第27章:再会後の寮生活の変化について(4)
しかしぼくは、自分が美絵子ちゃんに対して、当時、どのくらい罪深い行為をやってしまっていたのか・・・
その『事の重大さ・大きさ』というものには、まだまだ思いが至っていなかったのだ。
あの『魔物事件』というものが・・・トータルすれば、十数秒にも満たなかった、あの超短時間での出来事が。
幼かった美絵子ちゃん・・・
あの事件当時、まだ8歳だったんだよ。
そんな幼く、純粋でピュアな、けがれなき心というものを、ぼくはズタズタに傷つけ、無残にも踏み散らかしてしまったんだ。
・・・幼少期に受けた心の傷というものは、一生涯、「トラウマ」として残り続けるものだ。
もしも・・・もしも彼女が、いまだにぼくとの想い出の一部を心の中に大切に保管していてくれているとしても・・・!
いずれの愛しい想い出も・・・結局は、行き着くところ最後は・・・あの『魔物事件』なんだよ。
なぜなら、このぼく・・・栗原茂雄でさえ、そうだからだ。
彼女との当時の数々の、貴重で美しい想い出たちが、なんとか冷凍保存されてきたというのに・・・
そのどれもこれもが、ともすれば、あのいまわしい『魔物事件』に、まるでブラックホールのように全部引き寄せられ・・・吸収されてしまうんだ。
当時の美絵子ちゃんにしたって、急にぼくとの想い出を、きれいさっぱり『シュレッダーに掛けることが出来た』とは思えないんだ。
きっと、しばらくは、その想い出に、逆に苦しめられてしまっていたんだろうと思う。
そして・・・やっとの思いでそれらを『清算できた』・・・『これでやっと忘れられる』・・・と思ったやさきに、またも醜いデブが登場してきた・・・
そんな構図だったのかもしれない。
でも、申し訳ないとは思うのだが・・・
それでもぼくはちっとも『後悔はしていない』。
ぼくは・・・あとでまた述べるように、『1990年8月12日事件』までも・・・そして、その事件当日においても、本当にせいいっぱい、よくがんばったなと、自分でも思う。
あのマラソンの有森裕子さんではないが・・・
『自分で自分を褒めたいと思います。』・・・と。




