第196章:里香とのデート(10)
・・・里香はこの夜、初めて『女』になった。
そして、茂もまた・・・『男』に。
全身に感じる心地よい『けだるさ』と満足感に包まれた二人は・・・生まれたままの姿で、朝まで仲良く、眠りこけてしまった・・・。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・茂君、おはよう。」
里香が、白いシーツの端で、ハダカの体を隠しながら言う。
「ああ・・・よく寝た。里香ちゃん、おはよ。気分はどう・・・?」
「もう・・・最高よ! だって、あたし・・・美絵子ちゃんに許してもらえたんだもの。でも、『ゆうべだけ』ね。」
里香が、少しさびしそうにつぶやく。
「・・・里香ちゃん。本当にありがとう。」
「えっ・・・?」
「美絵子ちゃんね・・・きっと、とっても喜んでいるよ。」
「美絵子ちゃん・・・が?」
「そうだよ。美絵子ちゃんね・・・僕と結ばれることなく、旅に出ちゃったでしょう・・・? でもね、里香ちゃん。きっと・・・きっとゆうべね、里香ちゃんといっしょに、僕と初めて『結ばれた』んだよ、美絵子ちゃん・・・。彼女ね・・・やっと夢がかなったんだと思う。それもこれも、里香ちゃんのおかげだよ。」
「茂君・・・そんな・・・。」
「いや、ウソじゃない。僕の『匂い』、もう一度かいでみてごらん。」
里香がまた茂の体臭をかいでみると・・・なんと! また『美絵子の匂い』・・・あの甘酸っぱいような、神秘的な『サクランボの香り』が、茂の肌に、髪に・・・そして、体全体に復活していたのだ!!
「僕ね、里香ちゃん。里香ちゃんの『匂い』も分かったよ。」
「えっ? あたしの『匂い』・・・?」
「里香ちゃんの体をね、ゆうべじっくりと抱いて、初めて分かったんだ。・・・里香ちゃんの『匂い』はね・・・あのときの美絵子ちゃんの匂い。雨の日の図書室で、僕と並んで座って絵本を読んでたときの、あの『すみれ』・・・『バイオレット』の香りだったんだ。本当に、ふだん、気づかないレベルだったけどね・・・。」
「・・・・・・。」
「きっとね、里香ちゃん。里香ちゃんが、『女』に・・・そして僕が、『男』になったから、気づいたんだ。僕は・・・僕は、そう確信してる。」
「・・・うん。ねぇ、茂君。・・・これで、あたしたちの『子供』できちゃったら・・・そのとき、茂君・・・どうするの・・・?」
「答えはひとつ。・・・ひとつしかないじゃないか、里香ちゃん。」
「それって・・・。」
「僕たちで・・・僕たちふたりで、大事に育てよう。僕ね・・・里香ちゃんが産んでくれた子なら、きっと死ぬ気で守って、大切にするよ。約束する。」
「茂君・・・。」
そしてふたりは・・・しっかりと・・・強く強く抱き合った。
お互いの『体温』『ぬくもり』・・・そして、『優しさ』に包まれながら・・・。




