第207章:『S看護専門学校』(13)
「・・・というわけなんですよ、益子先生。どうしたら、いいんスか??」
熊田君が噛み付く。
いま茂と熊田君は、教務室にて、例の美化委員の担当、益子先生相手に、突っ立って「抗議」している最中。
「僕も、熊田君同様、どうしていいのか・・・みな、怒ってますからねぇ・・・『なんで、ゴミ箱なくしちゃうんだッ!』って。バイト早く行きたくて、誰も僕の話なんか聞いてないし・・・。」
「そうですよ。杉山さんも、俺たち美化委員のメンバーも、先生の『指示』のせいで、みんなに嫌われちゃったんですから・・・どうしてくれるんですか??」
「あのねぇ、熊田君。ゴミ箱増やせばいいってもんじゃないと思うのよ、あたしは。そりゃあね、増やすのは簡単よ。でもね・・・それは違うんじゃないかな・・・?」
「なんでです、先生・・・? 新しいゴミ箱買ってきて、いまのゴミ箱の横に据えれば済む話じゃないですか・・・。」
「いい・・・? あなたたちは、これから『看護の道』に入っていくのよ。そんな人が、自分の身の回りのゴミひとつ自己管理できなくて、どうするのよ? これから『環境整備のプロ』になろうって人が。『自分が出したゴミは、自分で片付ける』・・・いまから、そういう心構えでいないと。そうでしょう、杉山さん。」
「えっ・・・? ええ、まぁ・・・。」
すると、それまで黙って益子先生の隣の席で聞いていた、担任の『加藤先生』が、こんなことを・・・。
「益子先生・・・。『環境整備のプロ』は、国家試験に受かってから考えればいいんじゃない・・・? まだ彼らは、『看護師の卵』にすらなっていないんだし。それにさぁ、今回の場合、そこまで難しく考える必要はないんじゃないんかい・・・? とりあえずゴミ箱増やして、あふれそうになったら捨てに行く人決めれば済む話じゃないか。ちゃんと『割り当て制』で当番学生決めちゃってさぁ。」
「いえ! お言葉を返すようですが、加藤先生・・・私、この『美化委員会』というものを、もっともっと発展させていきたいんですッ!!」
茂と熊田君は、そんなムキになった益子先生の様子を見て、あっけに取られながら思った。
(・・・どうやら益子先生、あなたは・・・『加藤先生』たち先輩教師のハナをあかしてやりたい・・・そう思ってるようですね。俺たち『美化委員』を、ある意味ダシにしてさぁ・・・。はっきり言って先生、ありがた迷惑なんですけどぉ・・・。)




