表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もやしさんの憂鬱  作者: あかなす(前とまとまと)
26/41

第26話 兄と弟?

3人がシャムシエルの家のリビングにいた。


…水の中で誰かが足を掴んでた。…まだ感触が残ってる。


凛子が下を向いて黙る。

シャムシエルが凛子を抱きしめる。


「…大丈夫。…俺がそばにいるから。」


凛子がシャムシエルにしがみつく。



「…上位、悪魔か。」


霧山が頭を抱える。


……下位の悪魔ならどうにか対応できる魔術もあるかもしれんが、上位となるとやっかいだな。


「…私にも何か出来ることがあるかもしれんな。少し調べてみる。」


そう言うと霧山が立ち上がる。そして、不安そうな顔でシャムシエルにしがみつく凛子の頭を撫でる。


「…凛子、しばらくはシャムシエルのそばを離れるなよ。」


「…はい。」


霧山が帰って行った。

シャムシエルが凛子の頬に触れる。


…少し、体が冷えてるな。


「…凛子、体を温めた方がいいね。お風呂に入る?」


……お風呂、入りたいけど、1人になるの……怖いな。


凛子が下を向いて黙る。


「……一緒に入る?」


シャムシエルが心配そうな顔で凛子に聞く。


「……!!…………。」


…1人になりたくないけど、一緒にお風呂に入るのは…恥ずかしすぎる。


凛子が頬を赤くしながら難しい顔で悩む。



……すごい、悩んでるな。

無理もないか…水が怖いのに引きずり込まれたんだからな。…相当、怖かっただろうな。



「…凛子、本当に何もしないから……」



「………1人になるの…怖いですけど……一緒に入るのは…恥ずかしすぎます…」



凛子がシャムシエルの胸に顔を埋めて言う。


……困ったな。少しの間でも、1人にしたくないんだけどな。


シャムシエルが困り顔で悩む。


「…分かった。何かあったらすぐに行くから入っておいで。」


「……はい。」


凛子がバスルームへ向かう。シャムシエルがリビングで頭を抱える。


……プットからミカエルへ伝言、頼んだけど、どうなるかな?

俺、1人じゃどうにもならない……昔に比べたら少し強くはなったけど……上位悪魔、相手じゃ、力が足りない。



まったく、変わり者だな。

……力が要らんのか?



「…………。」



あれ?…昔、誰かに言われたような?

誰に言われた?……思い出せない。


プットがシャムシエルの肩にとまる。


「…ミかエル、つたえタよ♪」


プットがシャムシエルに言う。


「…そうか。ありがとう。」


シャムシエルがプットの頭を撫でながら言う。プットが笑顔で飛んでいく。





ー天界、ミカエルの部屋ー



「……シャムシエルが?」


ウリエルが驚いた顔をしながらミカエルに聞く。


「はい。プットを通してですがシャムシエルからそう言われました。」


ミカエルが笑顔でウリエルに言う。


……何に対してもどうでもいいと言っていたあのシャムシエルが凛子さんを守る為に私に助けを求めた。

…やっと、目が覚めたようですね。


「…寝坊助がやっと起きたようです。なので、力を貸してあげてください。…この件をきっかけに何か別の事も仕掛けてくる可能性もあります。私はしばらく、天界から離れません。」



