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第81章:昼礼にて

 2月の半ば・・・。


 この日の昼食時に、茂の入っている検査課の隣の業務部の大部屋で、「昼礼(ちゅうれい)」が行なわれた。


 前にも書いたように、この食糧事務所は、組織として非常に厳しい状況下にあり・・・いつ、「統廃合」の憂き目に遭ってもおかしくない、そんな寒々しい事情のさなかでの、この本所の一番のボス、「T食糧事務所長」からの、皆への訓辞(くんじ)だった。


 職員がぞろぞろと部屋に入り・・・やがて、茂たち検査部の職員も、重い足取りで、所長からの、これまた重い「ひと言」を聴きにやってきた。


 茂が、うしろの壁に、やや疲れ気味の体を預けていると・・・いつのまにか、その左隣には、めぐみの姿が。


 所長の訓辞を聴いている最中、茂はふと気づいた。


 (漆原さん・・・とってもさびしそうだ。やはり、『あの噂』は、本当だったようだな。悪い方の『うわさ』ってヤツは、まず、外れたためしがないからな・・・。)


 さらに気づくと、うつむきながらめぐみは・・・ぴったりと自分の体を茂にくっつけ、頭を横に傾け、彼に甘えるように頭を肩に何度もすりつけてきた。


 (そうか・・・。彼女、俺を今でも本当に愛しているんだな。きっと、たこ焼き屋の『カレ』に初めて抱かれたときにも・・・俺を想って、心の中では泣いていたのかもしれない・・・。)


 そんな彼女の切なく、自分への熱い想いを知った茂は、気づくと、左腕で、めぐみの背中に手を回し・・・そっと優しく抱き寄せていた。


 (めぐみちゃん・・・本当に、ごめんよ。だって俺には、あやちゃん・・・いや、美絵子ちゃんが・・・。)

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