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もやしさんの憂鬱  作者: あかなす(前とまとまと)
24/41

第24話 ……2人で?

ピザと飲み物を買って帰ってきた3人が霧山の部屋の前にやって来た。


「まだ、片付いてないからな。足元には気をつけろ。」


そう言いながら霧山が玄関を開ける。


「お邪魔します。」


凛子が部屋に入る。

シャムシエルが部屋を見渡す。


「…家具は新しく買ったのか?」


「…いくつか、入れ替えた。」


部屋の中にはダンボールが無造作に置かれていた。



……ミカエルが住んでいたからだろうな、聖域になってる。

それとも聖域にしてから出て行ったのか?



「…凛子、()()()()()()霧山の家に行くように。」


シャムシエルが真剣な顔で凛子に言う。


「……?……はい、分かりました。」


…何かって、何だろ?



「…?……何の話だ?」


霧山が不思議そうな顔でシャムシエルに聞く。


天界(こっち)の事情だよ。気にしないでくれ。」


シャムシエルが霧山に言う。


「…そうか。よく分からんが……その何かってやつがあったら私がいなくても家に入ってていいからな。」


霧山が微笑みながら凛子に言う。


「…はい。」


……何かって、何?

気になるけど聞いちゃだめな気がする。



「さて、夕ご飯にするか。」


リビングのテーブルの上にピザを置く。

霧山がキッチンへ向かい食器を用意する。

凛子が霧山を手伝い3人で食べ始める。


「そういや、どこのプールに行くか決めてなかったな。」


霧山がシャムシエルに言う。


「…ああ、もう予約してあるよ。昼の14時に迎えが来るから用意しとけよ。」


シャムシエルが霧山に言う。


「……予約した?……しかも迎えが来る?」


霧山が困惑する。



「……プールって予約するものなんですか?」


凛子が不思議そうな顔でシャムシエルに聞く。



「混んでるの嫌なんだよ。…人間が多いところは苦手だ。」


シャムシエルが困り顔で言う。



「そりゃ、混んでるのは嫌だが…。予約と迎えの意味が分からん。」


霧山が難しい顔をしてシャムシエルに聞く。



「そのままの意味だよ。…明日になれば分かる。」



不思議そうな顔をしながらも凛子がピザにかじりつく。


…美味しいけど、大きい。



「凛子、ソースついてる。」


シャムシエルがそう言うと凛子の口元についたソースを舐める。

凛子が驚きながら顔を真っ赤にする。

霧山は黙ったまま、ピザを食べていた。


「…あれ?……何も言わないのか?」


シャムシエルが不思議そうな顔で霧山に言う。



「新婚だからな…そういうもんだろ?」


霧山が諦めたように言う。

驚いた凛子が喉をつめそうになる。


「え?…凛子、大丈夫か!?」


慌てたシャムシエルが間違えて霧山のビールを凛子に渡そうとするが霧山がビールを奪う。


「未成年に酒を飲ませるな。…凛子、大丈夫か?」


霧山が凛子にお茶の入ったコップを手渡す。

凛子がお茶を飲んで一息つく。


「急に何するんですか?!…それにビールを飲ませようとしましたよね?」


シャムシエルの両頬をつまみながら凛子がふくれる。


「いてて…間違えたんだよ。…ごめん。」


「本当に?…わざとじゃないんですか?」


凛子が疑わしい顔でシャムシエルを見る。

霧山が吹き出す。


「凛子も言うようになってきたな。……天使も形無しだな。」



「…そりゃ、凛子にはかなわないよ。」


シャムシエルが凛子の腰に手を回して微笑む。

凛子の頬が少し赤くなる。


「……また、そんな事、言って。…近いですよ。」


「そう?…凛子の方から近づいてきたような気がするけど?」


シャムシエルが意地悪そうに笑いながら言う。

凛子の顔がさらに赤くなる。


「霧山さんもいるんですから……離して下さい。」


「どうしようかなぁ。」


シャムシエルがニヤニヤ笑いながらも凛子から離れようとしない。



霧山が大きなため息をつきながら言う。


「それ以上は2人の時にしてくれ……」


「離してください!」


凛子がシャムシエルの手を自分から引き離す。




「………………。」


………どうしてだろうな?

どんなに抱きしめても、そばにいても…凛子がどこかへ行ってしまいそうな気がする…



黙ったままのシャムシエルを凛子が心配そうな顔で見る。


「…どうかしました?」


「…いや、何でもない。」


シャムシエルが凛子に言う。


……気のせい、だよな。



霧山が黙ったままシャムシエルを見る。

ピザを食べ終えて食器を片付けて2人は霧山の家を出た。



「…お風呂にはいって、おいで。」


家に着いてシャムシエルが凛子に言う。


「…はい。……!………あっ!」


凛子が急に大きな声を出したのでシャムシエルが驚く。


「…?!……どうした?」



「いえ、………何も………」


焦りながら小さな声で凛子が答えるとそのまま、ナマケモノのぬいぐるみを抱えて下を向いてソファに座る。



……忘れてた。

水着だと体の傷が隠せない…

わたしは気にしないけど…もやしさんや霧山さんが見たら、嫌な思いするよね…

もう水着、買ってもらってのにどうしよう?