「…分かった。たしかに、ミカエルは天界から離れない方がいいな、私が動く。」


そう言うとウリエルがミカエルの部屋から出ていく。







ーシャムシエルの寝室ー



シャムシエルが眠る凛子を見つめる。


……あれから特に妙な動きはなかったけど、いつ仕掛けてくるか分からないから用心しないと。……相手は上位悪魔、1対1になったらかなりまずい。


「……ん?」


天使の気配を感じてリビングへ向かう。



「…すまんな、こんな時間に。」


リビングにウリエルが現れ、シャムシエルに言う。


「…いや、まだ寝てなかったから大丈夫だ。」


そう言うとキャビネットからバーボンとロックグラスを2つ、手に取る。


「飲むか?」


「…ああ。」


シャムシエルがソファーに座ってウリエルの前に置いたロックグラスに酒を注ぐ。ウリエルが酒の瓶を取ってシャムシエルのグラスに注ぐ。


「…お前とゆっくり話すのは久しぶりだ。」


グラスを手に取ってウリエルが話し始める。


「そうだな。」


「……本当に自由なやつだ。人間の為にすべて捨てるとは。」


ウリエルがため息混じりに言う。


「今でも、後悔してない。…あの時、さつき以外に欲しいものはなかったからな。」



……さつき、というのかシャムシエルが愛した女。

あの遊び人がまさか、人間の娘を選ぶとは。



「…お前らしいな。天界の秩序を守る者としては許せぬ事だが……()()()()ならば喜ばしい事だ。いつもぼんやりとしていたお前が、大切な者を見つける事ができて。」


ウリエルが微笑む。


「…誰が兄だよ!」


シャムシエルが焦りながらウリエルに言う。


「……凛子がそう言っであろう?」


ウリエルが意地悪そうな顔で笑いながら言う。


「…そうだけど。」


…凛子が言ったようにこいつも心配してくれてたのかもな。


シャムシエルがウリエルをじっと見る。



「…どうした?」


「………いや、その…いつも…ありがとう……な。」


シャムシエルが気恥しそうにウリエルに言う。ウリエルが目を丸くして驚く。


「……何だ?…何かおかしな物でも食べたのか?」


「……いつも、迷惑かけてるから悪いなと思ったんだよ!」


ウリエルが肩を揺らして大笑いする。


「…まさか、お前からそんな事を言われるとは思わなかった。さつきと凛子のおかげだな。」



………さつきと凛子のおかげ……か。



「そうだな。2人のおかげだ。…正反対の2人だけどな。」


「…そうなのか?」


「さつきはまったく、気を使わないし、なんでも話してくれた。…料理、洗濯、掃除、どれも出来なかったけど底抜けに明るい女だったよ。」



…家事もさつきの為に覚えたからな。

何度、やってもさつきは目玉焼きすら作れなかったなぁ……



「なるほど…正反対だな。」


ウリエルが納得する。


「…そうなんだよなぁ。……凛子は、何も話してくれないし、いろんな事を気にする…」


シャムシエルが難しい顔をしながら話す。


……俺を残してどこかに消えてしまいそうな気がするし。

どうしてそう思うのか分からないけど…



「…何か気になることがあるのか?」


「…え?」


シャムシエルが驚いた顔をする。


「…不安そうな顔をしている。上位悪魔の事ではないように見えるが?」


「………まぁ…な。それよりも今はその上位悪魔の事が先だ。」


「ミカエルはしばらく天界から離れられない。…この件に関しては私が指揮をとる。…専属で上位天使を1人つける。そして、その者を中心に常に数名の天使をこの土地に配置する。」


「上位天使?…俺の知ってるやつか?」


「…ああ、お前もよく知る者だ。…明日から配属させる。顔を出すように言ってある。」


「…俺の知ってるやつ?……誰だ?」


「会えば、分かる。」



「……もや、しさん……」


寝ぼけた凛子がリビングに入ってきた。



「…あれ?……目が覚めた?」


シャムシエルが驚きながら凛子に話しかける。

凛子が寝ぼけながらふらふらと歩きシャムシエルの前で座る。


「……凛子?」


シャムシエルが不思議そうな顔で凛子に話かけるが寝ぼけている凛子は返事をせずにシャムシエルの膝を枕代わりにして眠った。


「……………。」


シャムシエルが自分の膝で眠る凛子を見て言葉を失う。


……凛子がこんなに甘えてくるのはめずらしいな。


凛子の頭を撫でながら微笑むシャムシエル。


……そんな可愛い顔で甘えられたら言葉が出ないな。



「…寝ぼけているようだな。」


ウリエルが微笑みながらシャムシエルに言う。



「……ああ、可愛い顔して寝たよ。」


シャムシエルが眠る凛子を見て微笑む。








ー天界、ミカエルの部屋ー



数名の天使が集まっていた。


「どういう事だ?…たった一人の人間の為にわざわざ天界が動く必要があるのか?!」


()()()()()が自分でどうにかすればいいんじゃないのか?」


「そもそも、人間を妻にするのも問題だ!!」



それぞれの天使がミカエルに訴える。



「…皆さんが言うことも分かりますが、シャムシエルだけでは勝てない相手です。」


ミカエルが笑顔で答える。


「…だか、1人の人間の為に動くのは問題だ!」



「……ですから、、」


この忙しい時に面倒ですね。

…どう説得しましょうか?


