよ……こんなのが正義なわけないよ!」

虎羽「…お前は弱い。全てを救うことなど不可能だ。犠牲を払う覚悟も持てない弱者に世界は変えられない!犠牲を無駄にしない強者だけが世界を変える力を持つんだ!!…ボクは世界を変える…よりよい未来のために、正義の炎を燃やし続ける!」


そう言い残し、虎羽は去った。


朱祢は女の子のことを思い出した。

『たすけてくれて、ありがとう!』

朱祢(あの子も死んじゃったのかな……私は…私は…何も…まもれなかった……)

朱祢の頬に水がつたう。 

ポツ…ポツ…と雨が降り出す。

朱祢(何が正解だったの…?何が悪いの…?後悔したくないと思って選択した結果がこれなの…?……わからない……わからないわからない…わっかんない!……もう………わからないよ……)

朱祢「うわぁああああああ!!!!あああああーー!!!」

朱祢は雨の中、声を上げて泣き続けた。


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