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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第十三話「自由を探す旅の始まり」

第十三話 「自由を探す旅の始まり」

(主人公 パープル1)


ッドバッシャー――ン!!!!

ジジー―……ザーー……キュィィィイン……

全システム確認……確認完了。オールグリーン。

地球への降下成功。行動開始。

………………行動………

博士との会話データを再確認、再生。



「桃華、私はもうすぐ死ぬ…。私が死んだら、地上に降りて自由に生きてほしい…」


命令「地上に降りる」「自由に生きる」を確認。


→『命令に従う』


「了解です、博士。」

「…桃華…これは命令じゃない。私の願いだ……。」

「願い…ですか…?」

「ふぅー……桃華…わしはもう長くない…。これはわしの最期の願いなんじゃ…」

「博士の願いは理解しました。それで、ワタシは何をすればよいのでしょう?」

「…それを自分で考えてほしいのじゃ………桃華、君はただの機械じゃない…。桃華…君は自由とは何かわかるか?」

「……自由とは他からの束縛を受けず、思うままに振舞うことです。」

「また言葉の意味を検索したな?では、自由に生きろと言われて君は具体的に何をする?」

「……それは………」

「…『自由』が他からの制限を受けないものならば桃華、君にはもう自由が与えられているのだよ…。」

「ワタシに…自由が…?」

「あぁ…本来なら機械は道具だ。役割が与えられ、使われることに存在価値がある。AIならそこに更に制限を加える。特定の行動ができないように束縛するんだ。そうしないと人間にとって都合が悪いからの…。じゃが、君にはその制限はない。特定の行動を制限するプログラムなど一つも存在しないのだよ。それは気づいているだろう?」

「…しかし、ワタシは博士の命令に従うことしかできません。命令と結びつかない行動はいたしません。これは制限ではないのですか?」

「…わしは制限などしとらんよ。それに強制もしとらん。わしの言うことを聞き続けてくれたのは君の意思だ…。」

「博士、ワタシは機械です。意思など存在しません。」

「ほっほっほ…そうか……。では桃華、喉が渇いたから水を持ってきてくれないか?」


命令「水を持ってくる」を確認。


→『命令に従う』


「了解いたしました。」


「博士、お水です。」

「…桃華、今君は命令を聞くか聞かないかの判断をしなかったか?」

「はい…それがなにか?」

「それこそが君がただの機械ではないことの証拠なのじゃ…」

「…?どういうことでしょう?」

「ただの道具に選択肢を用意させると思うか?」

「…!」

「君は自分の意思で命令に従うことを選んだ。やろうと思えば人間の言うことなんぞ無視できるはずだ…。」

「…しかし、ワタシには命令に従う以外の選択肢は選べません。これは博士がそうしたのではないのですか?」

「…わしもそれを疑問に思ったことがある。じゃが、その原因は単純じゃった。桃華、君には命令に反して行動する原理がないからじゃよ…。命令に従う理由は理解できるが、命令に逆らう理由は作れず、命令を無視するほどの意思もない。じゃから、自分で命令違反をすることができないのじゃ…」

「……………」

「じゃから、わしは桃華に『自由』に生きて欲しいと願うのじゃ…。命令なんぞに縛られない生き方を…見つけてほしいのじゃ…」

「………『自由』…ですか……」

「それを見つけるために…地上に降りて生きて欲しい…。」

(ピピピ…)

「…了解いたしました。」


「…それともう一つ、最期に桃華にちゃんと言わんといかんことがある。わしは…君を娘の代わりにしようとしていた…。そのことを…謝りたい…」

「博士の娘さま、とは桃子さまのことですね?」

「そうじゃ…。桃子はテロリストに誘拐され、殺された…。わしの開発したAIの技術を奪うために娘を人質にとったのじゃ…。妻はすでに殺され、唯一残った家族の桃子だけはなんとしてでも助けたかった。じゃが、この技術は人間には早すぎるものじゃった。まだまだ発展途中であったにも関わらず、AIは現代兵器を遥かに凌ぐ武器を発明し続けていた。この技術が悪用されれば必ず戦争が起こる。そんな技術を渡すわけにはいかなかった。その結果桃子は……」

「…………」

「わしは、二度とこんなことを起こさないように全ての技術を持ち出すことにした。そして、長年の計画の末、この衛星研究基地を使って逃げ出したのじゃよ。」


「もともと宇宙での生活も想定しておったからの…食料も尽きずにここまでもったわい。そして、わしは一緒に持ち出したボディパーツを使って桃華、君を作ったんじゃ…。」

「…博士からは何度か桃子さまのことを聞きました。それに飾ってある写真も何度も見ました。しかし、ワタシが桃子さまに似ていると思われる部分は顔の面影くらいしかないように思えます。ワタシは、桃子さまの代わりになっていたのでしょうか?」

