↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/11

【随筆】引っ越し、そして平日はまだ来ない。


ネット工事はまだ来ない。


もともと、この家には光回線そのものが通っていなかったことが判明して、いろいろと調査に時間がかかっているらしい。


電気は来た。

水も来た。

ガスも来た。


ネットはまだだ。


仕方なく、テザリングで仕事をしている。


リモート会議の最中にも、トンカチやサンダーの音は止まらない。


そのたびに、

「お前、どこにいるんだ」

と上司が確認する。


当然、家のはずなのだが。


次は車の中に逃げるしかない。


引っ越してから、私の平日はまだ帰ってこない。

私は朝起きて仕事を始める。

会議に出て、メールを返して、昼になれば飯を食う。

いつもの平日である。


ただ、家の中に平日の気配がない。

父は朝起きると、何かを直し始める。

疲れたら休む。

腹が減ったら飯を食う。

少し休むと、また何かを直し始める。

母もその横で、片づけたり、何かを作ったりしている。

始業時間もなければ、終業時間もない。

その時間の流れだけを見れば、あまりに休日的だった。


だが、やっていることはほとんど仕事である。


しかも、仕事の合間に別の仕事をしている。

私は平日のつもりで働いている。

両親も働いている。


それなのに、家の中だけはずっと休日だった。


リモート会議の相手から、

「自然が多いところですね」

と言われた。


もともと私の住んでいる地域は、車で三十分も行けば都庁があり、反対へ三十分も行けば山の観光地があるような場所だ。

自然も、都会的なものも、昔から私の生活の一部だった。

辺鄙なところであることは認める。

正直、暮らしやすいわけではない。

だが、暮らしにくいわけでもない。


トレードオフという言葉がある。

私の人生は、たぶんずっとそうだった。

便利であれば、不便でもある。

寂しくなくなれば、煩わしくもなる。


何十年ぶりかの両親との同居は、おそらく不便の方が勝るだろう。


それでも、彼らと過ごせる時間はもう有限だ。


笑うことも、もめることも、昔より価値が大きくなるのだと思う。


母の手料理も、父の昔話も、一つ一つ大切にするべきなのだろう。


引っ越しで出てきたアルバムを開いて、三人とも作業の手が止まることも、たぶん重要なのだろう。



雨風が凌げて、電気と水道とガスがあり、ネットさえあれば、どこでも暮らせる。


無理やり順位づけするならば、やはり電気、次にネット、あとは水道とガスといった所か。


困ったことに両親をどこの下に置くか、なかなか答えが出ない。


贔屓目に見ても、一番でないことは確かなのだけれど。


近況でした。半分くらい愚痴です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。