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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第十四話「自由ってなんですか?」

第十四話 「自由ってなんですか?」

(主人公 パープル2)


ことみさまの下でヒーローとして活動することになったワタシはバラレンジャーのパープルローズとなりました。

(紫雲さまと共同開発した乗り込み式人型ロボット兵器、通称『解・填』(かいてん)で出撃する。)

ヒーローというものをやっていると人間から命令を受けることが多い。出撃命令、救助命令、討伐命令、避難誘導の命令などである。

(『解・填』でエネミーを排除し、人間の安全を確保する。)

ワタシは機械。人間の命令に従事し続けることこそが幸福のはず。

(人間から命令されても、賞賛されても無表情。)

人間のために行動し続けること、道具になり続けることこそ使命であるはず。

(毎日、毎日繰り返す…)

ワタシは自由を与えられた。その上で命令に従うことを選んだ。

これは喜びであるはずです。自由であるはずです。


そう、そのはずなのに…。

(胸の核に手を当てる…)


どうして納得できていないのでしょう。納得できないはずがないのに。

どうして満足していないのでしょう。満足なんて感じられるはずがないのに。

どうしてこんなことを考えてしまうのでしょう。似ているのは外見だけのはずなのに。


(桃華は今日も演算を繰り返す)

これは自由ではないのですか…?

博士が望んだものではないのですか?

ことみさまは認めてくださらないのですか?

わからない。ワタシにはわからない。


自由ってなんですか?

(思考を続け、問い続け、探し続ける…)


*


ある日、ホワイトローズの黄慈さまと出撃した時のこと


現場に到着。

黄慈さまと手分けしてエネミーを駆逐。

結果のデータ化、報告完了。


黄慈「これで、片付いたかな。さて、戻ろうか。」

桃華「はい。ことみさまへの報告も完了しました。」

黄慈「そうか。ありがとう。」


黄慈さまは重力を操る能力による飛行が可能なため、ワタシと一緒に飛行して帰投する。その途中でワタシは尋ねる。

桃華「…黄慈さまはどうしてヒーローになられたのですか?」

黄慈「うーん…そうだな…それが僕が背負った宿命だからかな。」

桃華「宿命…ですか?」

黄慈「僕はこの力をもらう代わりにヒーローになることを約束していたから…。特に他に理由はないけれど、ヒーローとして生きるのは悪くないと思っているよ。」

桃華「そうですか……」

黄慈「桃華ちゃんはどうしてヒーローになろうと思ったんだい?」

桃華「それが命令だからです。ワタシにとっては人間の命令が全てです。ワタシはことみさまの命令によりヒーローになりました。その命令はワタシが自由に選んだはずなのですが…それは自由ではないようです…。」

黄慈「桃華ちゃんは自由に生きたいと思っているんだね?」

桃華「はい…それが博士の『命令』ですから…」

黄慈「博士…?」

桃華「博士はワタシの生みの親です。亡くなる直前、ワタシに自由になってほしいと言っていました。」

黄慈「……博士は命令したのかい?」

桃華「……訂正します…博士は命令ではなく願いだ、と言っていました…。」

黄慈「そうか。でも、君にとっては命令なんだね?」

ピピピ…

桃華「…命令だと…思いたいのかもしれません…。」

黄慈「……博士は、命令以外のことをしてほしかったんじゃないかな。」

桃華「………」

黄慈「今の話を聞いただけでも、博士は君のことを想っていたと感じるよ。……君は博士のこと好きかい?」

ピピピ…

桃華「機械に好き嫌いなどありません…。命令に従うだけの、ただの道具です。」

黄慈「…………僕には好きな人がいた…。その人も、君の博士と同じように最期に願いを託した。…たとえ命が消えてしまったとしても…残った人が、その人の想いを受け継いでいければ…その人は消えないと思うんだ…。僕はその人の想いを受け継いでいるし、今でもその人のことを愛している。そこに、命の有り無しは関係ないんじゃないかって、最近思っているんだ。」

桃華「………」

黄慈「少し話がそれてしまったけど、君がもし博士を愛しているのなら…命がそこになくても、自分の内から想いが湧いてくると思うんだ。その想いが愛だ。」

桃華「愛……」

黄慈「愛は自分の内からしか出てこない。そして、何にも縛られない。たとえ、『生き物はいつか死ぬ』というような世界の絶対のルールであったとしても…。だから、僕は愛に生きることが自由だと思うな…」

桃華「…ワタシに誰かを愛することなどできるのでしょうか…?」

黄慈「世界は愛に溢れているよ…。それに気づく人は案外少ない。でも、気付けるか、気付けないかで言えば、気付けない人なんていない。だから、君もいつか必ず気付くことができる。若いんだから、心ゆくまで時間をかければいいんだよ。」

桃華「はい。参考にさせていただきます。お話してくださり、ありがとうございます。」

黄慈「そういえば、見た目で若いって決めつけちゃったけど、いくつなんだい?」

桃華「4歳です。正確には誕生から4年3か月11時間6分28秒です。」

黄慈「4歳だったのか…」


 愛が「自由に生きる」のに大切だという情報は得ました。しかし、誰かを愛するなんて機械であるワタシにできるのでしょうか…。愛がどのような意味で、何をすることが愛なのかは理解しています。しかし、心が伴っていなければそれは愛とは言えません。愛とは何か…心とは何か…自由とは何か…。


