第51章:桑川の怒り
その翌日のこと。
茂が、まゆみと別れて、食糧事務所に着くと・・・玄関の脇で、彼の元学友・・・いや、「悪友」の桑川が待っていた。
「杉山・・・話がある。ちと、ツラ貸せや。」
彼にうながされて、事務所裏手に入ると、桑川は、いきなり茂のスーツの胸ぐらを両手で乱暴につかむと、恐ろしい目つきでこう吐いた。
「てめえ・・・まゆみとデキてんのか。」
「・・・何の話だよ。」
「とぼけんじゃねえ! おめえらが、仲良く電車でイチャイチャするのを、俺様は見たのよ。」
「それがどうした。」
「あのなあ・・・一度てめえは、まゆみをフッたんじゃなかったのか? あ・・・? それなのによぉ、なんでまた仲良くいっしょに電車に乗ってんだよ。おかしくねえか??」
「お前には関係ないだろう。」
「うるせえ! テメー、少しぐらいモテるぐれぇで、調子くれてんじゃねーぞ!! 俺のほうが、テメーより、はるかに要領よく仕事はできらあ!」
「なんだよ。さっきから黙って聞いてりゃあ、単なるシットかい? ハッ! モテない男は、これだから困るね。もっと内面の『オトコ』ってヤツを磨いてみたらどうなんだい?? いいかい。お前がモテない原因は、そのブサイクなツラだけじゃないんだよ。そのみにくい心なのさッ!」
「ヤロウッ!!」
ビシッ!!
桑川が放った拳の一撃が、茂の左頬を直撃した。
たまらずコンクリートの地面に倒れ込む茂。
そこへ、馬乗りになって、追撃しようと拳を振り上げる桑川。
「なにしてるんだ、君たちは!!」
二人が振り返ると、そこには、険しい表情をした、茂の部屋のボス・・・森川検査部長の姿があった。