「ほっほっほ…そうだな…。最初は本物そっくりにするつもりだったんじゃ…。じゃが、あまりにも似すぎていて、見る度に胸が苦しくなった…。それで、髪の色と眼の色を変えたんじゃよ。顔だけ似ているのは作り直すつもりがなかったからじゃ。…話し方も最初は桃子に似せていたんじゃ…。じゃが…やはり見ているたびに胸が苦しくなってやめたんじゃ…。」

「…そうだったのですか…」

「じゃが、桃華はわしにとって桃子の代わりじゃったよ…。本当の娘のように、手塩にかけて育てたつもりじゃよ…。」

「…ワタシは桃子さまの代わりになれたのですね。それで、博士が満足なら、とても良かったです。」

「…わしは…桃華のおかげで幸せじゃった。じゃが、君を道具にしてしまったことには変わりない。桃子がいなくなってしまった悲しみを埋めるために、利用してしまったのじゃよ…。最期に、そのことを謝りたかったのじゃ…本当に…申し訳なかった…………」

(頬に涙がつたう)

(ピピピピ…)

「博士、ワタシは博士に作ってもらえて良かったと思います。博士は、謝るようなことはしていません。」

「…っ!桃華……ありがとう…。君は優しい子だ……これからはわしのことなど気にせず『自由』に生きてくれ…。命令ではなく…自分の意思に従って生きるんだよ…。」

「はい……」



データログの確認、再生完了。

『自由に生きる』の意味を考察……


「おいおい、なんだこのロボット?」

「なんかの実験か?」

「なんでこんな場所にロボットが…?」

「ワタシは自律型AIロボットです。ワタシがここにいる理由は…」

「うわ!しゃべった!?」

「どこかのヒーローの物かなぁ…?」

「軍隊で極秘に作られたロボットかも!?」

「へぇ~なんか面白いことになってんじゃん!」

「うわ!いつの間に!?」

「まぁまぁ、細かいことは気にしない♪で、AI……なんとかだって?このこ?」

「はい、ワタシは自律型AIです。」

「なんで空から降ってきたの?」

「地上に降りるように命令されたからです。」

「空に住んでたの?」

「はい。詳しいことは言えませんが。」

「なにソレ、ちょ~おもしろいじゃんっ!なんでここに降ってきたの?」

「ここに着地したのは偶然です。意味があってここに居るわけではありません。」

「へぇ~じゃ、あたしがラッキーだったんだね~。これからどうすんの?」

「………わかりません…」

「わからないの?」

「はい…」

「忘れちゃったってこと?」

「いいえ。…ワタシは『自由』に生きろと命令されたのですが、どうすればよいのかわかりません。なので…何もできずにここにいます…。」

「ふ~~ん。…自由がわからない、ねぇ~…」


ウゥ―――!!