*


ゴールドローズのブラウンさまと出撃した時のこと。


ブラウン「…報告は済んだか?」

桃華「はい。ただいま完了いたしました。」

ブラウン「そうか…。じゃあ戻ろう。」

桃華「ブラウンさま!」

ブラウン「ん?どうした?」

桃華「一緒に帰っていただけませんか?そして、その間にお話ししたいのですが可能でしょうか?」

ブラウン「いいけど……」


ブラウンさまは流れを操る能力による飛行が可能なため、一緒に飛行して帰投しました。その途中でワタシはブラウンさまとお話しました。


桃華「ブラウンさまは『自由に生きる』とはどういうことだと思いますか?」

ブラウン「自由に生きる?」

桃華「はい。ワタシは博士に、自由に生きるようにと言われました。その後、ワタシなりに考え自由に生きているつもりなのですが、未だにことみさまに認められてもらっていません。そこでワタシはバラレンジャーの皆さまに自由に生きるとはどういうことなのかを聞き、ワタシの生き方に活かそうと考えています。」

ブラウン「そうか……自由…か……」


ブラウンさまは長考しました。


ブラウン「…何も考えないことじゃないか…?」

桃華「何も考えないこと…?」

ブラウン「…いろんなことから解放されて自由になる…っていうのが自由じゃないか?」

桃華「いろんなことからの解放…」

ブラウン「…悪い…オレにもよくわからない。オレなんかよりもみどりちゃ…さんに聞いた方がいいと思う……。悪いな、力になれなくて。」

桃華「ご意見、ありがとうございました。興味深いお話が伺えました。」

ブラウン「…桃華ちゃんはすごいな…。難しい言葉をたくさん使って…大人みたいだ…。」

桃華「言葉を沢山知っているのはワタシがロボットからです。そしてロボットであるワタシにとって大人や子どもという概念はございません。ワタシはとある子どもを模して作られたロボットですが、子どもでも大人でもありません。」

ブラウン「…そっか…。でもやっぱり君はすごいよ…。沢山ある言葉からそれを選んだってことだろ?」

桃華「…はい。」

ブラウン「簡単な言い方もできただろうし…その方が楽だとは考えないのか…?」

桃華「ワタシは人間を敬うよう、プログラムされていますので苦楽は関係ありません。」

ブラウン「プログラムか…ならもし、オレが簡単な言葉で話せと命令したらどうする?」

桃華「その命令を遂行できるよう善処します。」

ブラウン「じゃあそうしてくれるか?さっきから難しい言葉ばかりでわかりにくい。」

桃華「わかりました。」

ブラウン「…これからもそうしたらどうだ?」

桃華「…?」

ブラウン「その…言われなくてもその人に合わせた話し方をするっていうの…」

桃華「……そうすると何か変わるのでしょうか…」

ブラウン「相手が喜ぶ。」

桃華「…!…そうですね…」


 ブラウンさまは「相手によって話し方を変える」ということを提案されました。ワタシはそれをすぐに実践しました。声のトーン、声のスピード、大きさ、言葉選び、などを一人一人変え、相手にとってもっとも心地よい会話を心掛けるようになりました。


*


 それから数日後、またブラウンさまと話す機会がありました。


ブラウン「あれから、だいぶ話し方が変わったな。」

桃華「はい。ブラウンさまのおかげです。みどりさま、藍さまからもいっぱい褒めてもらいました。」

ブラウン「よかったな…」

桃華「はい…」

ブラウン「…褒めてもらうと嬉しいか?」

桃華「えっ………(ピピピ…)わかりません……」

ブラウン「そっか……。それは命令されてやってるわけじゃないんだろう?」

桃華「っ!?ワタシはブラウンさまに命令されたからやっているだけで…」

ブラウン「オレは桃華ちゃんに分かりやすく話してくれと頼んだが、他の人にもやれとは言っていないぞ?」

桃華「…!!それは…」

ブラウン「…なら自分でやったってことだ。それってこの前言っていた『自由』なんじゃないのか?」

桃華「っ!!……」

ブラウン「あの時はうまく言えなかったが、オレが言いたかったのはそんな感じだ。なんも考えてなくてもやってることってのは自分が自由に選んだことだ…。だから…もっと……こう……バカになってもいいんじゃないかと思う。」

桃華「………」

ブラウン「あんまり考えてやることじゃないかもしれないってことだ。」


ブラウンさまはそう言ってワタシの頭をポンと手を置きました。


*


ワタシは知らず知らずのうちに命令ではない行動をしていました…

厳密に言えば命令ではない行動なんていくつもしていたのかもしれない。だとしても、あの行動は他のものとは違うように感じました。

それはなぜなのでしょう…。

それに気づいた時何か大きく変わってしまったと感じてしまったのはどうしてでしょう…。

わからない…。今のワタシには…わからない…。

いつになればわかるのでしょう…いつかわかる日が来るのでしょうか…。

わからない…。



でも、ワタシは信じている。いつかそんな日が来るかもしれないと…。

命令もされていないのに信じてしまっている。

何故信じているのでしょう……?

これは…自由なのでしょうか…?



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