表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
King Colours  作者: TEAM,IDR
13/60

第十二話「世界を変える光」

第十二話 「世界を変える光」

(主人公 ブラウン2)


 俺たちの世界には「倒すべきモノ」が存在している。数年前、宇宙から飛来した謎の飛行物体は世界の主要都市の真上に対空し始めた。その謎の飛行物体は全部で11。

 その時から地球の生物ではない狂暴な生き物が人間を襲うようになった。その生物がどこから現れるのか、何のために人を襲うのかは未だに明らかになっていない。しかし、あの謎の飛行物体と無関係でないことだけは確かだ。

 謎の飛行物体を破壊するため、狂暴な地球外生命体から人々を護るため、軍事開発は驚くべきスピードで発展していった。そして、日本にも自衛のための「武器」の使用が認められるようになった。その武器を使う者がヒーローと呼ばれるようになったのだ。


「「きゃああああ!」」 「「助けてー!!」」

「ヒーロー来てくれー!」

 街にはどこからともなく奴らがやってくる。

こちらの都合なんて構わずに襲ってくる。

世界中の平和を脅かす。


「世界の平和を護るため、正義の光が駆け抜ける!薔薇薔薇戦隊バラレンジャー!ブラウンローズ参上!!そして、光の速さで討伐完了。もう大丈夫だ!みんな安心してくれ!!」

「うおおおおお!」「ありがとう!バラレンジャー!」


 俺の武器は槍だ。光速の突きで現場到着から1秒かからずに奴らを蹂躙できる。最速の能力を使う、最強の武器を持ったヒーロー。それが俺だ。

だけど、俺は武器を持っているからヒーローなのではない。



ことみ「お疲れ様、銀河くん。評判すごいわよ。名前を決めて活動してからはずっと右肩上がりだし、バラレンジャーの知名度も上がっているわ。このままいけば日本一有名になっちゃうかも!そうなったらどうしよ~今から準備しないとかな~?」

銀河「そりゃあ良かった!奴らを倒すのに時間なんてかからねぇから色々演説してるんだけど、それが宣伝になったのかな?」

ことみ「そうね!あなたくらいよ、ヒーローらしく名乗ってくれるのは。バラレンジャーの中で一番ヒーローらしいわ。」

銀河「ヒーローらしい、か。そうだな俺はヒーローだからな!んじゃ、戦闘もひと段落したし、ヒーローショーの準備でもするかな。」

ことみ「それなら桃華ちゃんがもうやってるわよ。どうせすぐ戻ると思ったから現地に向かってるわ。」

銀河「了解!じゃ、行ってくらぁ!」

ことみ「は~い、いってらっしゃい」

外に出た瞬間、それは起こった。

ドォオオオオン!!!!!!

