第7章:またしても、過去の思い出より
・・・ハナシはずいぶんとさかのぼるが、ぼくが美絵子ちゃんと仲良く遊んでいた小学校の時分、もうクラスでも背が高い部類になっていて、それはスリムでカッコイイ体型を、ぼくは保有していた。
そう。
このぼくだって、あの8月13日に最後に会った日の美絵子ちゃんに負けないくらい、それはスタイリッシュな少年だったんだ。
彼女と別れ別れになった、あの日だって・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・あれは、中学2年の秋ごろだったか、ぼくは、あの『チイさん』の・・・皆様にも以前紹介した、例のおばさんの経営する駄菓子屋に立ち寄り、なつかしい、「ジュースの粉」と再会した。
これは、平成以降にお生まれになった若い読者の皆様にも、ぜひ、その存在を知っていただきたいと思う。
『昭和懐かしい粉末ジュース:ニッポー ソーダ・コーラ味』というサイトを検索されたい。
この中に、『シャンペン ソーダ』という、粉末ジュースの写真が載っている。
私たち昭和時代に、小中学生だった世代の大人は、一度はこれを水に溶かして飲んだことがあろうと思う。
・・・価格は10円と格安だが、本当にさわやかでおいしく、後味も素晴らしい傑作だった。
グラスの水に溶かしたときの、そのなんともいえない、ブルーともグリーンともつかないような・・・そう、まるで、『森の緑』『新緑』のような、心を吹き抜ける夏の風のような・・・そういった素敵な素敵な色合いだった。
余談だが・・・給食のビン牛乳に入れる、『ミルメーク コーヒー』という、粉末のコーヒー味の粉をおぼえておいでの方も多いと思う。
前述のソーダ粉末は、残念ながら、今は製造していないらしいが、こっちのミルメークは、いまだに生産されておるそうな♪
(・・・コレが嫌いな児童は、まず、いませんでしたね。ぼくも、ビン牛乳にこの粉を入れて、即席の「コーヒー牛乳」の甘い味をクラスのみんなと堪能したものだ。)
・・・さて、その駄菓子屋にて、この『シャンペン ソーダ』にバッタリ再会してしまった茂雄くん。
なつかしさのあまり、「大人買い」してしまい・・・そうですねぇ・・・まとめて50袋ほども買って帰ったとか(笑)。
帰宅したぼくが、ソーダ粉末をグラスに溶かし、満面の笑みでもって、ストローでチューチュー吸いながら・・・そして、その「子供版・即席ソーダカクテル」を美絵子ちゃんとの懐かしい想い出に浸りながら、何杯も呷っていたとき・・・
机の上でかけていたトランジスタラジオから流れていたのが、菊池桃子さんの名曲『卒業』だった。
彼女の甘い『シュガーボイス』と、これまた甘く、芳香薫り、ノドに優しく広がり、心にまで染みわたる『シャンペン ソーダ』の甘味に陶酔してしまったぼくは・・・
この粉末を皮切りに、『肥満児への扉』を、ゆっくりと・・・しかし確実に、こじ開けてしまったのだった・・・。




