第209章:『S看護専門学校』(15)
2006年7月上旬某日。
この日・・・本番である『看護師国家試験』に関連する、全国模試が実施された。
茂たち30名の看護学生たち全員も、初めて経験する、看護関連の模擬試験だった。
問題は、すべて『客観テスト』であり、ほぼほぼ『5肢択一式』ほどで、「誤っているものを選べ」「正しいものを選べ」という形式のもの。
非常にまぎらわしい選択肢になっていて・・・これは、どの国家試験でもそうなのだが・・・たいていは、「最後の二択」で学生を迷わせ、悩ませる仕掛けになっていた。
つまり・・・きちんと学習していないと、当然ながら最後の「二択」は、ヤマカンで選ぶ「くじ引き」と化す・・・。
この「全国模試」では、茂たちがまだ習っていない範囲の科目・項目などからも、容赦なく出題されていた。
出題数は、全部で「100問」。
「一問1点」の配点・・・すなわち、『ノン・傾斜配点』である。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・そして、夏休み前のある日。
「面接室」に、ひとりひとり呼ばれる学生。
さきに実施された『看護師国家試験のための全国模試』の試験結果と全国での「順位」が、個別に発表されるのである。
茂が自分の順番が来て入室すると・・・担任の『加藤先生』が神妙な表情で彼を迎えた。
(あぁ・・・俺、あの試験は・・・かなり出来が悪かったからなぁ・・・いったい、何問、間違えたんだろう? まだ未履修の、ワケワカラン問題もあったしなぁ・・・。)
「・・・杉山さん。」
「はい。」
「100点満点で・・・70点でしたね。」
「はぁ・・・やっぱり、そのくらいでしたか・・・。」
「順位は・・・全国で、『50番』。母体数は、約4000人よ。ちなみに、あなたの試験結果の『偏差値』は、70だったわ。・・・よくがんばったって、言いたいところだけど・・・30問も間違えたんだから、本番では『不合格』。さらなる、あなたの努力に期待するわ。がんばるのよ・・・。でも、正直、100番以内に、まさか、うちの学生が入るなんて・・・いままでで『最高順位』の快挙よ、杉山さん・・・。」
最後は、にっこりして、ねぎらいの言葉をかけてくれた『加藤先生』におじぎをし、静かに退室する茂。
(ううむ・・・あんな悪い結果で『50番』とは。でもさ、全体の受験生の『母体数』が、4000人くらいだしなぁ・・・微妙な結果っちゃ、微妙だけどね・・・。)
ちなみにこの試験・・・例の『熊田君』は、学校2位の『全国500番』・・・『前田さん』は、『全国550番』で3位だった。
他の学生たちは・・・ここではあえて「触れないで」おこう・・・。