銀河「なん……だ……?」

 それは謎の飛行物体が起こした爆発の音だった。世界中の飛行物体が同時に爆発したのだ。瞬く間に都市が壊滅し、世界は絶望に包まれた。

 俺たちの地域は爆心地からは離れていたのと、異変に気付いたブラウンくんと俺がとっさに護ったので被害は少なった。

しかし、世界中は大混乱だ。突然の出来事だがヒーローとしてどうするのかを考えるため、集まって話し合った。



ことみ「とりあえず、みんなの家族は無事なのね?」

雪「大丈夫でした。」

みどり「こっちも平気」

虎羽「ボクの方も無事でした。」

ブラウン「…よかった……」

紫雲「無事とは言っても、今や世界が大混乱だ。立て直しには時間がかかるだろうな…」

黄慈「とりあえず、ぼくらは人命救助を最優先で行わないかい?この事態で動けるのは本当にぼくらくらいかもしれないし。」

銀河「クソッ!どうしてこんなことに…。もし分かっていたら防げたかもしれないのに…!」

バディ「防いでもらいたくないからお前らには教えなかったんだ。」

一同「!?」

バディ「ああ、いきなりすまない。銀河以外の前で話すのは初めてだったな。私の名前はバディ。銀河がつけてくれた名だ。」

銀河「そんなことはいい。それよりさっきのはどういう意味だ?」

バディ「あの爆発は絶対に防いでもらいたくなかった。だが、爆発が起きた以上もう隠す理由はなくなった。真相を話してやろう…私は未来から来たのだよ。」

 バディは淡々と語った。

バディ「私たちのいる史実の世界では地球は完全に侵略され、ほぼ全ての人類が死ぬか捕虜になった。奴らの目的は地球の秘密を知ることだった。調査も目的の一つであったがいくつかのサンプルが取れればそれで充分だった奴らは我々の逃亡を見逃した。そして、地球から逃れた我々はとても数千年もの長い年月をかけて種を存続させ、技術を発展させてきた。その技術は宇宙全体から見ても異質なものだった。それがお前らの力だ。その無限の力は我々の技術の結晶なのだ。」

銀河「…それはまぁなんとなくわかってたよ。こんなに凄い力、未来のもんでもなけりゃあ納得できねぇ。だが、それがあの爆発とどう関係があるんだよ!」

バディ「お前はせっかちだ。まぁ聞け。人類の生き残りである我々、圧倒的な科学力を持つ奴ら、そして地球の秘密。それらは長い年月をかけて和解した。争うことをやめたのだ。我々は高次元の思考を手に入れ、争うということをしなくなり、宇宙の平和が保たれるようになった。しかし、そうなると我々…いや、彼らにとって地球の侵略は長い歴史の中で汚点となった…。そこで、その唯一の汚点を消すために私たち『人間』だけが過去の改変を許された。地球の運命を変るための手段として、我々は君たち『ヒーロー』に力を託したのだ。  ではなぜあの爆発を許したのか?それは人類の発展に必要だからだ。」

銀河「人類の発展?」

バディ「人間が作り出した社会はそう簡単には変わらない。まさしく、今のように大量の人間が死ぬくらいの出来事がなければ変わることができない生き物なのだ。」

銀河「だから多くの人間を見殺しにしたっていうのか!!」

バディ「歴史を見ればお前でもわかることだ。人が死ぬ度に人類は進化した。犠牲がなければ変われないというのは明らかな事実なのだ。  人間がどうして未来でも存在しているか分かるか?それは人間がより高次元の存在へと変わることが出来たからだ。もし、このまま進化することが出来なければ未来の世界であっても人間は穢れた動物として処理されることになる。

少しでも多くの人類を救い、変化を促すことで未来の人類も救う。そのためにあの爆発は絶対に必要なものだったのだ。」

一同「…………………………。」

銀河「…そんなの納得できるかよ!わかんねぇだろ!あんなことしなくても変われるかもしれねぇじゃねぇか!!」

バディ「お前の小さい脳みそで想像した世界と、我々の導き出した答え、どちらが正しいか理解できないか?…それなら…君ならわかるだろう。」

ピピピピ……

桃華「がっ…!!あ……う……」

藍「ちょっとあなた!桃華に何をしましたの!?」

バディ「爆発を起こさなかった場合の人類史の予測結果を与えただけだ。どうだ?それだけの可能性を見ても我々が間違っていると思うか?」

桃華「…皆さま…この方のおっしゃっていることは正しいです。確かに、より多くの人類を救うためには多くの犠牲が必要です。」

朱祢「そんな……」

桃華「確かに今回の一件で世界の約30%の人間が亡くなってしまいました。でも、それでも他の方法に比べたら最も死傷者が少ない方法です…。正史のままだと99%以上の人間が死滅することになります…」

