第195章:里香とのデート(9)
「・・・里香ちゃん、そろそろ車に戻ろう。だいぶ、寒くなってきたからね。」
「そうね・・・。でも、あたし・・・。」
「どうしたの・・・?」
「家に帰りたくない。・・・今夜は・・・今夜だけは、ひとりぼっちになりたくないの・・・。」
「僕も・・・実は、僕もなんだ、里香ちゃん。」
「茂君・・・。」
「とにかく、いったん車に戻ろうよ。」
「・・・うん。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・それから1時間後。
茂と里香は・・・宇都宮市内の、某ラブホテルの一室にいた。
大きな、丸い形の『回転ベッド』に仲良く並んで腰かけるふたり。
里香の体は、小刻みに震えていた。
そんな不安げな里香の肩を、また、そっと優しく抱く茂。
「・・・里香ちゃん、怖い・・・?」
「うん・・・ちょっとだけ。だって、あたし・・・『ラブホテル』なんて、いままで一度も入ったことないんだもの・・・。」
「僕だって。」
「ねぇ、茂君。・・・あたし・・・あたしは、ここに茂君といていいのかな? こうして、いっしょにホテルなんかにいて・・・。」
「・・・大丈夫だよ、里香ちゃん。」
「だって・・・美絵子ちゃんが・・・美絵子ちゃんが怒って・・・」
「怒ってない。怒ってなんかいないから、大丈夫だよ、里香ちゃん・・・。」
「・・・どうして、そんなことがわかるの・・・? どうして・・・?」
「里香ちゃん。僕の体の『匂い』・・・ちょっとかいでみてごらん。」
里香は、言われるままに彼の体臭を、そっとかいでみた。
「・・・あっ!」
「ねっ・・・?」
「茂君・・・元の『匂い』に戻ってる! ・・・元の『新緑の香り』に・・・。」
「今宵はね、里香ちゃん。優しくて、あったかくて、そして誠実な里香ちゃんを、美絵子ちゃんも認めて、許してくれているんだよ。だから・・・美絵子ちゃんね、いったん、『退席』してくれたんだ。僕らのために、席を外してくれたんだよ・・・だから・・・」
「あぁ・・・茂くんっ・・・!」