ミカエルが悩む。



「こんな事だろうと思った♪」


天使の姿をしたラファエルがミカエルの部屋に入ってきた。



「おや、めずらしいですね。あなたがこちらに来るのは…」


ミカエルが少し驚きながら話す。



「…今回はやっかいな事だからね。…ねぇ、あんた達。」


ラファエルが集まっていた天使達に話し始める。


「たしかに、たかが人間の為に天界が動くのはおかしいわよねぇ?…けどさぁ~もしこれで人間が悪魔に食われて、シャムが死んだら…悪魔達はどう思うかしら?」



天使達がラファエルの話を聞いて少し考える。


「…悪魔達がどう思う…とはどういうことだ?」



「そばにいるのに人間、1人も守れない、無能の天使…って思うんじゃない?…天使の面子、丸つぶれ…よね?」


天使達がざわめきたつ。


「…何を言う!我々、天使は無能ではないぞ!」


「悪魔などに負けてなるものか!」



ラファエルがニヤリと笑う。


「…でしょ?…人間の為じゃなくて、天使の為に戦うべきなんじゃない?」



「そうだな!…アイツらに舐められては困る。…行くぞ!」



天使達が納得してミカエルの部屋を出ていく。

ミカエルとラファエルが顔を見合わせて微笑む。


「…助かりました。上手く説得してくれましたね。」


「普通に考えたらあの子達の言うことも分かるものね。1度、落ちた天使の為に動くなんて…納得いかないわよね。」



「…そうですね。でも、今、彼を失う訳にはいきません。」


ミカエルが真剣な顔でラファエルに言う。


「やっかいな、相手よ。…ウリエルもあまり、降りてこない方がいいわ。」


「………やはり、アイツ…ですか。」


ミカエルがため息をつく。







ーシャムシエルの家のリビングー



眠る凛子の頭を撫でながらシャムシエルが話し始める。



「…昔は、女から声をかけられたらすぐに口説いて手を出していた。落とすまでを楽しんでたのかもな。……でも、凛子に出会って考えが変わった。」



「…考えが変わった?……まさか…」


ウリエルが驚いた顔をしながらシャムシエルに聞く。


「…凛子にはまだ、手を出してない。キスすらしてないよ。」


「………。」


ウリエルが驚いて言葉を失う。


「言っとくけど、我慢してるわけでもないからな!」


「…本当か?…()()()()()のお前が?」



「…どうしてだろうなぁ…自然とそうしたいと思った。凛子が恥ずかしがり屋っていうのもあるけど……まだ手を出す気はないな。」


シャムシエルが凛子の頭を撫でながら話す。



「……それだけ、大事に思っていると言うことか?」



シャムシエルが眠る凛子の頭に口づける。


「…そりゃ、何よりも大事だ。凛子のいない世界で生きるつもりはない。」



…本当に別人になったな。

昔のこいつからはまったく想像出来ない。…目覚めの時が近いのかもしれぬな。……寝坊助め。


「……では、守らねば。凛子だけではなく、お前にも死なれては困る。」


ウリエルがシャムシエルを見て言う。

シャムシエルがウリエルの言葉に驚く。



「…俺も?」


「そうだ。これからも、たっぷりと働いてもらわねば困る。」


ウリエルがニヤリと笑う。


「……そういうことか」


シャムシエルが溜息をつきながら言う。

ウリエルがグラスに残っているバーボンを飲み干す。



シャムシエルとこの話をする日が来るとは……



ウリエルが遠くを眺めながら話し始める。


「……凛子を見てると、()()を思い出す…」


「凛子を見てると?」


シャムシエルが不思議そうな顔をしながらウリエルに聞く。



「…お前に、彼女の話をするのは初めてだな……」


ウリエルが伏し目がちに話す。



「……俺の知ってる女か?」


「お前は会ったことのない女だ。……7大天使の1人だ。」




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