7話
「そろそろ帰ろう」
陽が沈みかけていることに気づき、僕は彼女にそう告げる。
愛美は物足りなそうな顔をしながらも僕の言葉に従う。
帰り道、彼女の口数は行きに比べると少なく感じられた。
僕の話を聞きながらも目はどこか別の空間に向いている。
「今日は…私に付き合ってくれてありがとう」
僕の方こそありがとう。
警察はまだ僕に遠いことが分かった。
「今日あったばかりなのに…ふ、普通…赤の他人の殺人事件にここまで付き合わされたら迷惑だよね」
「別に…僕も興味はあったことだし」
興味ついでに、僕は彼女に気になっていたことを聞いてみることにした。
「君は…お姉さんを殺した犯人についてどう思う?」
「私は……憎い」
「…復讐したい、殺したいとは思わないの?」
彼女は少しだけ黙って、こう答えた。
「…思うけど、殺さない」
分からない…けど、そう言うだろうなという気はしていた。
悪いことだから、そんなの犯人と同じだから、罰せられるから
…そんなところだろか。
「…どうして?」
それでも僕は尋ねる。
殺人が悪ではないことを確認したいから。
「だって…………悲しいじゃん」
悲しい…?
それは僕が初めて聞いた意見だった。
殺人が…悲しい?
「それって……」
「あ、私の家ここだから…」
彼女の言葉に僕の不安で小さな声はかき消されてしまった。
「その…また、会える…?」
彼女はまた照れてるようで、しどろもどろに声をだす。
「うん、会う」
また会いたい。
僕は初めて人にそうおもった。