銀河「そんなの計算だろ!やってみなきゃわからねぇだろ!!」

バディ「ならお前に人類が救えるか?お前が人類を導けるのか?失敗したらあれ以上の人間が死ぬんだぞ?その責任をお前がとれるのか?」

銀河「それは……………それでも…諦めきれねぇよ…。どうして…どうしてこんな……!」

紫雲「銀河…気持ちはわかる。だけど、それがより多くの人類を救ったって言うのなら…」

銀河「お前…こいつの味方をするのか…?」

怒りの矛先が紫雲に向く

藍「落ち着きなさい!!もう起こってしまったことは仕方がありませんわ!」

黄慈「…そうだ。今更何を言っても現状は変わらない。悔しいけど仕方がない…今は人命救助を…」

銀河「待てよ!!」

部屋から出ようとする黄慈たちを引き留める。

銀河「みんな…これでいいのか!?俺たちは正義のために戦ってきた!そうだろ!?俺たちの正義ってなんだよ!こいつの考えに賛同するのがお前らの正義なのかよ!!」

俺の問いかけで静まり返ったがそれも束の間。

ブラウン「オレの正義は悪を許さないことだ。だが、オレには人類を救おうとしたそいつを悪だとは思えない。それだけだ。」

ゴールドが部屋を出る。

虎羽「絶対の力を持ったからにはそれ相応の考え方をしなければならない。ならボクはそれに従うだけだ。必要な犠牲は爆発に巻き込まれた者だけだろう?ならボクは救助活動に行かせてもらう。」

シルバーが部屋を出る。

紫雲「…俺は多くの人を救うためにヒーローになった。だから…仕方がなかったと…思う…!」

ピンクが部屋を出る。

藍「わたくしも、未来のためなら仕方がないと思いますわ。生き残るために、犠牲を払わなければならないのは世の理です。」

グリーンが部屋を出る。

朱祢「…私は…このやり方を認められない…。誰かを見殺しにしていい理由なんてないと信じたいから…」

イエローは部屋に残った。

雪「わ、わたしもそう思います。とても難しいですけど…でも、誰かが死んじゃっていいわけありません!」

ブラックも部屋に残った。

金一「僕も同じだよ。…どうにかできるわけじゃないけど。」

レッドも部屋に残った。

みどり「あたしはどっちでもいいかな~。世界がどうなったところであたしが変わるわけじゃないし。仕方ないって思うしかないし。」

部屋を出ようとする。

みどり「とりあえず、藍ちゃんたち追いかけてくる」

そう言って部屋を出た。

黄慈「ぼくにはどちらが良いのかわからないや…。もし…あの人がいたら……。いや。」

部屋を出ようとする。

黄慈「とにかくぼくも今は人命救助を優先するよ」

そう言って部屋を出た。

桃華「……ことみさま…。ワタシはどうするべきでしょうか…?ワタシにはあの考えが正しいということが分かります。しかし…それを実行するべきなのでしょうか…。」

ことみ「正しいことをするのがあなたの正義ならそうしなさい。でも、正しいことが分かっていてもやりたくないならそれでもいいの。それが自由に生きるということだから…。」

部屋を出ようとする。

桃華「ことみさま。出撃命令を………」

ことみが頷く。

桃華「……了解」

そう言って部屋を出た。


 その後イエロー、ブラック、レッドと俺の4人も人命救助へと向かった。そのあともう一度集まって話し合ったが、結論は出ず、正義が交わることもなかった…。バラレンジャーは実質的に解散し、個人で行動することになった。俺たちはバラバラになってしまった。



 俺はたった3日前まで人が住んでいた瓦礫の山をただ見ていた。何もできず、呆然と…。そんな俺を見てバディは言った。

バディ「もし、0.01パーセントでも可能性があるなら、お前はこの過去を変えたいと思うか?」

銀河「…なんだよいきなり。」

バディ「答えてくれ。別の方法があればそれがどんなに低くてもお前はそれを選ぶのか?」

銀河「…………いろいろ話し合ってみて…やっぱり仕方がねぇんじゃねぇかって気もした。でも、やっぱりこれは納得できねぇ。俺がヒーローになったのは平和を護るためだ。そんで、平和ってのは皆が笑顔でいることだ。でも、見ただろ。今、世界で笑顔の人なんて一人もいない。絶望して、光を失っちまっている。こんな世界、こんな平和、俺は望んじゃいない…」

