第227章:『黄泉の世界』へといざなわれて・・・(8)
河口湖駅を出た茂は・・・そこから河口湖方面の道をゆく。
いくつもの、迷路のような細道を抜け、やがて彼は、河口湖の湖畔へ。
わたしはいま、傍らの茂君に、その当時の彼の話を聞きながら、これを書いている。
そして・・・文明の利器ともいえる、皆さんもご存じの『グーグルアースプロ』という、とても便利な画像データサイトを使いながら、彼の記憶を頼りに、リアルタイムでこれを書かせていただいている。
いま、記憶の中の彼自身は・・・河口湖わきを通っている、国道710号線上に居る。
湖を背にして、『印傳館 山澄園』という建物が見える。
茂は、この地に立った2007年11月当時は、ここが「何屋さん」なのか、まったくわからなかったし、気にも留めていなかった。
・・・しかし、この「グーグルアース」のおかげで、ここが何の商売をやっているのかが、いまでは、たちどころに知ることが出来る。
本当に便利な時代になったものだ。
情報によると、ここは、「四百余年の伝統を誇る鹿革芸術品」の、手作りの見事な財布などを販売する、みやげ物店らしい。
こっそり、その情報をも、そこのHPからお借りして、読者の皆さんにお伝えしてみよう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【甲州印傳とは】
印傳
その名の起こりは、印度傅来を略して印傅となったと伝えられております。その技法は、遠く奈良時代に作られた文庫箱などにも活用されておりました。その確かな技術で、戦国武将たちの鎧や兜などをきらびやかに飾りました。
時代を超えて愛される鹿革芸術品。
甲州印傳は、強靭かつ柔軟な鹿革を原料とし、他の皮革と異なる特殊な焼擦りをし、その表面に更紗模様・漆模様の加工を施したものてす。遠く武田の時代より武具などにも用いられてまいりました。現代では、染色・漆・柄などに華やかさも加わり多種多様な製品が作られています。
特徴
お使い頂く程に、一段と優美さを増し、本物の風合いを実感していただける逸品であります。
皆様の御愛用をお願い致します。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ここは、HPに『甲州印傳と郷土の御食事処』と謳われているように、食事もできるらしい。
また、『河口湖の甲州印傳総合専門販売館』とも。
こうしたものと、湖畔を仲良く連れ立って歩くカップルなどを、ぼんやりとながめながら、物思いにふける茂。
・・・いつしか日が暮れ、あたりはすっかり宵闇に包まれていた。
暗闇の湖の水面に映える、街灯や建物の明かりの反射が、実に幻想的な夜景を生みだし・・・しばし茂は、その美しい風景に、われを忘れて見とれた。
そして、湖畔を離れ、また迷路のような路地へ・・・。
もう、どこをどう歩いているのかもわからない。
とある料亭のような建物にさしかかったときには・・・もう彼には、「樹海に入ろう」などという気持ちなど、いつのまにか消えうせていた。
そのとき、彼の脳裏に浮かんだのは・・・優しい母の姿、そして、遠山里香・・・さらには、中岡葉子の、なぜかなつかしい・・・もう、すでに『なつかしい』笑顔の数々であった。
「帰って・・・みるか・・・。」




