第225章:『黄泉の世界』へといざなわれて・・・(6)
『富士急行線』におけるターミナル駅である、河口湖駅。
この地に降り立った茂は・・・一路、『青木が原樹海』に向かった・・・
といいたいところだが、実は彼は、「樹海への正確な行き方」「ルート」というものをまったく知らなかった。
事前に「死のう!」と思って入念に「樹海へのルート」を調べてから家を出たわけでもなく、当初は実習先である『石橋総合病院』に向かう腹づもりであったのだから・・・。
この河口湖駅からは、樹海への入り口・・・・いわば「最前線の地」である『富岳風穴』という場所に向かうバスが出ている。
樹海への行き方、森への入り方はさまざまなルート・方法があるのだが・・・
これから樹海で死のうとする『自殺志願者』が選ぶ、最もオーソドックスでポピュラーなルートが、この『富岳風穴ルート』なのである。
ここにあるバス停というものは、いわば、「観光客」と「自殺者」とを二分する、まさに『この世とあの世の境い目』『運命の分かれ道』的な意味合いをもっている。
自殺志願者の多くは・・・夕方ごろ、ひとりでここのバス停に降り立ち、その多くは「着の身着のまま」といった状態で、樹海内遊歩道用の、軽い登山スタイルもすることもなく、せいぜい「スポーツバッグ」とか「ビジネス用カバン」といった持ち物だけでもって、うろうろフラフラしているので、ここにある売店の方からすると、
「あ・・・この人、『アレ』だね。また今日も来たのか・・・。」
といった調子で、ひとめで判別できるらしい。
なかには、どうみても「遊歩」「登山」とはおよそ縁のなさそうな背広姿で、新聞片手にうろうろして、その格好のまんま、森の中になんのためらいもなくガサガサと入っていく人もいたという。
この日の茂は、そういった「自殺用ルート」というものを知らなかったものであったから・・・この『河口湖駅』周辺に、樹海への入り口というものがあるとばかり思いこんでいたのであった。




