↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

196/246

第196章:里香とのデート(10)

 ・・・里香はこの夜、初めて『女』になった。


 そして、茂もまた・・・『男』に。


 全身に感じる心地(ここち)よい『けだるさ』と満足感に包まれた二人は・・・生まれたままの姿で、朝まで仲良く、眠りこけてしまった・・・。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 「・・・茂君、おはよう。」


 里香が、白いシーツの端(はし)で、ハダカの体を隠しながら言う。


 「ああ・・・よく寝た。里香ちゃん、おはよ。気分はどう・・・?」


 「もう・・・最高よ! だって、あたし・・・美絵子ちゃんに許してもらえたんだもの。でも、『ゆうべだけ』ね。」


 里香が、少しさびしそうにつぶやく。


 「・・・里香ちゃん。本当にありがとう。」


 「えっ・・・?」


 「美絵子ちゃんね・・・きっと、とっても喜んでいるよ。」


 「美絵子ちゃん・・・が?」


 「そうだよ。美絵子ちゃんね・・・僕と結ばれることなく、旅に出ちゃったでしょう・・・? でもね、里香ちゃん。きっと・・・きっとゆうべね、里香ちゃんといっしょに、僕と初めて『結ばれた』んだよ、美絵子ちゃん・・・。彼女ね・・・やっと夢がかなったんだと思う。それもこれも、里香ちゃんのおかげだよ。」


 「茂君・・・そんな・・・。」


 「いや、ウソじゃない。僕の『匂い』、もう一度かいでみてごらん。」

 

 里香がまた茂の体臭をかいでみると・・・なんと! また『美絵子の匂い』・・・あの甘酸っぱいような、神秘的な『サクランボの香り』が、茂の肌に、髪に・・・そして、体全体に復活していたのだ!!


 「僕ね、里香ちゃん。里香ちゃんの『匂い』も分かったよ。」


 「えっ? あたしの『匂い』・・・?」


 「里香ちゃんの体をね、ゆうべじっくりと抱いて、初めて分かったんだ。・・・里香ちゃんの『匂い』はね・・・あのときの美絵子ちゃんの匂い。雨の日の図書室で、僕と並んで座って絵本を読んでたときの、あの『すみれ』・・・『バイオレット』の香りだったんだ。本当に、ふだん、気づかないレベルだったけどね・・・。」


 「・・・・・・。」


 「きっとね、里香ちゃん。里香ちゃんが、『女』に・・・そして僕が、『男』になったから、気づいたんだ。僕は・・・僕は、そう確信してる。」


 「・・・うん。ねぇ、茂君。・・・これで、あたしたちの『子供』できちゃったら・・・そのとき、茂君・・・どうするの・・・?」


 「答えはひとつ。・・・ひとつしかないじゃないか、里香ちゃん。」


 「それって・・・。」


 「僕たちで・・・僕たちふたりで、大事に育てよう。僕ね・・・里香ちゃんが産んでくれた子なら、きっと死ぬ気で守って、大切にするよ。約束する。」


 「茂君・・・。」



 そしてふたりは・・・しっかりと・・・強く強く抱き合った。


 お互いの『体温』『ぬくもり』・・・そして、『優しさ』に包まれながら・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。