………お腹が痛いとか言って2人だけで行ってもらおうかな?

でもそれだと別の日にしようってなるだけ…

うーん、正直に言った方がよさそう……



凛子が顔をあげるといつの間にか隣に座っていたシャムシエルが凛子に声をかける。


「どうした?……すごい悩んでるみたいだけど?」



「?!……あれ?いつの間にそこにいたんですか?」


凛子が焦りながらシャムシエルに聞く。

不思議そうな顔でシャムシエルが答える。


「凛子がソファーに座ってすぐ。…何、悩んでたの?」



「……えっと、明日…なんですけど。……その、霧山さんと2人で行ってもらっても……いいですか?」


シャムシエルが、とてつもなく嫌な顔をする。


「…嫌だよ。……野郎、2人でプールなんて絶対無理!……プールに行くの嫌?」



「………嫌…というか、……その、わたしの体……傷だらけで……もやしさんや霧山さんが嫌な思いすると思って……」



凛子が小さな声で言いにくそうに話す。

シャムシエルが黙ったまま、聞く。


「………。」


…そういえば、体の傷を消してなかったな。



「…凛子。服、脱いで…」


「…!!!!…ええ?!」


凛子が耳まで真っ赤にして驚く。


「…服だけでいいから。……体の傷、消してあげる。」


シャムシエルがにこにこしながら凛子のシャツのボタンに手を伸ばす。



「ちょ、ちょっと、待ってください!!」


凛子が慌てながらシャムシエルの手を止める。


「…だって、触らないと傷口を消せないよ。…下着はつけたままでいいから。」


「け、消さなくても、だ、だい、大丈夫です!」


「だって、プール行けないだろ?」


「でも!…こんな所で、服を脱ぐなんて……」


「じゃあ、寝室に行く?」


「ええ?!……寝室もだめですよ!」


「じゃあ、一緒にお風呂に入る?…頭と体も洗ってあげるよ。」


シャムシエルがにこにこしながら凛子に言う。



「…!!……一緒にお風呂なんて、無理です!!」


凛子が顔を赤くしたまま叫ぶ。



「じゃあ、ここで脱ぐしかないな。……心配しなくても傷を消すだけだから。」


シャムシエルが凛子のシャツのボタンを外し始める。


「!!?!!!」


凛子が顔を赤くしたまま混乱し始める。


「…ま、まって、まってください…」


「すぐ、終わるから…」


シャムシエルがにこにこしながら凛子に言う。




「…こんな、ところで何してるのよ?」


ガブリエルがため息をつきながらシャムシエルに言う。



「…!!!」


凛子が突然、現れたガブリエルを見て驚く。


「…今、いい所だから邪魔するなよ。」


シャムシエルが不貞腐れながらガブリエルに言う。

ガブリエルが呆れた顔で凛子のシャツの裾をめくって、背中を見る。背中を見られて凛子が驚く。


……火傷の痕に、切り傷。

痛々しいわね。


「………凛子、これからお風呂に入る?」


ガブリエルが凛子に聞く。


「…はい。」


凛子が驚いたまま答える。


「お風呂にいきましょ。傷は私が消してあげるから…」


ガブリエルが凛子の手を引いてバスルームへ向かう。

シャムシエルがリビングに取り残される。

しばらくしてガブリエルだけリビングに戻ってきた。



「…いつも、誰かが邪魔しにくるんだよな。」


不貞腐れながらシャムシエルが言う。



「知らないわよ。…偶然でしょ?」


ガブリエルが呆れながら言う。



「…まさか、まだ、してないなんて…。()()シャムシエルがねぇ……」


ガブリエルがシャムシエルをじっと見る。


…女に手を出すのが早いって天界中に知れ渡ってたのに。



「……昔の俺とは違う。」


「昔とは違うって言っても。…ずっと一緒にいるのに、どうして?」


ガブリエルが不思議そうな顔でシャムシエルに聞く。



「…ほっといてくれ。……それより、何の用だ?」


「…そうだ!ちょっと、気になることがあってね。…()()()()の動きが変なのよ。」



「……悪魔(あいつら)の?」



「ええ。…どういう訳か最近、大人しいのよ。」


「…大人しいならいいんじゃないのか?」


「そうなんだけどね。……でも大人しいのはこの辺りだけなのよ。ほかの地域はいつも通り。」


シャムシエルが険しい顔になる。


「…この辺りだけ、大人しい?」


「そうよ。…細かく言うと、このマンションの周辺よ…」


「たしかに気になるな。…何か変な事、企んでそうだな。」


「ミカエルも注意した方がいいって言ってたわ。こっちも注意するけどあんたも気をつけてね。」


「…分かった。」


「…あと、凛子の傷は一時的に消しただけだから。凛子にも言ったけど、あんたがちゃんと消してあげなさいよ♪…またね。」


そう言うとガブリエルが微笑みながら姿を消した。



「…………。」


…いつ、消せるかな?

