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第200章:『S看護専門学校』(8)

 音楽の授業では・・・専門の音楽教師の女性が担当した。


 もう名前も忘れたので、仮に『佐藤先生』としておこう。


 音楽といっても・・・小中学校のように、『交響曲鑑賞』をするわけではない。


 扱うのは、『赤とんぼ』『ふるさと』『われは海の子』といった、童謡(どうよう)・唱歌(しょうか)が中心。


 あとは、『青い山脈』『川の流れのように』といった、古いヒット曲である。


 これは、のちに『老年看護学』といって、高齢者への看護の際、施設などでのレクリエーションで、学生と高齢者がいっしょに歌うための予行練習も兼ねたものだったのだ。


 こういった、いわゆる『座学(ざがく)』のほかにも、茂が苦手とする、『看護実技』の授業も、やがて始まった。


 皆さんもご存じの、『ベッドメイキング』や、褥瘡(じょくそう)・・・つまりは、『床(とこ)ずれ』の予防のための、『体位変換(たいいへんかん)』など。


 こうした「実技(じつぎ)」が大の苦手だった、ぶきっちょな茂は・・・授業初日から、『熊田君』をはじめとした学生に早くも水をあけられ、差をつけられてしまった。


 明るくて活発だった青森美人の『大久保さん』などは、「杉山さん、こうやんだよ、こう!」と、どこから見つけてきたのか、おかしな箱にA4の用紙を巻きつけ、『擬似(ぎじ)ベッドメイキング』をやって見せてくれたが・・・要領の悪い茂は、そんな彼女に向かって、ただ笑ってごまかすのが精一杯なのであった・・・。

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