第221章:『黄泉の世界』へといざなわれて・・・(2)
2007年11月の寒い朝。
茂は、実習先の『石橋総合病院』ではなく、国道4号線の路上を、小山方面に向かって歩いていた。
この日提出する予定の「関連図」「患者様へのケアの予定表」といった書類を、前夜、全く手をつけず、「白紙状態」で朝を迎えてしまった彼は・・・
(もう・・・『病院実習』なんて、行きたくないし、やりたくもない。担当させていただいている「Aさん」には申し訳ないけれども・・・。)
・・・そう。
彼はこの朝、このとき自身が担当していたご高齢の患者様であった「Aさん」の看護をすっぽかして、学校にも病院にも電話連絡することも無く、駅前通りからまっすぐ病院方面へ行くことなく・・・左折・・・つまり、途中ぶつかった国道4号線を南方向に折れて、ぼんやりと路上を南下していたのである。
(ああ・・・実習も看護学校も嫌いだ。看護師にも・・・正直なりたくない。嫌いで苦手な「アレ」が毎日続くんだもんなぁ・・・。この道になんか、入るんじゃなかった。このまま、消えてなくなりてぇよ・・・。)
病院に着いたら着替えるはずだったユニフォームも、肩にかけたスポーツバッグの中にある。
ナースシューズも。
病院実習を無断ですっぽかした彼は、途中のバス停で立ち止まり・・・ちょうどそこへ着いたバスに乗り、小山駅へ。
そこでJRの東京方面の電車に乗り・・・目的地も定まらないまま、やがて電車は、上野駅に到着した。




