第218章:病院実習スタート! しかし茂は・・・(1)
茂の実習先となったのは、現在は取り壊され、移転しているが・・・『旧・石橋総合病院』。
実は茂は、この病院の院長と、最高顧問の「斎藤先生」に非常に気に入られていた。
・・・先に実施された『看護師国家試全国模試』の成績が良かったからだ。
あくまでも茂自身は、「だって30問も間違ってるんだからさ・・・」ぐらいの認識であり、まったく結果には満足していなかったから、この両先生からの評価・激励に、逆にとまどいを感じ、正直な話、ちょっとしたプレッシャーになってもいた。
それに加えて、さきに述べたように、茂は「実技」「手技」「手順の暗記」がもともとの「ぶきっちょ」もあって、非常に苦手で・・・実習初日から、みなに置いていかれた。
初めて受け持たせていただいた患者様は・・・もうお亡くなりになっておられると思うが、仮に「Aさん」としておこう。
茂はこの方から、「旧・満州」での戦争の話を、よくされたものだ。
この実習に臨む学生たちは、こういった戦前の生々しい記憶をお持ちの高齢の患者様の担当になることも珍しくなかったので、そういった「戦争体験」「昔のヒット曲」などに関する知識・教養といったものも、「話題の材料」として、ひとつでも多く事前に仕入れる努力をしていた。
茂たち実習生は、担任の加藤先生からたびたび、こう聞かされていた。
「・・・実習が始まるまでは、授業中も寝てたりして、バイトに明け暮れて、本当にちゃらんぽらんしてて、正直、大丈夫かしら? っていう学生も、いざ実習が始まるとね、みんなだんだんと真剣になって、表情や目つきまで変わってきて・・・実習が終わる頃にはね、すっかり『看護師の顔』になって、学校に戻ってくるものよ。きっと・・・あなたたちも、そんな先輩たちのようになっていくのよね。今からたのしみだわ・・・。」