バディ「私が何故未来のことを語ったのか分かるか…?」

銀河「…?もう黙ってる必要がないからだろ?」

バディ「隠す必要がなくなったとしても、話す理由にはならないはずだ…。まぁいい…。私があの爆発の真相を語ったのには理由がある。……お前は……私がお前をヒーローに選んだ理由が分かるか?」

銀河「……いや?」

バディ「…私が真相を語った時、お前が最初に声を上げた。」

銀河「それがなんだよ」

バディ「お前の平和を想う熱い気持ちは、神にすら等しいこの私の言葉すら否定するほど強いということだ…。理屈だとか計算なんかでは計ることが出来ない何かを…私は信じてみたい…………言っただろう…? 私は未来を救うためにここに来た。そして、それを叶えるためにお前を選んだ。  お前は、もし他の方法があるのならこの結果を変えたいと思うか?」

銀河「……その方法ってなんだよ…俺にどうしろって言うんだよ。」

バディ「お前が持っている光の力にはまだ上がある。お前の意志が『神』をも超えれば、その力は限界を超える。あとはお前次第だ…」

銀河「あ、おい!」


 バディはそれだけ話すと姿を消した。俺に全ての決断を託したのだろう。俺はしばらく考えた。座り込んで考えた。でも30分ももたなかった。


銀河「ああああ!!考えたってわからねぇ!俺は世界を変えたいんだ!納得できねぇんだ!がむしゃらにでもやってみるしかねぇ!!」


俺は走った。

爆心地周辺を走った。

ひどいものだった。見ていられなかった。それでも…

スピードを上げる。風を裂いて走る。

国中を走り回った。

多くの人々は絶望していた。泣いている子もたくさんいた。笑顔なんてどこにもなかった。

さらにスピードを上げる。波しぶきを上げながら海を渡る。

俺は世界中を走った。世界中では至る所で暴動、紛争が起きていた。爆発が原因で人間同士までもが争い、奪い合っている。

音を置き去りにしてさらにスピードを上げる。

俺は空を走った。

大地が抉れ、緑が消え、多くの生物が悲鳴を上げている。

望んじゃいない…。こんな世界…俺が望んでいた世界じゃない…。

俺はさらにスピードを上げ、地球を駆け回った。何週も何週も何週も!

「俺は…ヒーローだ!!!武器を持っているからじゃねぇ!…特別な力があるからでもねぇ!!…俺は…世界を…平和を護るために本気だから!ヒーローなんだあああああああああああああああ!!!!!!!」

(超えろ!限界を!自分で壁を作るな!!)

「なんだあの光は!?」「どんどん増えてる」「地球を回っているのか?」

「神がなんだ!運命がなんだ!!常識がなんだ!!!…俺の光は!どんなことでも超えてみせるっ!!!!!!!」

(くっ……!体がいてぇ…全身が吹っ飛んでちぎれそうだ…。でも…まだだ…まだ!まだぁ!!!)

「うわ!?どんどん増えてる!」「空が…光で埋め尽くされる…」「綺麗かも…」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


お前はどんなヒーローになりたい?


俺にとっての『ヒーロー』…それは…世界を照らす光(希望)だ!!


「おおおおおおおおおお!!!フォトンアクセル!!!!オーバードライブ!!!!!!これが!世界を変える光だあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」





銀河「…………う…ここは…?」

 俺は事業所の壁に貼られた求人のポスターを眺めていた。

ことみ「もしかして…ヒーローに興味あります?」

銀河「あ……」

ことみ「ど、どうしました?そんなに驚いて…何か私、変ですか?」

銀河「いや……俺は……『ヒーロー』になろうと思って…!!」

ことみ「ヒーロー志望者ですかぁ!?大歓迎ですよ!」


俺は、もう一度やり直すんだ。今度は、あんな世界にしないように…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