凛子は恥ずかしがり屋だからなぁ…



「あれ?…リリスさん、もう帰っちゃったんですか?」


凛子が髪の毛が濡れたままリビングに入ってきた。


「濡れたままだと髪の毛、傷むよ…」


そう言うとシャムシエルが立ち上がってリビングを出る。



…あ、髪の毛を乾かすの忘れてた。

もやしさん、お風呂に入りに行ったのかな?

乾かすの面倒だし、このままでもいっか…



「乾かしてあげる。」


ドライヤーとブラシを持って戻ってきたシャムシエルが笑顔で凛子に言う。


「 自分でするので…大丈夫…」


「いいから、ここに座る!」


シャムシエルがドライヤーのスイッチをいれて凛子の髪の毛にあてる。



…小さな子供みたい。

でも親に乾かしてもらったことあるかな?

昔、過ぎて覚えてない…




凛子がシャムシエルの顔をじっと見る。


「…熱くない?」


シャムシエルが笑顔で凛子に聞く。


「…大丈夫です。」


もやしさんはわたしにいろんな事をしてくれるのに……わたしはこの人の為に、何かできる事……あるのかな?

気にしなくていいって言ってくれたけど……

もらってばかりで…何も返せてない気が……する……


「…乾いたよ。」


シャムシエルが凛子に微笑みながら言う。


「…ありがとうございます。」


そう言う凛子の額にシャムシエルがキスをする。


「……!!」


凛子の頬が赤くなる。


「お風呂に入ってくる。…知らない奴が来たら大声出して呼んで、すぐに行くから。」


「はい。」


シャムシエルがバスルームへ向かう。

凛子がリビングのソファーに座りながら部屋着の襟ぐりをめくって自分の肩を見る。


…本当に消えてる。

一時的にって言ってたけど、天使って何でも出来るんだ。

もやしさんにちゃんと消してもらいなさいってリリスさんが言ってたけど……それって………


凛子の顔が赤くなる。


まだキスもしてないけど…いつかは……

最近は怖い…というより、恥ずかしいな……

でも、いつまでもこのままじゃ……だめだよね……

分かってるけど……やっぱり恥ずかしい。


凛子がナマケモノのぬいぐるみに顔を埋めて1人、考える。

バスルームから出てきたシャムシエルがリビングに入ってきて凛子を見る。



…また1人で何か、考えてるな。

耳まで赤い?………何、考えてるんだ?


不思議そうな顔でシャムシエルが凛子に近づく。


「…凛子、なにか飲む?」


「……………。」


凛子はシャムシエルの声に気づかずにぬいぐるみに顔を埋めたまま考え事をしていた。シャムシエルが凛子の耳元で囁く。



「…何、考えてるの?」


耳にシャムシエルの吐息がかかり、凛子が驚く。


「…!?!!!……へ、な、な、なん、なんですか?!」



「何、考えてたの?…顔が真っ赤だよ?」


シャムシエルがニヤニヤしながら凛子に言う。



「…へ?……い、いえ、な、なにも、考えて…ないですよ……」


真っ赤な顔をしたまま慌てて凛子が答える。


「…本当に?」


シャムシエルが意地悪そうに笑いながら言う。



「……本当に何でもないです。」


「そういや、体の傷、消してもらったんだよね?……見せて。」


シャムシエルがにやにやしながら凛子に近づく。


「え?!……な、何、言って…」


凛子が慌てながら後ずさりする。


「…確認しないと…ね?」


シャムシエルが凛子の体に手を伸ばす。凛子が真っ赤な顔をしたまま、目を閉じて体を強ばらせる。


「…冗談だよ。…そろそろ、寝ようか?」


シャムシエルが微笑みながら凛子の頭を撫でてから凛子を抱えて寝室へ向かう。


……びっくりした。本当に確認するのかと思った。


凛子がほっとする。



「…怒った?」


シャムシエルが凛子の顔を覗きこむ。


「……いえ、怒ってないですけど……わたし……わがまま、言ってますよね……ごめんなさい。」


凛子が下を向いて落ち込む。


……もやしさん、優しいけど…きっと、我慢してくれてるんだよね?わたしがだめって言うから。



「……?………わがまま?!……どこが?」


シャムシエルが驚いた顔で凛子に聞く。



「……いつも、だめ……って言ってばかりで……」



「……焦らなくていいよ。…前にも言ったけど、今は何もしないから。」


凛子をベッドに下ろすとシャムシエルが優しく微笑みながら凛子の頭を撫でる。


「それに…凛子が顔を赤くしてだめです!……って言う顔が可愛いすぎる。」


凛子の頬が赤く染まる。


「…!……可愛くないです!」


「ほら、その顔。…すごい、可愛い。」


シャムシエルが凛子の頬にキスをする。

凛子の顔がさらに赤くなる。


「…!!!……な、な、なにするんですか?!」


シャムシエルが微笑む。


……ずるい。

そんな顔されたら何も言えない…


凛子がシャムシエルの胸に顔を埋める。



つづく。







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