第205章:『S看護専門学校』(11)
『美化委員会』の担当教師は・・・あの『益子先生』だった。
前にも触れたが、この先生と茂には、個人的な『因縁』があった。
それは・・・この学校を受験したときの『面接試験』と、先の『バス旅行』での一件である。
わざわざ言わなくてもよかった『情報』を自分に漏らし、不愉快で肩身の狭い思いを自分にさせたこの先生を、茂は最初、受け入れることができなかった。
まぁ・・・のちほど、そのようなお互いの『因縁』『悪印象』『先入観』といったマイナスの要因・要素は、このあとの茂の学生生活が進むにつれて薄れ、解消してゆき、信頼関係へと変化していくのであったが・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「まぁ、あなたたちが『美化委員』になったのね。よろしくね。あたし、担当だからさ。」
『益子先生』が、明るい声で言う。
「ところで先生・・・。」
「なぁに、熊田君。」
「『美化委員』って・・・なにやるんスか? 学校の掃除・・・? ゴミ捨て??」
「そぉねぇ・・・それは、あとで説明するわ。じゃあ、杉山君も、前田さんも、ユリカちゃんも、よろしくね。あたし・・・このあと、いろいろ準備あるから、これでね。」
先生は茂たちにそう告げると、まるで「モンロー・ウォーク」のように、腰を左右にセクシーにくねらせながら、両手までかつて流行した『パラパラダンス』のようにリズミカルにシンクロさせ小さく振りながら、歩いていった。
・・・しかし、決して『狙っていた』わけでもなく、これが先生のフツーの歩き方だったのである。
「プッ・・・見てよ、杉山さん。あの益子先生の歩き方。まるで『踊ってる』みたいじゃないですか・・・?」
「うふふっ、ほんとだな、熊ちゃん。踊ってる踊ってる。なんか・・・笑っちゃうよな。」
『前田さん』も、『加藤ユリカちゃん』も、そんなユーモラスな先生の後ろ姿を見送りながら、くすくすと笑ってござったのである・・・。




