第226章:『黄泉の世界』へといざなわれて・・・(7)
山梨県にある、いわゆる「富士五湖」のひとつ、『河口湖』。
その大きな湖の周辺には、豊かな緑の山々が連なり、河口湖を優しく取り囲む。
ここは、山梨県内でも有数の観光スポットで、当然、多くの観光客で毎日にぎわう。
家族連れ、カップル、海外からの観光客・・・。
茂は、ぼんやりとそういった人たちが楽しそうに過ごす様子を横目に、ぶらぶらと湖周辺を歩く。
「・・・あの山あたりが樹海なんだろうか。『あの森』には、どこからどうやって入れば・・・。」
ひとり、つぶやきながら歩く。
・・・ここで、読者の皆様にお伝えしたいことがある。
気象庁のデータによると、山梨県の山中における11月の気候は、以下の通りである。
『平均気温:5.9℃、日最高気温:12.4℃、日最低気温:0.1℃』
となっている。
その日の天候にもよるが・・・おそらくは、夜には氷点下になる日もあるにちがいない。
「軽装」で迷い込んだ人間が、そう長くは生きられない厳しい環境であることはあきらかだ。
もちろん、樹海内には、飲み水も食糧も一切ない。
月明かりがない夜には、森の中は、本当に「漆黒の闇」となる。
右も左もわからぬほどに・・・。
・・・まともな神経の持ち主ならば、たとえ「一秒でも」いられない場所であろう。
さらに、樹海の中は、溶岩の上に、コケがびっしり生えていて、あちこち倒木や、むきだしの木の根だらけだし、溶岩の穴まで、隠れるようにして、あちこちに「天然の落とし穴」よろしく潜んでいる。
実際、こうした「隠れ穴」にうっかり足を落とし、骨折する人もおるようだ。
樹海内にひとりで入り、その奥の溶岩穴で骨折すれば、助けを呼びに歩くこともできないし、叫んだとて、そばの遊歩道を運よく人が通りかかればよいが、それも望めないとするならば・・・あとは無情な「死」が待つのみである。
よく、『樹海に入ると、磁鉄鉱のために、コンパスの針がくるくる回転して役に立たない』とあるが、それはまったくの迷信らしい。
ただ・・・樹海にたった100mほどでも、目印もつけず、道しるべ・命綱的な「ビニールヒモ」を持たずに入ったとすれば、周りは360度、似たような景色なので、すぐそばにある「遊歩道」にさえ戻れなくなってしまい、どんどん奥に進んでしまって、そのまま「ジ・エンド」となるケースすらあると聞く。
自殺者の多くは・・・実は「遊歩道」からほどなく入った場所で多く発見されると聞く。
それはもしかしたら、「なるべく早く見つけてほしい」という、自殺者の「最後の祈り」のようにも、このサファイアの涙には感じられる。
しかし、発見されたとしても、その多くは「白骨化」していて、身元の特定もままならず、最終的には、『無縁仏』として集められ、荼毘に付されたのちに共同管理されてゆくのだ・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ナレーターの私から・・・最後に、こんな不気味なお話を。
以前、ネット上に「樹海のおとしもの」という怖いサイトがございました。
・・・今は閉鎖されておるようですが。
このサイトなんですが、
実は、樹海内で命を絶たれた人たちの生々しい「遺体画像」を載せたものだったんです。
私も、この『たからものⅡ』の中でも触れましたように、一時は強い「自殺願望」がございました。
でも・・・このサイトに載っていた人たちの痛ましい最期の姿を写真で目の当たりにしてしまった私は・・・その悲痛な『魂の叫び』『永遠の嘆き』といった、声なき声が、頭の中に響いてくるような気がしまして・・・その日以来、二度と「死にたい」とは思わなくなりました。
もし・・・いま現在、そうした「自殺願望」があるという方がおられましたら、けっしてひとりでは悩まず、抱え込まず、まずはナレーター兼作者の私に相談してみてください。
サイト内の「メール」でもけっこうです。
私自身、人生において、過去に何度も本気で、「死にたいっ!」「いっそ、この世から消えてなくなってしまいたいっ!」と願った人間です。
金銭面での力にはなれませんが、きっと、そんな、おつらい立場のあなた様の心を、たとえ「1グラム」でも軽くしてさしあげることはできるかと思いますので・・・。
・・・物語は続きます。




