6話
重い、重い沈黙。
彼女は震えた瞳で僕を見つめたまま、動かない。
この沈黙を破ることができるのは、僕だ。
「…好きです」
僕の言葉を聞き、彼女は驚きを表す。
「一目惚れでした。初めて見た瞬間、初めて人のことを知りたいと思いました」
自分でも驚くくらい、ぺらぺらとすらすらと心ない言葉が響き渡る。
「靴は…僕は普段の靴というのを持っていなくて、常にこのシューズを履いてるんだ。だからすぐ汚くなるんだよね。こんなに土で汚れているのは祖父の家は庭がぬかるんでいて、小6のいとことそこで遊んでいたらこうなったんだ」
彼女は僕の並べ続ける嘘よりも…突然の告白に頭がついていけてないようだ。
だから…僕は彼女が混乱している間に辻褄を合わせる。
「君の先生のことも…本当に雑誌で見ただけ。不謹慎だけど、駆け落ちしたと思われていた女性が本当はこの失踪事件に絡んでいる…面白いとおもっちゃって、つい失踪事件の一員にしてしまったんだ」
そしてここからが本題。
「その雑誌…家にあるんだけど、もしよかったら見てみない?」
彼女はその言葉を聞き、顔を赤らめる。
家に行くこと…一体何を想像しているのか。
「あはは、変な意味はないよ。父さんはまだ仕事かもしれないけど…母さんは家にいると思うし、妹も学校から帰ってきてるはずだから」
母、妹と聞き…彼女の表情は少し和らぐ。
「僕の告白の返事はいいから…とにかく、調査を進めるためにも、行こう?」
彼女は少し悩む仕草をした後…笑顔を見せてうなずいた。
好きだったと思う、君のその少し大げさなその笑顔…。




