第93章:あらたなる天使、登場・・・その名も、『川原美香』
「青年部」と「婦人部」の合同の飲み会があり、そこで茂は、とてもかわいい女の子に出会った。
名前は、「川原美香」。
茂と同い年の、当時24歳。
眼鏡の似合う、ショートカットのなかなかの美人。
その「二次会」で、茂たちの部屋に、その子もやってきた。
アルコールの飲めない彼女は、渡されたコップを、所在ないといった感じで、テーブルの上に置いたまま右手で上下にしごいていた。
・・・その手の動きを、「舌なめずり」するように、執拗に目で追う男たち。
まるで、自分の「モノ」を、その川原さんのやわらかそうな手でしごいてもらっているかのように想像し、いやらしい妄想をふくらませていたのであろう。
彼女は、そんな「ケモノ」のような野郎どもを全く意に介さず、次々と言い寄る男子を、適当に軽い返事であしらっていたのだった・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そのうちに、庶務の方に、ひとりの若い女性が「出向」してきた。
廊下で出会った茂がその彼女と目が合うと・・・お互いに「あっ!」と言った。
「あれぇ、あなたは・・・!」
茂がそう言うと、彼女は照れくさそうに下を向く。
眼鏡を取った彼女は、化粧をいっさいしていないのに、とても「ナチュラル」で、魅力的な美人だった。
「あのぉ・・・ちょっと前の飲み会の二次会にいた人ですよね・・・確か・・・『川原さん』でしたっけ? 眼鏡はずしてたから、分からなかったよ・・・。」
「そういうあなたは・・・杉山さん、でしたよね?」
「あ・・・おぼえていてくれたんですか? なんか、うれしいなぁ・・・。とっくに僕のことなんか、忘れてしまったって、そう思ってたのに。」
「だって・・・杉山さん、とってもきれいな瞳をしてるんですもの。それに・・・新緑のような爽やかな香りもするし。」
「え・・・? 僕が、ですか??」
茂は、このときまで、自分の『体臭』のことなど、すっかり忘れてしまっていた。
かつて、自分と勤務後に帰り道で仲良く過ごしていた「漆原めぐみ」でさえ、そんなことを一度も茂に言ってくれたことはなかったからだ。
ふたりはたちまち意気投合し・・・合間を見つけては、お茶の時間に、仲良く給湯室で話すようになる。
茂は・・・ふたたび、胸がときめくような感覚を思い出していた。
かつて、あの「K小学校」で、峯岸美絵子に会っていた、あのときめくような感覚を・・・。