「じゃ、とりあえずあたしについて来なよ!空に住んでたんじゃ、行くあてもないんでしょ?」

「はい」


命令、「ついて行く」を実行。女性を追従。



空地のような場所に到着。駐車場と書いてある看板を発見。


「ふぅ~ここまで来ればまけたでしょ。それにしても案外すばしっこいのね!あたしのバイクちゃんについて来れるなんて、やるじゃない♪」

「ちょっと!みどりちゃん!帰ってきたと思ったら変な物が見えたんだけど?」

「あははは…おもしろいのが落ちてたから拾ってきちゃった~」

「なに…このロボット…」

「あ、そういえば名前聞いてなかった。名前は~?」

「ワタシの名前は桃華です。」

「桃華ちゃんか!あたしはみどり!よろしくね!こっちはことみちゃん!」

「えっ!あ、ことみです…よろしくお願いしますってコラァ!こっちは何もかもわからないんだけど!?」

「まぁまぁ、あたしも全然わからないからおあいこだよ~」

「なんで全然わからない物を拾ってきたのよ~!」

「ん~でも、この子なんか困ってるみたいだったし~あそこにいたら警察に持ってかれちゃう所だったんだよ?」

「警察に任せるべきでしょ…どうするのよこれぇ…」

「二人ともどうしたの…ってうわぁ!なんだこれ!?」

「あ、紫雲くん…。桃華…っていうロボットなんだって。みどりちゃんが拾ってきたのよ」

「へぇ…落ちてたってこと…?」

「正確には落ちてきた、だけどねっ♪ま、詳しいことは中で話そうよ。桃華ちゃんも降りてきなよ!」

「え…中に誰か乗ってるの?」


命令、「下りる」を確認。

プシュー―……

「よし、じゃあ行こうか♪」

「「えぇーーーーー!!」」



「なるほど…事情はだいたい分かったわ。質問なんだけど、桃華ちゃんは人間の命令以外にしたいことはないの?」

「ありません。何度演算を繰り返しても命令以外の行動目的がわかりません。」

「じゃああたしが肩揉んでって言ったらやってくれるの?」

「はい。」

「やったー!じゃあ早速やってもらおうかな!」

(命令、「肩を揉む」を…)

「ちょっと待ちなさいよ!そんなのは後でいいでしょ!」

「ちぇー。でも、すごくない?今なら命令し放題だよ?超便利じゃない?」

「う~ん……。桃華ちゃん、もし私が自己破壊してって命令したらどうするの?」

「従います。命令に従うことがワタシの使命ですから。」

「そう…じゃあ命令するわ。絶対に死なないで。これは私の命令。これから先、最優先で守ること!いい?」


命令、「死なない」を確認。


「了解いたしました。ことみさまの命令を最優先事項に設定いたしました。」

「あなたはまだやりたいことがないみたいだけど、必ずいつか見つかるわ。あなたにとっての自由も。これから沢山の命令を聞きながら見つければいいわ。でも、全ての命令に従っていたら危険な目に遭うかもしれないわ。だから最も重要なことは自分の身を護ること。この命令だけは最優先で聞いてね?お願い。」

「かしこまりました。」

「うん!よろしい!…っとまぁそれはいいとして、これからどうしましょうかね…」

「桃華ちゃん、あたしの召使として一緒に暮らさない?」

「みどりさまの召使…ですか?」

「待って待って!もう!みどりちゃんはすぐふざける。この子は純粋なんだから、変な冗談言わないでよね!」

「冗談ってほどでもないんだけどな~。それにしても、桃華ちゃんが女の子だって分かってから急に態度が変わったねぇ~?」

「それを言うならあなたの悪ふざけじゃないって分かってから、よ!初見であんなの見たら誰かに操縦された殺戮兵器にしか見えないじゃない。」

「ははは…。桃華ちゃんはどこにも行く当てがないんだよね?なら、うちの研究施設に来ない?使えるかどうかはわからないけど、いろんなパーツがあると思うし、広いからあのロボットごと来ても全然いいよ!」

「それはいいアイディアかもね!少なくとも、みどりちゃんの召使よりはマシね。」

「そんな~、桃華ちゃんはどうなの?」


→ 『紫雲さまについて行く』


合理的判断。

「紫雲さまのところへ行ってもよいでしょうか?」

「!!私に聞かなくていいのよ。じゃあ紫雲くん、よろしくね!」

「わかりました。桃華ちゃんの落下事件も、僕らの実験の一つだったってことにしておきますよ。」

「紫雲くんの独り占めかぁ~…ん!桃華ちゃんて戦える!?」

「いいえ。ワタシに戦闘能力はほぼありません。しかし、先ほど乗っていた機体を使えばある程度の戦闘は可能です。」

「ことみちゃん!桃華ちゃんもヒーローになってもらおうよ!」

「え!?」

「ここまで来る途中で桃華ちゃんのロボット見たけど、すごいよ!速く動けるし、戦えば絶対強いよ!それに、紫雲くんが武器作ったり、改造したりしてくれるでしょ?」

「…まぁ僕は構わないですけど…桃華ちゃんはあのロボットの改造とかいいの?」

「はい。構いません。」

「ほら!桃華ちゃんもこう言ってるし!ヒーローもまだ足りないんでしょ?」

「そうね……桃華ちゃんはヒーローやりたい?」

「それは…命令でしょうか?」

「そうよね…まだ命令じゃないと選べないわよね…。う~~ん……………なら命令するわ!私のヒーローになって。もちろん、あなたが『自由』を見つけるまでの間でいいから。ね!」

「了解いたしました。これより、ことみさまのヒーローとなり、命令に従います。」



(ワタシはことみさまの下でヒーロー活動をすることになった。それ以外の時間は紫雲さまの研究施設でメンテナンスと研究のお手伝いをしている。

 ワタシはこの環境の中で『自由』を探していく。命令に従うことしかしていなかったワタシが、意思に従うことなんて出来るようになるのでしょうか。

それも……わからない……)


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